お金と英語の非常識な関係(上) 神田昌典&ウィリアム・リード、スペシャル対談CD付き
- 作者: 神田昌典
- 出版社/メーカー: フォレスト出版
- 発売日: 2004/07/17
- メディア: 単行本
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これも出たばかりの頃書店で手に取ったのだが、当時は「きちんと英語をやりたい」という意識が強くて「英語なんてツールだから使えればよい」というスタンスのこの本は合わないと思って買わなかった。でも、やはり今読むとなるほど、と思うことが多い。
神田さんといえば「非常識」だ。今までの英語学習法とはまったく違う。とにかく「英語ができるようになってからやりたいことを」という順序ではダメ、やりたいことがあったらとにかくやってしまえ、必要に迫られれば英語はできるようになるからというのがこの本の主張だからだ。もちろんそのためにはコツがあるが、神田さんはそれを惜しみなく教えてくれている。
上では主にどうやってビジネスチャンスを海外で見つけるか、そのためにどうやって1年で最低限の英語を身につけるか?がテーマ、下はどうやって英語が読めなくても洋書から必要な情報を得るか、どうやって海外とビジネスをやっていくかがテーマ。
ひと言で言えば「英語を使えるようになる」とはどういうことなのか、パラダイムシフトを起こさせてくれる本だ。神田さんの言う英語が使えるようになるとは日常会話に不自由しないことでも、字幕なしで洋画が見られることでもTOEICで高得点を取ることでもないのだ。「英語でビジネスができる」ただそれだけ。うそでしょう?と思うがそう言えば私の周りには実例があった。
以前勤めていた貿易関係の会社の社長。業界では有名な人だったが、英語はめちゃくちゃブロークン。でも、海外相手のハードな交渉もバリバリやっていた。お世辞にも上手いとは言えない英語で。
今通っている学校の学長は某テレビ局の海外特派員としてヨーロッパに渡り、その後現地の大学で勉強して事業を興したのち日本に帰ってきた人だ。さぞ緻密な英語を話すんだろうと思ったところ、海外講師とやりとりしているのを聞いてショックを受けた。発音も文法もあったものじゃないのだ。えー、こんなので通じるの?と思ったがヨーロッパは英語が母国語ではない人も多いので、みんな完璧じゃない英語に寛容らしい(アメリカは違うかもしれないが)。学長は学会で発表したりもしている。しかし、堂々としていて話す内容がしっかりしていれば別に困らないらしい。うーん。
私は10代の頃同時通訳者になりたいと思っていたので、いい加減な英語にはとても抵抗があった。話すからには発音も美しく、文法も正しくなければ、と思っていた。
しかーし。いやしくも外交官をされていた神田さんのビジネスレター見本をこの本で見て、本の中で一部紹介されている付属CDインタビューでの神田さんのしゃべった言葉を見てガクゼンとした。えっ、これで通じるの?これじゃあ私が海外の代理店相手に冷や汗書きながら書いていたメールとほとんど変わらないレベルじゃないか。
日本人は学校英語、試験英語をそのままやろうとしてがんばってしまうタイプが多いそうだ。でも、それは必要のない努力。それよりも何が伝えたいのかの方がビジネスをやるには大切なのだ。上の2人もそういうことだろうと思う。英語がめちゃくちゃでも、伝えようとしている内容が相手にとって重要なものだと感じれば、相手はきちんと聞いてくれる。それほど英語がしゃべれなくても、エンジニアなど専門職の人が単語だけで意思の疎通を図れるのもそういうことだろう。
上では「捨てる技術」を例に出して英語の思い込みをあれもこれもみんな捨ててしまうのだが、今までしていた努力は何だったんだ、と思うと同時に気が楽になった。
英語学習が趣味、という人はそれでいいが、やりたいことをやるには英語が必要だから勉強しなければ、という人にはとてもいい本だと思う。これからのビジネスを探すヒントもたくさんあるのでそれほど英語が必要じゃない人も一読の価値ありです。