マンガで読む忙しいティーンのための時間の使い方徹底攻略―今しかない時間を大切に使おう! フランクリンコヴィージャパン キングベアー出版 2008-03 価格 ¥ 1,575 by G-Tools |
「7つの習慣」は以前ブームになった時手に取ったのだが、結局よくわからず最後まで読めなかった。そのトラウマを解消すべく、マインドマップが子供向けの本でやっと書けるようになった経験を踏まえて今回はティーン向けの時間管理に特化した本を読んでみた*1。
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これが侮れない内容。「こんな本が10代の時にあれば」と思うのはたぶん私が年を取ったからだと思うが、大人が読んでも充分役に立つと思う。ここまできっちり基本的な考え方から教えてくれる本は初めて読んだ。私はなぜその方法がいいのか、理屈や理論を理解した方がうまくできる&長続きするタイプなので、そういう人には特にお勧め。
私が役に立ったと思う内容は次の3つ。
1.予定は「大きな石」から入れる
大事なこと、重要なことからスケジュールに入れていく。
1日の時間をバケツ、行動を石と考えると、容量の決まっているバケツにできるだけ効率よく石を入れるには、まず大きな石から入れ、小さな石や砂(=緊急度・重要度の低い用件)はそのすき間に入れていくようにするとたくさん入る。もし全部入り切らなくても、小さな石なら明日以降に回しても問題はないはず。
どうしても早く決まったものからスケジュールに入れてしまい、それが重要なことかそうでないかを考えずに、それを優先して以降のスケジュールを考えてしまうことが多いのです。しかし、それではいつまで経っても自分にとって大切なことが後回しになりかねません。たまたま時間に空きがあって実行できたとしても、そんなバラバラで不安定な行動では、せっかく時間を使っても有意義な活用の仕方ができなくなってしまいます。
2.寝る前15分に反省会をする
今日の予定をちゃんとクリアできたか、このスケジュールの立て方でよかったか、もし改善するところがあるならどう変えればもっとよくなるかを考え、その上で翌日の予定をもう一度見直す。
折に触れて手帳の内容を確認するだけでなく、毎日、自分が立てた予定と実行内容や現状を振り返り、評価することも大切。
3.「刃を研ぐ」習慣をつける
自分自身を磨いていくことを「刃を研ぐ」と呼ぶ。木を切る時にただ切り続けていてはのこぎりの切れ味が落ちてくるので、効率よく木を切るためには手を止めて刃を研ぐ時間も必要だ。
スティーブン・コヴィーの説く大切な4つのこととは
- 肉体面(病気をしない、粘り強い体力)
- 知性(学力、知力)
- 気持ち(友達との信頼関係、感情のコントロール)
- 精神(正しいことを正しいと思う力)
これらをバランスよく磨いていくことが大切。
あなたの家の車も、長く故障なく乗ろうと思えば、定期的にメンテナンスを行い、修理すべきところは修理しておかないと、ある日突然止まってしまったり、最悪の場合は大きな事故につながることにもなりかねません。
もっと身近なところに目を向ければ、部屋のエアコンも、キッチンの包丁や流し台も、お風呂の床や壁も、あなたが使う鉛筆も、今身につけている下着や靴下も、日々の手入れを怠れば、いざというときに使えないだけでなく、日常生活において快適に使い続けることができないものばかりです。
そう考えれば、あなたが自分自身の「刃を研ぐ」ことの大切さがきっと実感できるのではないでしょうか。
この本には付録として3ヶ月分のスケジュールを管理できる手帳がついている*2。マンガで大事なこともわかりやすくなっているし、いろいろ読んだけどうまく行かない、という人はだまされたと思ってこの本の通り実践してみるのもいいのでは。
以下は私のメモなので、興味のある方はどうぞ。
時間管理のマトリックス
- 第I領域=緊急で重要
- 第II領域=緊急ではないが重要
- 第III領域=緊急だが重要ではない
- 第IV領域=緊急でも重要でもない
●第II領域は「今すぐやらなくても問題は起きないが、やった方が自分のためになると確信できることはあなたにとって大切な行動である場合が多い」。ただしどんなにいいことでも必要以上に時間をかけるのは時間の浪費。
何を優先して時間を確保するかバランスを考える
●第III領域が多い人は「イエスマン」タイプ。
大事なことは「自分がやるべきでない」と感じたらその場できちんとノーを言うこと。そして「自分がやるべき」だと心から思えることであれば、笑顔でイエスと言い、全力を尽くすこと。
1件1件の行動に対し、その都度きちんと検討して態度を選択すればよい。そして、どちらを選んだとしても、それが自分の選択であることを忘れないようにする。
●第IV領域は、大事なもの、緊急なものから埋めていってもまだ空いている部分があればそこに自分の好きなことを入れてもよい。やるべきことをやった上での息抜きは、リフレッシュ効果があり、ただだらだらと遊び続けるのとは異なる。
優先順位をつけてスケジュールを考える
重要な順からABC、Aは絶対に今日中に達成すること、Bはできるだけ今日中に達成すること、Cは場合によっては明日以降に回せることとランクづけする。さらに各ABCの中でも優先すべきものから順に123とつけていく。つまりA1が最重要。これで手帳を開いた時に今日、自分が何から片付けるべきかがすぐわかるようになる。
※1日のスケジュールの下にリストアップし、ランクづけしてから時間に割り振るとよい。
予定の時間を過ぎたら
その項目はやめてさっさと次の予定に移ることも大切。
重要度に関係なく早い時間に立てた予定にどんどん大事な予定がつぶされるのを避けるため
自分が直接影響できることに意識を集中させる
「自分の行動次第で変えていけること」に意識や行動を集中させ、今いる場所で最善の行動をとることによって、あなたの現状をよい方向に変えていくことができる。
自分で確実にコントロールできることに目を向けると、実際に結果が出るし自信が生まれて心も穏やかになる。
役割という観点から時間の使い方を考える
生徒という役割、先輩/後輩という役割、クラスメイトという役割や、家族の中での役割など1人1人が多くの役割を持っている。自分にどんな役割があるかを書き出し、それぞれの役割でこの1週間であなたがやるべきことを考えてみるのもひとつの方法。どういう行動をとったらそれぞれの人の笑顔を引き出せるか考えてみる。このように自分の役割を掘り下げて考えていくと、あなたにとって「何が重要なのか」「今、何をするべきなのか」が見えやすくなる。
役割という観点から時間の使い方を考える場合には、特定の役割だけに偏りすぎないように、全体のバランスを上手にとりながら、それぞれの関係と目標(行動)に見合った時間配分を考えていくことが大切。
書き込んだら忘れる。ひとつすんだら手帳を見る
本当に自分にとって必要だ、大切だ、と思えること
を決めて、それをどうやったら毎日の生活の中で実行できるかを考えていくことが大事なんだ。カッコつけてできやしないスケジュールを立ててもそれそこ時間の無駄だろ?
ボイス(内なる声)
4つの輪を想像する。
- 自分は本当に何が得意か?それが「才能」である。
- 自分は何をするのが好きか?それが「情熱」である。
- 自分が仕事を通じて世の中に貢献できるものは何か?それが「ニーズ」である。
- 自分は何をするのが正しいと思うか?それが「良心」である。
この4つの円が重なり合う部分、それがあなたのボイスなのだ。
ベンジャミン・フランクリンの言葉
われわれは岐路に立っている。毎日、毎時間、毎分、選択する。思考を選択し、感情を選択し、行動を選択する。それぞれの選択は、私たちの生活を方向づける価値観に沿って行われる。その価値観を選択するときこそ、私たちは人生最大の選択を行っている。
*1:「7つの習慣 ティーンズ」という本もあります
*2:私は図書館で借りたので付録は見ていませんが、本文中に例として手帳のページが出てきます