- 作者: 山田ズーニー
- 出版社/メーカー: 三笠書房
- 発売日: 2007/03/01
- メディア: 文庫
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しかし、内容はとても濃い。コミュニケーションはテクニックではなく、いかに自分を信頼してもらえるかが大切なのだ。でも、世の中のハウツー本には小手先のテクニックがほとんど。基本を教えてくれるこの本はすぐ読めるが誰にでも役に立つと思う。
信頼してもらえれば何を言っても理解してもらいやすい。この本を読んで「同じことを言われてもセクハラになる人とならない人がいる」という会社勤め当時の感覚を思い出した。
「おしゃれして今日はデートか」とか「今日の口紅の色ふだんと違うな」と言われたらセクハラだ!と思うが、人によって「ここを越えたらセクハラ」というラインが違ったのだ。上のセリフはどちらも同じ人に言われたのだが、言われても何とも思わなかった。逆に、仕事以外の何を言われてもセクハラだ!と不快に思う人もいた。何で違うんだろう、と考えたら自分がその人にどこまで心を許しているかだった。つまり、しっかり信頼関係を築いていればことばの細かいことに神経すり減らさなくてもよくなるのだ。フォーカスするべきはことばそのものではなくて、相手を思って信頼関係を築くことだ。そんなことを書いた本は初めて読んだが、目からウロコだった。
そういう視点で見れば、仕事の頼み方もおわびの仕方も、誤解された時のアプローチもまったく変わってくる。特に誤解の解き方は今まで考えたこともなくてとても新鮮だった。どうやればいいかはぜひ読んでみてください。
以下は私のメモなので、興味のある方はどうぞ。
伝わる7つの要件
- 自分のメディア力 相手から見た自分の信頼性はどうか?
- 意見 自分がいちばん言いたいことは何か?
- 論拠 意見の根拠は何か?
- 目指す結果 だれがどうなることを目指すのか?
- 論点 いま、どんな問いに基づいて話しているのか?
- 相手にとっての意味 つきはなして相手から見たら、この話は何か?
- 根本思想 自分の根っこにある想いは何か?
話す時にひとつだけでも思い出してみる。まずは意見(一番言いたいこと)+論拠(なぜそう思うのか)からやってみる。
結果を出しましょう!
ポイントは、相手の心が動くことです。人の心が動けば状況は動いていきます。
あなたの言葉によって、相手の心が、ほんのちょっと動くことを目指してみてください。「なるほど!」と腑に落ちる。「そうそう!」「いいね!」と目を輝かせる。「ほー、そんな考えもあったのか」と驚く。
そうした、納得・共感・発見などを通して、相手の心を動かし、目指す結果を切り拓いていける、そんなコミュニケーションの達人を目指しましょう。
論点→論拠→意見
私たちは、意識しなくても問い(=論点)を持っており、その問いに対して自分が出した答え(=意見)があります。伝えるときは、意見の根拠(=論拠)を筋道立てて相手に説明すればいい。
この構造で書いたり話したりすると、あらかじめ相手と問いを共有できるので、とても伝わりやすいです。
考える道具は「問い」
問題が与えられたら、私たちはすぐ「答え」を探そうとします。
でも、大きすぎる問いに、いきなり答えは出せません。たとえば、「生きる意味は何か?」と聞かれて、いきなり答えが出せるでしょうか?無理矢理出したとしても、陳腐な答えになってしまいます。
思考が止まってしまうとき、大きな問いをまるごと相手にしていることが多いんです。向かう「問い」が大きすぎると、考えること自体が、億劫になったりイヤになったりします。
そうではなく、考えるためには「答え」ではなく「問い」を探すのです。
その問題を考えるのに有効な、具体的で小さな「問い」をいくつも、いくつも洗い出してみるのです。(中略)このように、ちょっと考えたり、調べたりすれば答えが出そうな「問い」をいくつも洗い出し、出てきた問いを選んで自問自答する。自分で出した答えにまた、自問する。わからないこと、見たり・聞いたり・調べたりして答えを出す。自問→自問→自問→自問……、これをねばり強く、すとんと腑に落ちるまで、小さくても何か発見があるまで続けることが「考える」ということです。
正論はなぜ通じないのか?
正論が通じない理由のひとつは、正論を言うとき、自分の目線は、必ず相手より高くなっているからです。
問題は、言いにくいことをズバッと言う言わないではありません。問題は、メッセージをどう相手に届けるか、です。そのために、まず自分という人間が相手から共感されることが、コミュニケーションの初歩として大切です。
何か正しいことを言うなら、相手との関係性をよく考えてください。言葉は関係性の中で、相手の感情に届きます。