毎日「ゴキゲン♪」の法則

自分を成長させる読書日記。今の関心は習慣化、生産性、手帳・ノート術です。

自転車の乗り方は人それぞれ☆☆

4487803209大人のための自転車通勤読本
松田 力
東京書籍 2008-08-27
価格 ¥ 1,470

by G-Tools

数ある自転車本の中では、最もエッセイに近いものだと思う。著者は日本ペンクラブ会員で著作も多いらしく、面白く読めた。

著者の本業は1級建築士で、表参道のご自身の事務所まで毎日片道約30分の道のりを自転車通勤している。やはり血液検査の結果が劇的によくなったそうだ。たとえば、血糖値が以前は430もあって医師が目をむいていたが、自転車通勤するうちに160くらいに落ち着いたのだとか。

とはいえ、この本に書かれていることは決して「健康のために自転車に乗りましょう」というものではなく、実に多岐にわたる。メカは苦手と書かれているのにやはり理系だからかさまざまな数値(ホイールのサイズやケイデンスという数値、タイヤの空気圧の単位にスポークにかかる重力から果てはカロリーや脂肪燃焼の値まで)を検証していたり、えんえんギアのことを書いていたりする。「しくみがわからなければ納得できない」と文中にもあったが、おそらく以前は科学少年だったそのままの好奇心であれこれ探求するという切り口は、一般的な自転車指南本にはないので新鮮だった。

さらに圧巻なのはサドルについての話。本格的な自転車に乗る人に共通の悩みが「自転車に乗るとお尻が痛い」ことだそうだ*1。さらに、男性の場合はお尻ではなく、体の構造上圧迫されたり色々問題があるらしいのだが、そのことに正面から深く切り込んでいる。そういう悩みがあっても、他の本では場所が場所だけにやんわりとしか書いてないのだが、この本だと実に詳しく書いてあるので、その方面の情報を求める人にはそれだけでも役に立つかもしれない*2


しかし、あれこれ自転車本を読んでみて思ったのは、乗り方も好みも人それぞれ、みんな自分がいいと思うものを勧めるので結局バラバラだ、ということだ。
この著者は通勤はやっぱりロードバイクしかないと思い、今のヘルメットなんて恥ずかしくてかぶれないとわざわざ旧モデルを取り寄せて使い、レーサーパンツや派手なロードバイク用のウエアなんてハゲのおっさんが着られるかい、と言う。しかし、こう言っては何だが、乱暴に言えば疋田さんも高千穂さんも「ハゲのおっさん」とひとくくりにしていい方たちだと思われる。
見た目の話は置いておいても、みんながみんなやはり自転車は10万以上はかけないと、とか本格的に乗るにはロードバイクしかない、と断言している本が多いが、家族は5万以下の台湾のメーカー製クロスバイクで実際に通勤しているし、今のところそれで満足しているようだ。それに、駐輪できないほど高くて盗られやすいものに乗ろうとはとても思えない。乗り物なのだからトイレにまで持って入るほど気を使うものは私だったら嫌だ。

こういうことは何冊も読んだから言えることで、はじめの頃は全部鵜呑みにしていたと思う。広くいろんな人の意見を読むという効用を実感できた。


タイトルの通り、読み本として気軽に楽しめる。How toではない自転車関係の本を読んでみたい方(特に男性)にお勧めです。

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「自転車生活の愉しみ」
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「自転車三昧」

*1:私はママチャリ以外未経験なのでわかりません

*2:残念ながら、女の私には大変そうだなあと想像するしかありません