毎日「ゴキゲン♪」の法則

自分を成長させる読書日記。今の関心は習慣化、生産性、手帳・ノート術です。

自分と向き合い、自分で判断することの大切さ☆☆☆

4344981057肉体マネジメント (幻冬舎新書)
朝原 宣治
幻冬舎 2009-01
価格 ¥ 777
by G-Tools
長年日本の短距離界を引っ張り、北京オリンピック男子100メートルリレーで銅メダルを獲得した朝原宣治さんの本。タイトルだけ見ると「体を鍛える人のための本」のようだが、実際には自分を磨くため、結果を出し続けるための方法としても読めるので、多くの人の役に立つ本だと思う。


朝原さんがなぜ長年トップアスリートとして活躍できたのか、その理由は3つある*1

  1. 積極的に海外に飛び出していったこと。
  2. セルフマネジメントを続けてきたこと。
  3. フォームよりも、自分の「感覚」を重視したこと。

この2と3については、やっていることのジャンルにかかわらず、誰にでも取り入れられることだと思う。もちろん主な内容は「走る体をどのようにマネジメントするか」なのだが、あえて「自分にも取り入れられるヒントを得る」という視点で読んでみた。


この本を読んで感じたのは、朝原さんは非常に柔軟性のある考え方をする人だ、ということだった。
スポーツ選手ならよくやるゲン担ぎをこの人はしない。会場や天候なども含めて毎回同じコンディションでできるわけはないので、そこにはこだわらずに「その時自分がやりたいように動く」ことを重視しているそうだ。
つまり、「自分はどうしたいのか」「どうすれば思うように走れるのか」「これが自分にとって気持ちいいことなのか、そうではないのか」など、ふだんから自分の感覚と向き合い、それをとぎ澄ませてきたからこそできるのだと思う。

その結果「コーチにつかず自分でやる」というスタイルになったのだという。ドイツやアメリカに留学し、コーチについて学んだのち、日本に帰ってからは自分だけで練習メニューを考え、よいと思われる方法やフォームを磨いてきたそうだ。ハードラーの為末大選手もそうだが、一流の選手になると、自分にとってベストな方法は自分が一番わかるようになるのかもしれない。

それは、北島康介選手のコーチである平井さんが「ある程度の年齢になったら選手と距離を置く。いつまでも手取り足取り教えていると、選手は自分で考えられなくなる」と書かれていたのと同じことだと思う。
朝原さんはコーチの言う通りにして100メートルで9秒台を出したとしても、うれしくない、と書いている。

選手には誰しも、自分の感覚や理論を信じたいという気持ちがあるはずです。
自分が思っている技術や理論、考え方で走ってみたい。
仮に9秒台のタイムが出たとします。でも僕は自分の考え方以外の走りをして出たタイムだったら、まったく喜びを味わえないでしょう。「よくわからないけど、9秒台が出ちゃったよ」では、いくら速くても面白くないのです。

それは、人生でも同じような気がする。誰かに言われた通りにやって成功しても、それは自分が成功したように感じないのではないだろうか。


また、年齢と共にどのようにトレーニングを変えたのかについても、詳しく書かれている。それもやはり、常に自分の今の状態と向き合い、その感覚を大切にし、記録を取ってきたからこそできることだ。それを積み重ねて、最終的には自分で判断していく。

他にも原田隆史先生も説かれている「あらゆる準備をやっておく」をしていたおかげで銅メダルが取れた秘話も紹介されている。
リレーでは、バトンパスのスタートのタイミングがわかるようレーンにテープを貼るのだが、たまに主催者側が用意したテープ以外は許可されないことがあるそうだ。オリンピックでもそのような指示が出ていたが、日本の4選手は万が一に備えて自前のテープを靴などに入れて持ち込んでいた。主催者側から渡されたテープは銀色。夜で雨というコンディションでは見づらいと思い持ち込んだ白いテープを使ったそうだ。バトンゾーンでの失格が6チームも出たのは、それも関係あったのではないかという。あらゆる想定をして準備することの重要性を感じるエピソードだ。

また、「失敗学」で紹介されていたように、よいことも悪いこともすべてシミュレーションしておくのだそうだ。最高のシチュエーションから最悪なものまでイメージして体験しておくことで、ふだん通りの実力を出せるのだという。数々の大きな試合を経験した人の、重みのある言葉だ。


全体を通して、やはり一流の人はそれだけのことをやっているんだ、と再確認できた。凡人はついつい、勢いだけで何かをしてしまいがちだが、それでは一流にはなれない。


以下は私のメモなので、興味のある方はどうぞ。

準備を怠らずに、

できることはすべてやっておく。今考えてみると、そういう意識の高さは、僕らの大きな武器になった。

心がけていたのは、

「現時点での自分の力」を正面からきちんと把握することだ。
体の回復は年を重ねるごとに遅くなるし、キレも落ちるところが出てくる。その体でどうやったら速く走れるのか、どうしたらケガをしないのか、ということを考え続けているうちに、結果的に競技生活が長くなったのだと思う。

自分の体のことは自分にしかわからない

自分の体と対話しながら、場面場面で適切な選択をしていく必要がある。

自分なりに理解し、咀嚼する

もちろん自分がわからないことについては、人にアドバイスを求める。しかし、それを鵜呑みにするのではなく、自分なりに理解し、咀嚼することで初めて自分の身につくのだと考えていた。

自分の理論を信じることができれば、

あとは向上心さえあれば、長い期間苦しいトレーニングをし続けることも、苦ではなくなるはずだ。

感覚の再現性

再現させるには、体のこの部分を意識して、こう動かせばいいというコツのようなものがある。それが「感覚のスイッチ」だ。
一発屋の選手はスイッチの押し方をわかっていないのだろう。たまたま何かの拍子にスイッチを押して記録が出てしまった。でも、どうやって押したのかがわかっていない。
それを自分の中できちんと確立しておかないと、再現することができない。

レースに無心で臨めるだけの準備が必要

厳しい練習で感覚を研ぎ澄ませ、自分のイメージする正しい体の使い方を完全に刷り込んで、レースには無心で臨むくらいでないと、とても世界とは戦えない。

*1:前書きにあります