
- 作者: 椋木修三
- 出版社/メーカー: フローラル出版
- 発売日: 2000/04
- メディア: 単行本
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著者のスタンス・考え方が実にシンプルでわかりやすい。記憶術は覚えないといけないのに覚えられない時に使えばよい。つまり、すべてに記憶術を使う必要はない、ということだ。また、記憶術の方法はいろいろあるが、自分に合うものを使えばよいとも。
はじめに暗記テストがあり、それで現在のレベルを把握できるのでこの本をどう読めばいいのかもわかる。暗記が得意な人とそうでない人は読み方を変えてよいということだ。勉強法の本にもあったが、常に効率も考えておられるのだなあと感じた。
私は上のテストで「比較的記憶が得意なタイプ」になったので興味のあるところだけ読めばよかったのだが、ひととおりざっと目を通し、練習もいくつかやってみた。数字の語呂合わせや英単語の覚え方も面白かったが、やはり今の私に必要なのはイメージで覚える方法。連想で単語を繋げて行ったり、まったく関係のない単語をイメージで連結させる方法などが使えそうだなという手応えがあった。また、それをゲームのように繰り返すと頭のトレーニングになる、というのも実感できて面白かった。
実は、学校では「絵を描いて覚えろ」というのを何度も言われていたのだが、絵が苦手な私はそれが苦手で暗記に四苦八苦した。しかし、実際に紙に書かなくてもイメージすることができれば同じ効果が得られるのでは、と感じた。「なんだ、やっぱりイメージ力が大事なのね」と思えたのが一番の収穫だった。
他にも芋づる式に覚える方法や、法律の条文のような文章をどうやって暗記するのかという方法も紹介されている。学生さんはもちろん、最近覚えられなくて困っている人や、脳を活性化させたい人にもいいと思う。
以下は私のメモなので、興味のある方はどうぞ。
基礎結合法とは
「忘れる恐れのないものを基礎にして、それに記憶するものを連結して覚える方法」。よく知っているものとは、たとえば
- 自分の体(人体)
- 家の中
- 家のまわり
- 家から(学校)会社までの道順
- 駅名やバス停
- 十二支
- 手、足の指
など、その順番が変わらないものをいう。これらを「基礎」にして、記憶しようとするものを連結していけばよい。
基礎表を作る
人体を基礎にした場合
- 頭(てっぺん)
- 額
- 目
- 鼻
- 口
- あご
- 首
- 肩
- 鎖骨
- 胸(おっぱい)
- みぞおち
- へそ
- 下腹
- 股
- お尻
- 太もも
- ひざ
- ふくらはぎ
- 足首
- つま先
これを確実に頭に入れておくには、実際に手で触れながら1番、2番と確認すること。
こうして基礎となる記憶の引き出し(記憶ソフト)をあらかじめ頭の中に作っておいて、それにこれから記憶しようとするものを連結してイメージを作っていく。
※基礎表はたくさんあった方がよい。
カワラ屋さん式<ペンキ屋さん式
記憶する際に必要なことは、カワラ屋さん式で覚えるか、ペンキ屋さん式で覚えるか――のどちらを取るかがポイントになる。
カワラ屋さんは屋根のカワラを1枚1枚きれいに並べながら屋根を完成させていく。ペンキ屋さんは、まずザーッと大ざっぱにペンキをまんべんなく塗り、そして最後にきれいに仕上げのペンキを塗っていく。
どちらが効率よく暗記できるかと言うと、ペンキ屋さん式の方が暗記には向いている。
(中略)
要するに、細かい部分は後回しにして、まずは大きな部分を頭の中に入れるということ。
系統図・分類表を覚える
これらの図表は芋づる式記憶法で覚えるとよい。これには基礎結合法と同じように、覚えたい図表と同じ形をした「基礎表」を作ることが最大のポイント。たとえば、学校を使った基礎表を作り、覚えるべき分類表と1項目ずつ連結してイメージを作る。
例)養殖の分類表を覚えるには、
- 学校で養殖が行われる
- 校舎では「淡水」の養殖、校庭では「海水」の養殖が行われる
- 職員室の中には「池」があり、その中で先生方が釣りをしている(池中養殖)
- 図書室には「溜池」があり、そのほとりで生徒は本を読んでいる(溜池養殖)
(以下同じように連結して覚える)
文字分解法は自由自在
- 林の中にカンひとつ。フタを開けたら※。それを箱に入れたのはヒミツ=鬱
- 草むら(くさかんむり)に立ち句をひねる。草むら(くさかんむり)で弱ったら蒟蒻を食べる=蒟蒻
文章分解法で長文もラクラク
以下の文章を覚える
第1条(目的) この法律は、法の下の平等を保障する日本国憲法の理念にのっとり雇用の分野における男女の均等な機会及び待遇の確保を図ると共に、女性労働者の就業に関して妊娠中及び出産後の健康の確保を図る等の措置を推進することを目的とする。(男女雇用機会均等法)
手順
- スラスラ読めるまで読み返しながら、文章のイメージを作る
- 記憶術は整理術だから、文章の整理を行う(整理の基本は番号をふること)
(整理例)
- 私たちは法の下で平等だー
- 働くことでも男女関係なくチャンスとお金は平等に得られるんだー
- 女性は妊娠中や出産後の健康は確保されているんだー
と頭の中で整理したら、あとはキーワードを探して連結する。
- 「法」→「保障」→「理念」→「雇用」→「男女」→「均等」→「確保」
色分け法
- 「問題」提起しているところ――赤
- 「解答」――青
- 「理由」――黄色
- 「例外」――緑色
これを勉強しているテキストに全部統一してそれぞれの色を使っていくと一目で認識できる。