毎日「ゴキゲン♪」の法則

自分を成長させる読書日記。今の関心は習慣化、生産性、手帳・ノート術です。

「成功小説」の最高傑作☆☆☆☆

4870316749チャンス―成功者がくれた運命の鍵
犬飼 ターボ
飛鳥新社
2005-07

価格 ¥ 1,500

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犬飼ターボさんという不思議な名前*1の人が書いた処女作。著者自身が仕事で成功してセミリタイアしている人で、その経験を元に書かれたものだ。著者は自身の肩書きを「成功小説家」としていて、この本を書いたきっかけは日本には当時すぐれた成功小説がなかったからだそうだ*2
「成功小説」ということばにはなじみがなかったが、『アルケミスト』は大好きな本だし、『地上最強の商人』は今まさに読んでいるので、じゃあ面白そうと思って読んでみたら驚いた。一冊の本にこれだけ成功法則がしっかり書き込まれていて、しかも小説としてちゃんと読めるのだ。これが1冊目ですか。これで1500円は安い。安すぎると思う。


物語は、中古車販売業を興した29歳の泉卓也がメンターとなる成功者・弓池と出会い、さまざまな問題を乗り越えながら成功の入り口に立つ、というものだ。成功するための考え方や心のもちよう、さらにはメンタルブロックまでいろいろまなことをメンター・弓池さんがわかりやすく教えてくれる。ある程度自己分析ができて、下地があり、意志の強い人ならこの本だけで成功することも可能だと思う。ン十万もするセミナーに行かなくてもいいんじゃないだろうか。

著者が成功するきっかけになったのはある成功者が著者に言ったひとことだという。
「あなたはビジネスで成功したいのですか?それとも人生で成功したいのですか?」
ビジネスの成功は人生の成功とイコールではない。ついつい仕事がうまく行ってお金が手に入ったらすべてがうまく行くと思いがちだが、実はそうじゃない、ということをこの本は教えてくれる。

この本から学べることはたくさんあるが、ちょっと挙げるだけでも

  • 人はもともと成功者として生まれている。それを思い出せばいい
  • 人の成功を手助けすれば成功できる
  • 自分を“成功するのにふさわしい人間”に成長させた時、はじめて成功が手に入る
  • この世の豊かさは実は無限。限りがあると思うから奪い合いが起きる
  • 豊かになるためにはまず「自分は豊かだ」と思えること。寄付はそのひとつの方法

などなど、素晴らしい発見が目白押し。

ただ、強いて言えば気になったのは主人公の卓也が仕事に選んだものが、やりたいと思っていたものとは違っていたこと。「やりたいこと」をやって成功するのはむずかしいのだろうか。
あと、これは著者の責任ではないが、あとがきに作品中で卓也が弓池さんから学んだことをまとめたノート「成幸のカニミソ」がダウンロードできる、と書いてあるが、現在そのサイトはもうなかった。もう5年近く前の本なので仕方ないが、読んでみたかったので残念。

これだけいろいろと学べる本はそうないと思う。人生に成功したい方はぜひ読んでみてください。


以下は私のメモなので、興味のある方はどうぞ。

この世界の法則

考えがあって、次に言葉になって、行動になる。それが現実の結果になっている。これがこの世界の法則だ。

考えを変える方法

「この世界の法則」を逆に体験するとよい。考え、言葉、行動という順序を逆さまにして、行動、言葉、考えの順にする。
とりあえず成功者の真似をしてごらん。自分が成功者だと思えなくても、成功者だったらこうするだろうと思う行動をとればいい。そして、成功者の考えを言葉にする。これは精神の訓練と呼ばれるもので、考え方を身につける最も簡単で早い方法だ。

成功の過程は「自分が成功者であることを思い出す旅」

これからは自分がこうありたいと考える人間になる道を意識して選ぶんだ。自分の精神は自分でコントロールすること。君はやがて、だんだんと成功者と同じ道を歩いていることに気がつく。成功者の考えになっているよ。ある時ふと『あ、自分も成功者だったんだ』と目覚めるだろう。やってみるといいよ。本当に気がつくから。

お金に関する考え方を変えたい時は寄付

一番いいのは寄付をすることだね。そして、『お金はいつも足りている』『私は豊かだ』と言葉に出していうんだ。

収入を増やすポイントはふたつ

  1. “川からひとつのよい流れを作る”こと。毎回自分で水を汲むんじゃなくて、水をくみ上げるシステムを作るんだ。
  2. そうした“収入の道”を増やすことだ。田んぼに水を引くのに、ひとつの川からよりも5つの川から引いた方が安心だろう。もしひとつの川が干上がっても残りの4つの川から流れ込んでくるからね。ビジネスだってそうだ。長期間お金持ちでいる人はこれをやっている。

この世の豊かさは無限

たとえ有限だとしても、海の水ほど膨大なんだ。でも君は、それを小さな潮溜まりくらいに思い込んでいる。海辺に立ったところを想像してごらん。君が手ですくった海水を隣の人に分け与えても、海の水は減らないね。すくった分だけ新しい海水が流れ込んでくる。どんどん分け与えてもどんどん新しい海水が流れ込んでくるんだ。これがこの世の豊かさの本当の姿だ。
(中略)
これに気づかないでいると、ほんとうに小さな潮溜まりで生きていくことになる。そこには同じ考えの人たちがたくさん住んでいて、お互いにだましたりだまされたりして豊かさの奪い合いを演じるわけさ。でも、豊かさは無限だということに気がつくと、同じように無限だと思っている人たちの世界に入ることができる。奪い合いの世界に対して、分かち合いの世界だね。

成功に「大リーグでホームラン」は必要ない

草野球でヒットをたくさん打てば充分なんだよ。確実に成功するには、少しの改良で抜きんでることができる業界を選ぶんだ。

  1. 世の中に同じ商売がいくつかあること。つまり市場があること。
  2. 2社以上の大手が熾烈な競争を繰り広げていないこと。大手の競争が激しいとすでに多数の改良・革新の努力が重ねられていて簡単に真似ができず入り込む隙がない。逆に1社が占有しているような場合は独占状態に安穏としていることが多いのでチャンス。
  3. そういう業界を見つけたらそこそこ儲けているやり方を真似る。そして、工夫と改善を付け加えて、それより少しでもよいシステムを作り上げる。そうすれば比較的簡単に抜きんでることができる。

プラス思考とマイナス思考のバランスをとる

プラス思考に偏っていると問題点に気がつかないことがある。もちろんマイナス思考に偏ってもいけない。行動できなくなるし、起こりもしない問題に常に考えを巡らせていると、本当にそうした問題を引き寄せてしまうからね。プラスにもマイナスにも偏っていない一番バランスが取れた状態でいることがベストだ。この状態を中庸という。いつも中庸を保つことが難しければ、意識して両方になってみるといい。
君の場合はポジティブに偏りすぎるわけだから、計画を立てたあとには、一時的にネガティブになってそのプランを検証するんだ。必ずやる前からわかる問題があるから。できるだけ早めにそれを見つけ出してしまうんだ。一番怖いのは、予想しなかった問題が起きる時だからね。もし起こりうる問題が予想できれば、あらかじめそれについて対策を立てることができる。そうすればもう、それは怖い問題ではなくなる。

自分を許す

自己嫌悪に陥ったようだね。それもやめるんだ。もう自分の間違いに気づいたのだから、いじめる必要はないだろう。いたずらをした子どもが充分反省しているのに殴りつけるようなものだ。大切なのは自分を許してあげるということ。間違いに気がついた自分を責めるのではなく、褒めてあげるんだ。

成功が手に入るのは“成功するのにふさわしい人間”になった時

多くの人が何か儲かるビジネスをすればそれで成功すると思っているんだ。そうやって『何をやるか』ということだけに集中しても成功は手に入らない。学びながら自分を“成功するのにふさわしい人間”にまで高めた時に成功は手に入るんだ。

成功者には2つの決断パターンが必要

成功者はふだんは素早く決断し、重要なことはあせらずじっくりと検討して決断を下す。

*1:もちろんペンネームです。主人公と同じ黒いラブラドールを飼っていることと、車が好きなところからつけたそうです

*2:海外では『ホワンの物語』『アルケミスト』『地上最強の商人』などがそれにあたる、としています