毎日「ゴキゲン♪」の法則

自分を成長させる読書日記。今の関心は習慣化、生産性、手帳・ノート術です。

ダ・ヴィンチ・コードのネタ本にどうでしょう?

キリストと黒いマリアの謎―異端・自由思想・ラテン系フリーメーソン

キリストと黒いマリアの謎―異端・自由思想・ラテン系フリーメーソン

3月にフランスに行く前に読んでおくはずだった課題図書。あちこちで探したけど手に入らず、市立図書館にリクエストしてみたのが1月下旬だったと思う。なぜか今頃「ご予約の本が用意できました」と連絡が。どうもわざわざ買ってくれたようだ。2200円もする本なのに申し訳ない。

というわけで、今さらだが読んでみた。
著者は作家ではないし、西洋史の研究者でもない。いわゆる門外漢なのだが、専門家ではないから書けた本なのかもしれない。

確かに、研究者は自分の研究範囲から大きくはみ出るものに取り組むことはまずないし、きちんと歴史的裏付けのある史料しか使うことはない(大学時代史学科だったのでこのへんは体験済み)。なので、このテーマは手つかずで残っていたのだそうだ。宗教学としてはアンタッチャブルな問題も多いし。歴史愛好家の要望に応えられる本を、という目的で書かれたというのも読みやすさにつながっていると思う。

勉強のためこの手の本を何冊も読んだが、これが一番コンパクトで読みやすかった。もしかしたら私がすでにだいたいの内容を頭に入れているから読みやすく感じただけなのかもしれないが、それを割り引いても日本人の書いた本はこんなに読みやすいのか、と思った。他の本はほとんど翻訳ものだったからだ。翻訳家を目指していた人間が書くのもどうかと思うが、翻訳した文章はそれほど読者に負担をかけてしまうものなのだということを実感した。

翻訳ものは原文に忠実なことを守ろうとした結果、普通に使っている日本語とは違う「翻訳調」になることが多い。言葉は日本語だが骨格は英語のままというような。あれが本当に頭になじまないのだ。この本は同じことを書いてあってもスーッと頭に入るような気がした。

この本が書かれた2000年当時はダ・ヴィンチ・コードは世に出ていなかった。こんな風に脚光を浴びるとは著者も思っていなかっただろう。私が他に読んだたくさんの本も参考文献に使われていて、他の本の分厚さに比べればハードカバーだが読みやすいと思う。掲載されている地図が手書きでまるで社会の授業のプリントみたいなのはご愛敬だが、ダ・ヴィンチ・コードの謎の背景を知りたいが何を読んだらいいか、という人にはお勧めだと思う。