三色ボールペン情報活用術 (角川oneテーマ21 (B-43))
- 作者: 斎藤孝
- 出版社/メーカー: 角川書店
- 発売日: 2003/06/01
- メディア: 新書
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やり方は簡単で、次のように使う。
赤――客観的に見て、最も重要な箇所
青――客観的に見て、まあ重要な箇所
緑――主観的に見て、自分がおもしろいと感じたり、興味を抱いたりした箇所
色分けをしながらチェックすることで客観(赤・青)と主観(緑)を意識して切り換えられるようになったり、緑を使うことで自分のフィルターを通して記憶しやすくなったり、しっかり取り込めるのだそうだ。また、白い紙に黒1色のレジュメや会議資料など、単調で読みづらいものも集中して読めるようになるとか。ただの色分け術ではなくて、3色ボールペンを通して脳を鍛えるもののようだ。斎藤さんはこのメソッドを使い続けることで手もとにボールペンがなくてもこの部分は赤とか緑、と瞬時に判断できるようになり、最終的には紙媒体ではないもの、たとえば映画を見ていてもそういう風に見られるそうだ。
集中して読むこと、そしてしっかり自分の中に取り込むことが勉強に必要な私にはとても魅力的なメソッドだ。ぜひ訓練して身につけたいと思う。さらに、「色を使い分けることで記憶を定着させる」というのはマインドマップ的効果も期待できるかも、と思ってしまった*2。
当初の目的、手帳術もしっかり紹介してあった。これも色の使い分けはとてもシンプルで
赤――最重要の用事(これを忘れたら人に迷惑をかける用件)
青――まあ忘れてはいけない用事
緑――趣味的にやる用事
とこれだけ。
しかし、色の効果は絶大で、あの日は赤い用事があったな、ということは忘れないので手帳を確認し、大事な用事をすっぽかすことがなくなるという。色を使い分けることは自分で優先順位をつける作業なのだ。
さらにそこから自分が自由に使える時間を把握すること、時間帯のはっきりしている予定は囲んでおくと時間を意識できる、色を見ながらその日をシミュレーションできるなど時間術の極意が紹介されている。斎藤さんもとても多忙な方で、しかも胸ポケットに入る能率手帳ひとつですべてを管理されているそうなのでいかに3色使い分けが有効かわかる。
年収10倍手帳の書き込みにこのメソッドを使ってみようと思う。
以下は私のメモなので、興味のある方はどうぞ。
絶対に後戻りしないところまで形にして終えておく
のが私の仕事の鉄則だ。素材は、仕込み済みの、焼く寸前のところまで必ずもっていっておく。ほかの仕事でどんなに追われていようが、その企画に実現の見込みが薄かろうが、とにかくそこまではもっていく。
仮にそのときは実現しなくて別の機会に持ち越すことになっても、一度そこまで準備をしておいたものは忘れることはないので、多少時間が空いたとしても問題はない。
三色方式は、「仕込み」だ。情報を読みながら、それを活用するときのことを想定して仕込みをしておくというやり方なのだ。
三色ボールペンは、ソロバンと同じく脳を鍛える道具である。
脳を鍛えることにより、「技」になる。
技化するために必要になるのは、頭の良し悪しではない。強い意志で臨み、怠けず根気よくやり続け、途中でへこたれないこと。身体トレーニングと同じである。鍛える部位が頭だというだけのことである。
脳の主観と客観を切り換える
ペン先をカチッカチッとノックして違う色に替えると同時に、脳の主観と客観を切り替える(スイッチする)という感覚を鍛えているからだ。ペンを置いたり持ったりするのでは、思考のスイッチを入れ替えることにはならない。脳のスイッチ切り替えという「技」を磨いていることにならない。
天才と呼ばれている人の特徴
天才というのは、脳が混濁していない、整理されきっているということだ。
(中略)
天才と呼ばれる人たちは、たいてい驚くほど多くの仕事を残している。
それがこなせるのは、頭の中がみごとに整理されていて、自分のやっていることをきわめてクリアに意識できているからだ。
暗黙知(経験的な知の蓄積)
暗黙知は、非常に幅が広い。これまでの経験から来るものである場合もあれば、知識や研究の積み重ねである場合もあるし、興味・関心・嗜好といったものの場合もある。自分自身で気づいていなかったことを、暗黙知が知らせてくれるといったこともある。はっきりわかっているのは、自分に何の用意もないものは引っかかってこないということだ。
主観と客観のバランス
本当に大事なのは、主観と客観をきちんと分けて認識ができ、主観をコントロールすることだ。これは主観だと意識できることであって、それをかかわらせないことではない。だから、「自分の主観ばかりでとらえずに、客観的視点とのバランスを取りながら読むことが必要だ」と言うべきではないかと思う。
主観・客観の文脈をクロスさせる
主観と客観をうまく組み合わせることができるということは、言葉を替えれば、「文脈をクロスさせる」ということだ。つまり、自分が持っている暗黙知の文脈と情報のほうがもっている文脈をクロスさせて、出会わせるということ。
本質的な情報との出会い方
自分の文脈というものを、情報にクロスさせることで初めて、出会いの座標軸は定まり、情報の点は固有のものになる。情報は人の暗黙知と出会うことで固有の価値を持ち始める。
これが本質的な「仕事の仕込み」である。情報は自分のものとなり、いつでも活用可能な状態になる。
(中略)
出会った情報に、その人固有の価値を持たせる。これが本質的な情報との出会い方なのである。
感性というのは生まれつきのものではなく、
感性を働かすという技を持っているかどうかが重要である。感性が鋭い人、鈍い人という分類よりも、感性を働かせる習慣がある人、ない人と分けたほうがいいだろう。
メモはどうやって取るか
まずは、相手が伝えたい情報をきちんと書き取る必要がある。最重要の赤、まあ大事の青、メモとしてこの程度は落としてはならない。
だが、そこから先、すべてを書こうとしてはいけない。ビュッフェ方式で料理を食べるつもりになろう。自分が好きなものを好きなだけ取って食べる。そんな構えで、メモを取る。
赤と青以外で、これは必要ない、興味がわかないというところは、書かなくていい。自分が触発されないことはメモを取らない。それがコツである。
緑で何を書くか
それは“自分が触発されたこと”だ。その話に触発されて生まれてきたものを、忘れないようにメモする。そもそもメモとは備忘録のことだ。
(中略)
相手が刺激剤となって、自分の中の何かを揺り動かしたもの、それを言葉にしていく。
キーワードを見つけながら読むという方法は、
その本の著者、あるいはその資料の作成者の表現したいことを的確につかむ練習にもなる。
*1:実際にはカタログにも載っていない希少品らしい。詳しいサイトはこちら
今はハイテックコレト3色でも作れます