毎日「ゴキゲン♪」の法則

自分を成長させる読書日記。今の関心は習慣化、生産性、手帳・ノート術です。

考える力で勝つ☆☆

4047101516 野村再生工場 ――叱り方、褒め方、教え方
(角川oneテーマ21)

野村 克也
角川グループパブリッシング
2008-08-10
価格 ¥ 740
by G-Tools

少し前のメルマガ「1分間書評!『一日一冊:人生の智恵』」で紹介されていたのがプロ野球楽天監督の野村克也さんが書いた「敵は我にあり(下巻)」だった。 ====
昨年から割合はかなり減ったが、長年プロ野球を見てきた。私は阪神ファンではないが、周りのファンはもちろん、関西での野村監督の評価は低い。阪神だけは野村監督が在任中の3年間、いずれも最下位だったからだ。さらに、「ほめない」という時代に逆行するようなやり方も、叱る時も直接ではなく記者に言ってマスコミを通じて本人に知らせるなど、私にはあまりいいものに感じられなかった。
ところが、そのメルマガには「野村監督の考え方は、完全に成功法則にのっとっています」と書かれていたので興味を持った。
それで、手に入りやすかったこの本を読んでみた。


プロ野球ファンなら野村監督の異名が「野村再生工場」なのはよくご存じだろう。ピークを過ぎたと思われた選手、他のチームを戦力外になった選手を引き受けて再生させるからだ。この本ではタイトルの通り、どういう考え方で選手を再生させているのかがよくわかる。また、南海時代から現在の楽天まで、選手の才能をいかにして開花させたか、実例が豊富に載っているのでプロ野球の好きな人には面白く読める。
やっぱり辛口の部分はあるし、悪く言われっぱなしの数人は気分悪いだろうなと思うが、確かにこの人が結果を出せる、チームを強くできる人なのだ、それには根拠があるのだということはよくわかった。
「暗くてブツブツ言う、ほめない厳しい監督」という先入観は改めようと思う。

その根拠はどこにあるのか。それは、「能力が低い分を頭でカバーする」という一貫した考え方による。才能あふれる人は何も考えずにプレーしてもうまく行くかもしれないが、才能のない人はやみくもに打っても結果はついて来ない。現役時代、自分の才能のなさをどうカバーするか、その試行錯誤の結果行き着いたのがデータ野球だったそうだ。
たとえばバッターボックスに入った時、来た球をただ打つのと、この場面ならどんな球を投げてくるか、と考えてから打つのでは、球種を絞り込んだ方がヒットにできる確率が上がる。技術があまりなくても、予測した球なら打ち返せる可能性が高くなるからだ。
つまり、「さまざまな状況を考え、もっとも成功する確率が高い手段を取る」のが野村野球なのだ。

確かに、「成功法則」というか、ビジネスでも使える考え方が随所に見られるし、「仕事において考えるということはどういうことなのか」を学ぶことができる。野球がそこそこわかる人でなければむずかしいかもしれないが、仕事に活かせるヒントはたくさんあると思うので、ぜひトライしてもらいたい。
私も「敵は我にあり」はぜひ読もうと思う。


以下は私のメモなので、興味のある方はどうぞ。

一流とは

依頼心が強ければ強いほど、人間の思考能力は衰える。思考を停止すれば、進歩も止まる。一流とは、より多くの疑問を抱き、失敗からたくさんのことを学び取る能力に優れた人間のことをいう。
だからこそ、選手は自分自身で疑問を感じなければならず、コーチはそのようにし向けてやらなければならないのである。

ヒンズー教の教え

心が変われば態度が変わる、
態度が変われば行動が変わる、
行動が変われば習慣が変わる、
習慣が変われば人格が変わる、
人格が変われば運命が変わる、
運命が変われば人生が変わる。

成功の確率を上げる

充分に準備をしたからといって、必ずしも成功するとは限らない。だが、成功する確率ははるかに高くなる。野球は確率の高い方を選択するスポーツである。強者なら天性だけで向かっても打てるかもしれないが、弱者が勝つためには、あらゆる準備をして臨まなければ太刀打ちできない。

人間の価値は他人の評価で決まる

他人の評価が正しいのだ。「この選手はこうなってもらわなければこれ以上伸びない」と周りが判断しているのに、当の選手が自分は正しいと思い込んでいては、つまり自分から「変わろう」という意志が見られないのでは、いくらこちらが変えようとしても変えられない。

「鈍感は人間の最大の罪である」

と私は思っている。言われたことを素直にやってみる、間違いに気づいてそれを正す、どうすればもっとよくなるか考える――こうしたことができなければ、いくら私がアドバイスしても、成長することはないし、同じ過ちをくり返すだけである。