手紙屋 蛍雪篇 〜私の受験勉強を変えた十通の手紙〜 喜多川 泰 ディスカヴァー・トゥエンティワン 2007-12-28 価格 ¥ 1,575 by G-Tools |
著者の喜多川泰さんは現在塾を経営されている。その塾では、勉強は一切教えないそうだ。喜多川さん曰く「勉強はひとりでできるから。ひとりでやった時が一番身につくから」だそうだが、その話を聞いた時は「じゃあ、塾では何を教えているんだろう?」と思った。その答がこの本に書いてある。
主人公の和花は高校2年生。ごく普通の高校生らしくバンドをやったり、友達と遊んだりで忙しい。大学に行きたいとは思っているが、なぜ行きたいのかと聞かれてもうまく説明できない。そんな状態なので、勉強にもなかなか身が入らない。
そんなある日、兄から「『手紙屋』と手紙のやりとりをしてみないか」と勧められ、和花は手紙屋に手紙を書いてみる。十通と決められたやりとりの中で、勉強する意味や生き方を学び、さまざまなことに気づいていく物語だ。
手紙屋の文章が素晴らしい。押しつけがましくないのに結果的にいろいろなことに気づかせてくれる。また、内容も勉強に限らず、10代の時のいろいろな悩みにも答えてくれている。何度も読みながら「10代の時にこの本があればなあ」と思った。
しかし、大人が読んでも価値がある本。「10代にもわかりやすく書かれている」が、やはりこの本も成功法則に基づいているからだ。生き方を見直すきっかけになると思う。
とはいえ、一番読んでほしいのはやっぱり受験世代だろう。受験生がこの本を読むと読まないとではその後の人生が大きく変わると思うので、甥に送っておいた。
この本は実は『手紙屋〜僕の就職活動を変えた十通の手紙〜』のあとに出されたものだが、同時に執筆されたものなので“2作でひとつの作品”になっているそうだ。こちらもぜひ読んでみたい。
以下は私のメモなので、興味のある方はどうぞ。
ないと迷いが生じる「あるもの」とは?
自分がこれから、何かの役に立つ人間になっていこうと考えた時、何かを成し遂げようと思った時、「あるもの」がなければ途中で必ず「そもそも、こんなことをやって意味があるのかなあ」という迷いが生じてしまう。これが前回のお話でしたよね。
その「あるもの」とは『意志』です。
意外に簡単な答で驚いたかもしれませんね。でも、この『意志』は、あなたの人生すべてを左右する力を持つんです。
意志の力が強い人は、どんなことでもやり遂げてしまいます。
反対に、意志の力が弱い人は、どれほど簡単なことでも達成することができません。
「やるべきこと」の本当の意味
「やるべきこと」というのは、決して「やらなければいけないこと」ではありません。ここを混同している人が多いから、「不快・退屈・苦痛」を感じてしまうのです。
それは、本当は『将来の自分が、今の自分にやっておいてほしいこと』なんです。
つまり、私たちは1日という時間を、『今の自分の欲求を満たすため』か、『将来の自分の欲求を満たすため』に使っているのです。
家に帰ってから最初に座る場所で、自分の人生が決まる
私はただ、一度やり始めたことを途中でやめるのが嫌いな人間だっただけなのです。そのことに気づいた時、私は、自分が最初に座る場所を勉強机の前にするという意志を持つだけで、人生が変わるんだということを確信しました。
(中略)
仕事から帰ってきたお父さんが、いったんテレビの前に座ったら、次にその場所を離れるのは寝る時だったりします。人によってはその場で寝てしまうほどです。
最初に座った場所がパソコンの前だったりすると、パソコンの電源を切るのはついつい夜中になってしまいます。
勉強はピアノのレッスンと同じ
有名な講師の授業を数多く受ければ、勉強ができるようになると勘違いしている人がいます。でも、本当にできるようになるのは、あくまでも『自分で練習をくり返した時』だけなのです。ピアノのレッスンと同じです。