毎日「ゴキゲン♪」の法則

自分を成長させる読書日記。今の関心は習慣化、生産性、手帳・ノート術です。

「0を1にする力」と「1を10にする力」は違う☆☆

4532193354リクルートで学んだ「この指とまれ」の起業術 (日経ビジネス人文庫)
高城 幸司
日本経済新聞社 2006-03
価格 ¥ 680

by G-Tools
著者はリクルートトップセールスとして活躍されたあと独立。現在は経営コンサルタントであり、多くの著書も出されている。
この本はメルマガ「1分間書評!『一日一冊:人生の智恵』」で最高ランクの★5として紹介されていたので興味を持って読んでみた。

著作にはトップセールスとしての経歴から営業関係の本、また仕事術や社内マネジメントに関する本がたくさんあるが、この本はそのどれにも当てはまらない、少し毛色の違った本だ。リクルートという会社はどんなところなのか、なぜ長年トップでいられるのか、その秘密を公開したと言ってもいいと思う。中でも、リクルート出身で起業した人や、またベンチャー企業に途中で参画する人が多い理由がこの本を読めばわかる。
リクルートでは、新しい事業を立ち上げる、いわば「社内起業」を支援する風土と歴史があり、それを数多く経験することで自然に起業する練習になるのだ。大企業とベンチャー企業の両方の性質を併せ持つ、特殊な環境と言えるだろう。

じゃあリクルートにいない人は起業や独立準備ができないのか、と思うかもしれないが、この本ではリクルート内外のたくさんの事例が失敗例も含めて紹介されており、何をすればいいのかがわかるようになっている。また、当面独立するつもりのない人でも、どうやって自分のモチベーションを上げて行くかや、社内マネジメントのヒントもいろいろあるので、得るところは大きいと思う。


私がなるほど、と思ったことは「0を1にする力と1を10にする力は違う」ということと、起業するにはまず人が集まってからというところだ。

以前読んだ本田直之さんの本で、レバレッジとは「0から1にするのは大変だから、すでにある1を10にすること」と書かれていたが、この本ではこのふたつはまったく別の力なので自分はどちらが好きなのか、またどちらが得意か知っておくことが大切だとされている。どちらのタイプかがわかれば、新しく仕事を始める時に自分と違うタイプに参加してもらうことができる。

さらに、起業の準備として最も大切なのは資金よりも人を集めることだそうだ。自分が得意な分野以外の人材を確保しておかないと、ビジネスは回らない。そして、自分がある程度引っ張って軌道に乗せることができたら、速やかにそれを誰でもできるようにシステム化し、そのレベルまで来たらそれに向いた人に任せること。いつまでも自分が引っ張る形のままでいると、オーバーフローを起こしてしまうのだそうだ。

ある程度の規模以上のビジネスを考えている人向きだが、一般的な起業のイメージや考え方とは違う、経験に裏打ちされた数々のノウハウは斬新で説得力がある。興味のある人、現在企業で働いている人には役に立つ本だと思う。