「Sカーブ」が不確実性を克服する―物理学で解く2000年の経営
- 作者: セオドアモディス,Theodore Modis,寒河龍太郎
- 出版社/メーカー: 東急エージェンシー出版部
- 発売日: 2000/05
- メディア: 単行本
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非常に論理的に書いてあり、それぞれの季節のとらえ方がはっきりしているのでその辺はわかりやすい*1。
この理論に人生を賭けたと言っても過言ではない著者の手にかかれば、会社の栄枯盛衰も新商品がなぜ売れなかったのかも社会主義がなぜ崩壊したのかもSカーブ理論で説明できてしまうのだ。よく、企業は売れなくなると商品をマイナーチェンジしたりデザインをリニューアルしたりして延命を図ろうとするが、それが何の役にも立たないことはSカーブを知っていれば明らかだ。これを知らないといかに判断を誤るかがよくわかる。
この本では自分の会社や自分が現在どの季節にいるのか見極めるのに多くのページを割いているが、私たちはありがたいことにすぐ割り出せる。シーズンズの手法を知っているからだ。
神田さんの本と違うのは、「すべての季節で勝つ」ことも可能だとあったこと。著者によれば「ふたつ前の季節(冬なら夏)に必要だったことの反対」をやればいいのだそうだ。何となくわかるような気はする。
それから、これはより企業向けの話だが、新商品をどのタイミングで出すのか、新しいことをいつ始めてどの時期に主流にするのか、それもSカーブでわかるのだそうだ。今まで主力だったものが下降する冬の時期に、新しいもののこれから伸びていく冬を重ねるようにする。そうすることで次世代の主力に育ち、ブランクなく引き継げる。私は個人で仕事をしようと思っているが、今後何か新しい手法を取り入れる時期をSカーブに沿って決めればよさそうだと思った。
より論理的背景を知りたい人にはいい本だと思うが、知らなくても充分使える。神田さんが書かれていたように、私たちは根拠を知らなくても、ただ利用だけすればいいのだ。
ただし、最後の章「西暦2000年からの会社経営」に企業や社会はどう変わるのかについてまとめてあるのを読むと、いかにこの手法が正確に未来を予測できるものかがわかる。この本は2000年に出版されているが、この章に書いてあることはまさしく現代のことだからだ。この方法を知ることができてラッキーだと改めて思った。
*1:ただ、個人的には神田さんの四季と少しニュアンスが違うように感じました