毎日「ゴキゲン♪」の法則

自分を成長させる読書日記。今の関心は習慣化、生産性、手帳・ノート術です。

洗練の鍵は「プライベートエリア」☆☆☆

4761264543知的な距離感
プライベートエリア……魔法の効果

前田 知洋
かんき出版
2007-08-08

価格 ¥ 1,365

by G-Tools
著者はクロースアップマジックの第一人者、前田知洋さん。私はもともとマジック好きなのだが、初めてテレビでこの人のマジックを見た時、その腕のすごさと洗練された物腰に魅了された。それ以来出演されている時はできるだけ見るようにしている。マジックを見る時はつい「仕掛けはどこにあるのか?」という見方をしてしまうが、前田さんの時は見破ることはすっかり放棄して喜んでだまされます、という気分になる。
この本はそんな前田さんの初めての著書だ。

私がファンなのでひいき目もあるかもしれないが、文章も洗練されている。この人何者なの?と思ってしまったくらい博学で、「プライベートエリア」をテーマに扱うさまざまなジャンルで出てくる理論や根拠もしっかりしている*1
もともと、直接マジックの話ではないこんな本を出した理由は、マジシャンとして避けて通れないお客様との距離感をいかに取るか試行錯誤をくり返し、身につけたものを話したりレクチャーしたところ、興味を持たれることがとても多かったからだそうだ。なので、マジックとは縁のない人にも役に立つ内容になっている。

この本のテーマである「プライベートエリア」というのは、一般的には「パーソナルスペース」と言われるもののことだ。「他人に入ってきてほしくない」空間は人によって大きさが違う。その、人によって違う「プライベートエリア」を尊重する=むやみに立ち入らないことで、その人を尊重していることになって人間関係がスムーズに行くそうだ。物理的な距離=心理的な距離、というのが面白い。

しかも、「プライベートエリア」を意識することで、人づきあいがうまくなる上に、物腰が洗練されて見えるのだそうだ。洗練されている人にそう言われたら信じるしかない、と思うのは私だけではないだろう。具体的にどうするか、という話がないのは残念だが、満員電車やエレベーターの中など、いかにふだん「プライベートエリア」を不当に扱われているかということを考えれば、意識するだけでも尊重していると相手に伝わるのかもしれない。
実に細かいところに「プライベートエリア」は存在するのだ。たとえば、人のためにドアを開けてあげる時、その人の方を向くか、ドアの方を向くかで変わってくるという。自分の「プライベートエリア」を通すのはお客様や子どもや身内、逆に「プライベートエリア」の外を通すのは若い異性や同世代の男性。こんな風に、マナーにも「プライベートエリア」は大きく関わってくるのだ。

他にも、たとえば恋愛関係を公にしていないカップルが言葉に気をつけてよそよそしく振る舞っているつもりでも、プライベートエリアは意識していないために周囲が気づく話や、パワーハラスメントにならないためのコツ、逆に上司からの小言を最小限に抑えるコツなども紹介されていて面白い。立ち位置や立つ、座るだけでも大きく変わってくるのだそうだ。


不用意に人のプライベートエリアに立ち入らない、逆に自分のプライベートエリアにも立ち入らせない、ということを意識することで自分も人も尊重でき、心地よい距離感が作れるのだろう。さっそく試してみたくなった。


以下は私のメモなので、興味のある方はどうぞ。

言葉<ボディ・ランゲージ

「私はレストランで信頼されている」とか「たくさんのお客様にご愛顧いただいています」といくら自分で言葉を重ねても、人はあまり信用しません。行動学者が「隠すよりも現れる」と表現した、言葉ではないボディ・ランゲージを人は信用します。

「信頼のおける人間」をアピールするには

残念ながら、「信頼のおける人間と周囲に思わせる即効性のあるテクニック」は存在しません。しかし、確実な方法はあります。もし、初対面の人に少しでも信頼されたいのであれば、ふだんから身の回りの人と信頼関係を築くことです。そうすることにより、周囲の人との信頼関係の距離感を会う人ごとに見せることができます。もし、あなたの周りに誰もいなかったとしても、信頼関係の距離感を体が覚えているということを忘れないでください。

クレームの受け方

クレームなどネガティブな話題の場合は相手の正面ではなく、少し斜め前方に立つのがよいでしょう。上半身を相手の正面に向けてはいけません。あくまでクレームの対象となるのは、ミスした書類やその時の対応などの誤った行為であり、あなた自身の能力や人格ではないことを忘れないでもらうためです。

自分のエリアを守る境界線を作る

その場合、注意するべきことがふたつあります。ひとつはきちんと整理されているということです。書籍や資料であればきちんと揃えて重ねられ、花瓶であれば花が枯れていないことです。なぜなら、整頓されていないものは、管理されていないと見なされることが多く、人はそれほど敬意を払いません。

*1:ただ、出典などは特に書かれていません