毎日「ゴキゲン♪」の法則

自分を成長させる読書日記。今の関心は習慣化、生産性、手帳・ノート術です。

「自立型人間」を目指すには☆☆☆

4822243613カリスマ体育教師の常勝教育
原田 隆史
日経BP社 2003-10-16
価格 ¥ 1,470

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昨日に引き続き、こちらも原田先生の本。日誌のことを書く関係で「大人の生活指導」を先に書いたが、実は読んだのはこちらが先だった。

この本は「いかに子供を教育して結果を出してきたか」という経過がくわしく紹介されている。原田メソッドとも言える独自の方法がどうやって作り出されたか、それをどこから取り入れたのかも惜しみなく紹介されている。原田先生の態度教育の要とも言える清掃活動が鍵山秀三郎さんの『凡事徹底』から取り入れられたものだということを、この本を読んで初めて知った。

この本のメインはやはり子供に対する指導で、先生が使う5つのステップ(Plan/Check/Do/See/Share)に沿って紹介されているのでわかりやすい。私が知りたかった日誌はこのうち「See」にあたり、必ず先生が見て(=See)赤ペンでコメントを返してくれるというもの。これは以前TVの特集で見たことがあり、中学生が毎日大学ノートに何ページもぎっしり書いていた。大人はさすがにここまで書くのは時間的にむずかしいため、昨日紹介したようなシンプルな方法になっているのだと思う。会社でやる場合は、やはり上司や先輩が日誌を読み、コメントすることが多いようだ。自分でやる時には赤ペンでコメントしてくれる人がいないが、書くことで客観的に見られればいいのだと感じた。

最後の章ではじゃあ大人はどうすればよいのか、ということが紹介されている。
昨日少し触れた3分間作文の手法はこの本に詳しく書いてある。大学の授業で講義の最初と最後に3分間書かせることで主体変容を実感できる、というものだ。
まず1分間、何を書くのか心の中でイメージする時間をとり、その後3分間で一気に書き、何文字書けたかを数える。これを繰り返すうちに必ず文字数が伸びるのだそうだ。特に講義の終わりに書く時は、はじめの文字数を目安に目標を決め、そこに印をつけておいて必ずここまで書く、と思って書くことが伸びる秘訣だそうだ。
これを繰り返すうちに、文章が苦手だと思っていた学生が書けるようになったり、意識が前向きになり集中力が出てくるのだそうだ。


この方法の素晴らしいことは、一度しっかり身につければ学校を卒業しても、成長して社会人になっても自分でずっとやっていけるということだ。この本で原田先生は繰り返し「自立型人間」という言葉を書かれているが、自分で判断し、行動できる人間を育てるために作り上げたのがこのメソッドなのだと思う。マニュアル人間が多いと言われる今、原田先生の手法が注目を浴びるのも当然だろう。

実際に企業に導入した例なども紹介されているので、組織でやってみたいと思われる方にはこの本がいいと思う。
長期目標設定用紙のほかに、「勝てると思う>負けると思うシート」というもの*1が巻末に付録としてついているのも役に立ちそう。
以下は私のメモなので、興味のある方はどうぞ。

試合前後にチェック

松虫では試合が近づくとチェック用紙を使って「心はどうか」「技はどうか」「体はどうか」を調べます。この3つが揃って初めてベスト記録が出るので、チェック用紙を基に、「心・技・体」の3要素を過去に経験した最高の状態、すなわちゾーンの上限に向けてつくりあげていくのです。
試合後にも心・技・体にわたり、試合前と同様のチェックを行い、必ず反省を文章でまとめます。失敗があればよく把握させた上で同じ失敗を二度と繰り返さないように指導します。
メンタル面ではどういう違いがあったか。その時の最高の技はどんなもので、失敗した技はどうだったか。体調や暑さ対策などはどうだったか。勉強やお手伝いなどの家庭生活はどうだったか――。
常に試合の前後で自分の幅を把握できるようにしておきます。すると同じ失敗を繰り返したり、ふと気づくと自分の一番悪いパターンに陥りかけている時があることが見えてきます。

行動予定表

試合が近づくと当日の進行に合わせて行動予定表というものを書かせています。試合の1週間前に、当日を予測してイメージをわかせ、用紙の左側に行動予定を書きます。右側には実際の行動を書きます。するとほとんど同じ内容になってくるのです。予定に合わせるわけではないのですが、慣れてくると、予定と当日の行動が自然と一致してくるのです。

くじ引き理論

心を使って目標設定用紙を書き上げると、日本一までの道筋がはっきりと見えてきます。あとは書いたことを毎日繰り返し、目標に着実に近づいていくだけです。
ところが、これが現実には簡単にいきません。自分が求めてきたノウハウにやっとの思いで巡り合えても実際には実行しない人が多いのです。
それでは勝てません。いいノウハウだとわかっているのにそれを使おうとしないことを、私は「くじ引き理論」と呼んで今。目の前に“当たりくじ”があると教えられていながら、自らハズレを引いてしまうようなものだからです。

「勝てると思う>負けると思う」シート

松虫では、子供たちから選ばれた学年別、男女別のまとめ役であるリーダーにこの紙をわたして回していきます。「勝てる」は5個で「負ける」は3個。負けると思うことを少なく書く。マイナスが少なくしてあるのもポイントです。
この紙を試合の朝、出発前の練習までに印刷して全員に配ります。これをしたら勝てる、これをしたら負けるぞといって、1日の行動の質を高めるのです。

*1:詳しくは下のメモをご覧ください