毎日「ゴキゲン♪」の法則

自分を成長させる読書日記。今の関心は習慣化、生産性、手帳・ノート術です。

まだまだ工夫の余地はある☆☆☆

4534045239もう人で悩みたくない! 店長のための採る・育てる技術
岡本 文宏
日本実業出版社
2009-03-05
価格 ¥ 1,470

by G-Tools
著者は元・セブンイレブンFCオーナーで、現在は「日本で唯一の店長専門ビジネスコーチ」。
その異色の専門家が店長のために採用から育て方まで、ノウハウを公開した本だ。私は店を出す予定も何もないが、この本にはビジネスでもっとも大切なことが書かれていると思った。決してフランチャイズ店をやっているとか、これからやりたい人だけに読ませるのはもったいない本だ。

ビジネスというのは必ずお客様がいる。著者は、顧客満足度を上げるのと同じような方法、心がけでスタッフの満足度を上げることが、スタッフの定着、ひいては店のクウォリティを上げると書いている。
つまり、お客様に対する考え方がしっかりしていれば、それをスタッフにも向けることでスタッフとの信頼関係も築けるのだ。「人との信頼関係をいかにして築くか」を教えてくれる本ともいえる。


また、採用した後の育て方もくわしく紹介されているが、ここでは組織運営の基本的なことが学べる。マニュアルをどう作り、どう教育すればいいのか、連絡事項を素早く全員に伝えるにはいつ、どんな形で伝えればいいのかなどは、「シンプルで使いやすいシステムが長続きする」ということを教えてくれる。

ここに書かれていることは、著者がコンビニ店を運営しながら培ったノウハウが多いので、予算も時間も人数もやりくりが大変、という状況で編み出したものがほとんどだ。これらを見ると、そのノウハウが自分に直接役に立たないものだとしても、いかに頭を使って工夫できるか、現状を打開できるかが学べると思う。それだけでも読む価値がある。

後半に「問題児」スタッフをどう扱うか、という話が出てくるが、これも「クレーマー」のお客様対応と同じだと感じた。スタッフもお客様も同じ人間、何が嫌で、どう扱われれば喜ぶのか、基本は同じはず。見方を変えれば、スタッフの対処法は、すべて対お客様のノウハウとしても使えるのだ。また、「やる気を引き出す」方法はいろいろ紹介されているので、部下や子供などに教える機会のある人には参考になると思う。


「商売」は特殊なもの、と考えず、人間関係を深めることでお互い楽しく働き、結果(=収益)を出しましょう、という考え方で書かれているので、商売に対する考え方がこの本を読んで変わったように感じた。ぜひ、店長以外にも読んでもらいたい本だ。
個人的には著者の肩書き「日本で唯一の店長専門ビジネスコーチ」から、非常にニッチなものでもやっていけるんだ、ターゲットが大きければいいというわけじゃないんだ、という気づきをいただいた。私がこれからやろうとしていることは、あえてターゲットを狭くする方向なので不安があったのだが、勇気をもらえたのでその意味でも感謝したい。


以下は私のメモなので、興味のある方はどうぞ。

商品広告でも求人広告でも基本は同じ

商品広告でも求人広告でも、作成する上での基本的な構造はさして変わらない。なぜなら、広告を見るのはどちらも「人」だから。「商品を売る」「人を集める」、どちらの場合も同じ心理プロセスで人は動くもの。

呼びかける対象を明確にする

まずはその広告を見ている人に、あなたに関係のあることが書かれているのだということを気づかせることから始める。そうしなければ、いくら有益な情報が書かれてあったとしても、それを伝えることはできなくなってしまう。

「自分のことだ!」と思わせる広告

塾の講師に応募する人は、どちらかというと肉体労働を選びたがらない人が多く、自分の知識、つまりは自分が受験をした時に身につけたテクニックを上手く活用して収入を得たいというニーズを強く持っている。
そこで、塾講師募集の公告のキャッチコピーは
「肉体労働ではなく、あなたの知識でお金を稼ぐ」
というフレーズを使い、明確に示す。

行動を起こしてもらうには、手に入った後の状態をイメージさせることが必要

自分がほしいと思っているものが手に入った後の状態や自分が理想としている状態をイメージすることができれば、そのイメージ通りになりたいという願望が強くなり、人はそれを手に入れるために行動を起こすようになる。
「午前6〜午前9時 時給830円」だけでなく、「早朝3時間だけ週2回働いて、1ヶ月の収入24900円」というモデルパターンを明記することで、現金を受けとった後の自分の生活の変化がイメージしやすくなる。これは、ダイエット食品広告のビフォー/アフターと同じ。

マニュアルはスタッフ自身が作り上げる

著者は「マニュアル大歓迎」派だが、おすすめなのは、新人スタッフが研修で学んだことを、自分のために、自分でまとめて、自力で作り上げる「超マニュアル」。
自分で作ったマニュアルなので、どこに何が書いてあるのかもある程度わかる。手のひらサイズのノートにして、ズボンや上着のポケットにいつでも携帯できるようにさせていた。また、作業項目のカテゴリーごとに見出しをつけ、必要な箇所がさっと開けるようにさせていた。

自主的に“考動”するスタッフを作るには

「何をしてほしいのか」
「どういう風に動いてほしいのか」
をまず明確に伝える。
自分の言ったことが伝わっていなければ、それは言っていないのと同じ。自分の考えを相手に伝えるためには、話し手が理解している言葉ではなく、相手がすぐに理解できる言葉に置き換えて話すことが基本。
自分が携わっている仕事の意味を理解し、その重要性が明確になると、スタッフは自主的に“考動”しやすくなる。

スタッフのレベルを底上げする「行動指示書」を用意する

最低限必要と思われることに関しては、前もって決められたルールに基づいた行動が取れるような指示書を準備しておくと、お店のあるべき姿から大きくずれることなく、オペレーションが可能になる。
ある程度のところまでは、それほど考えなくても動けるようにしておくと、その後、スタッフは自ら“考動”を起こしやすくなる。