![]() | おしゃれに。女 内館 牧子 潮出版社 2006-12 価格 ¥ 1,500 by G-Tools |
内舘さんでこのタイトル、紹介されなければ絶対借りないな、と思ったが、これは雑誌に連載された対談集をまとめたもので、男性版もあるそうだ。
こちらのテーマは「オバサンっぽくならないためにどうすればよいのか」というもの。対談相手はデューク更家さん、ドン小西さんをはじめ、ヘアメイクアップアーティスト山本浩未さんから脳トレーニングの川島隆太先生や免疫力の安保徹先生まで、豪華な顔ぶれ。外見や内面の磨き方を各界の権威に遠慮なくたずねる内舘さんの話が面白い。失礼だが、やはり人気脚本家、話の持って行き方がうまいと思った。ここ数年はいつも不機嫌そうな表情しか拝見したことがないので、勝手にイメージを作っていたのかもしれない。
もちろん具体的な「オバサンにならない方法」も有益だったが、真のエレガンスとは何かというヒントがあちこちにある。
たとえば、「ヘソクリが7万あるとして、何を買えばいいか」という質問に対するドン小西さんの答。内舘さんは服に対するアドバイスを想定していたと思うのだが、ドン小西さんは「身の回りを変えていく意識」が大事だと言っていた。食器や、シーツやピローケースを変えるなど美しいものに触れることをすすめていた。驚いたが、不思議に納得できた。着飾ればいいってものじゃないのだ。
中でも、私が素晴らしいと思ったのは飯田深雪さん。2007年に亡くなられたが、対談当時101歳目前で現役料理研究家・アートフラワー創始者として活躍されていた。ことばひとつひとつが宝石のようだと思った。中でも、「人生に絶望なんてないものなんですよ」ということばには凄みさえ感じた。後継者に、と思っていたお嬢さんに先立たれた辛い経験もお持ちなのに、にっこり笑ってそう口にできる100歳。ここまでなれるとは思えないが、年を取るのがちょっと楽しみになるかもしれない。
実は、内舘さんの書かれたあとがきを読んで、「やっぱりこの人は好きになれない」と思ったのだが、対談としてはとても面白く読める。コンパクトにいろんな人の考え方や生き方を学ぶことができるので対談集はいいものだ、と再確認できた。