一瞬で心をつかむ できる人の文章術 ――1日たった15分10日間で上達! 高橋フミアキ コスモトゥーワン 2007-11 ¥1,470 by G-Tools |
しかも、「文章力」というのは、思ったことが正しく伝わるだけではないという。
著者のトレーニングは、塾講師をしていた学生時代、算数の文章問題が解けない小6の女の子に作文を書かせてみたら、学力が一気にアップした時の指導法がもとになっている。週に1回たった15分、作文のトレーニングをしばらく続けただけで、算数もできるようになったという。「なんで?」と思うが、著者曰く“書く=考える”なのだそうだ。だから、文章がしっかり書けるようになると、アイデアが出てきやすくなったり、自分を客観視したり、司会進行が上手くなったり、という一見文章力とは関係のなさそうな能力がアップする。
しかし、不思議なことに文章の書き方というのは学校で教えてくれない。しかも、著者の薦める方法は、「文章を書く時のルール」と一般的に思われていることを全部否定しているのだ。起承転結は役に立たない、話すように書けと言われてもそれができるのはある程度文章の書ける人だけ、などなど。言われてみれば確かにうなずけることが多い。
では、どうすれば文章力がつくのか?それは「ストーリー仕立てで書く」ことと、「マインドマップで内容を整理する」ことのふたつ。1回15分、10日間のトレーニングをやることで、少しずつ文章を書く時のコツがつかめるようになっている。
実際に著者が書いた例文がいくつか載っているのだが、さすがにどれも素晴らしい。感情が生き生きと伝わってくる。ペン字練習のお手本がまずいとやっても上達しないのと同様、文章トレーニングも例文のよしあしが結果に直結すると思うが、この本なら安心だ。
以下は私のメモなので、興味のある方はどうぞ。
これからの時代に必要なスキル
この先を見通す先見力と、自己を積極的に変えていく変革力、そして人を惹きつける人間力です。じつは、この先見力と変革力、人間力のベースになるのが国語力なのです。
本を読むこと、文章を書くこと、思索すること、そうした国語力がこれからの時代を生き抜くキーワードとなるでしょう。
文章の基礎とは
読むこと、書くこと、考えること。その中でも考えることが一番重要。
考えることの基礎
- 自分への探求
- 他人への配慮
- 疑問への追求
疑問をそのままにしないこと。本を読んだり、人に聞いたりして解決する習慣をつけること。
自分のメッセージはストレートに伝えない
忘れてはならないことは、ストレートなメッセージは読者に受け入れられないということです。
文章を書く上で、メッセージは絶対に持たなければなりません。しかし、自分の言いたいことを言う前に、読者が何を求めているのかを考えなければいけません。その読者ニーズを満足させてあげることが先決なのです。読者ニーズを満足させることのできない文章は誰も見向きもしないでしょう。
読者が求めているもの
- 見たことも聞いたこともない話
- おやっと思う言葉(名言など)
- 普通の人が気づかないこと
- 「へえっ」と思える知識
- 斬新なアイデア
- びっくりする話
- 別角度の視点
- 役立つ情報
- 感動する話
- 得すること
- 笑える話
- 泣ける話
- その他
時代性のあるテーマを盛り込んでみる
ストーリー仕立てで書いた文章に時代性のあるテーマをふりかけ程度に付加する、このくらいで充分です。
時代性のあるテーマを盛り込むのは文章への最後の味付けです。ちょっとコショウを振りかける程度でいいのです。
「4対2対4」の法則
文章を書く「準備」と「執筆」と「推敲」の時間配分をするならば、「4対2対4」くらいになる。準備をおろそかにしない。
疑問を先に書くテクニック
- 問題提起(疑問の部分)
- さらに問題をあおる
- 常識的な答を否定する
- 本当の答を導き出す
- 事例を提示する
段落の前にトピックセンテンスを
段落を有効に活用する重要なテクニックがある。それは「段落の先頭にトピックセンテンスをおく」ということだ。トピックセンテンスとは、その段落の核となる文のことをいう。つまり「段落の内容を要約する」「段落の内容の前置きをする(予告する)」「疑問を投げかける」ような文のことだ。
それ以降の文は、トピックセンテンスをふくらませる形で展開する。くわしく説明したり、具体例を提示したり、理由や原因を指摘したりする。
以下の漢字はなるべくひらがなに
時/事/物/一番/後ろ/格好いい/様/様々/既に/全て/確かに/例えば/出来る/所/中/非常に/間違い/難しい/最もなど。
自分なりの基準を作っておくとよい。
推敲の基本(注意すべき点)
- 誤字・脱字を直す。
- 物語の流れに違和感がないかを調べる。
- 何度も同じ比喩、同じ語彙を使い回していないか注意する。
- 体言止めは効果的に使えているかチェックする。
- ひとつのセンテンスが無駄に長くなっていないか調べる。
- 長くなっていたら、ふたつに分けられないか考える。
- 代名詞が効果的に機能しているかチェックする。
- 句読点の打つ場所は適切かチェックする。
- 「の」が連続していないか注意する。
- 専門用語を使用している場合、うまく読者に説明できているか考える。
マインドマップで内容を整理する
1.連想するキーワードを書き出す
下書きをするつもりで、思いついたキーワードをどんどん書き出す(キーワードが出てこない時はブレーンストーミングで)。
2.文章の核を見つける
書き出したキーワードに関して、他人の意見を聞いたり、資料や本を読んだりして自分の考えをまとめていく。心に浮かんだ考えもマインドマップに書き込む。こうしてできあがったマインドマップを眺めて、文章の核を見つける。文章の核とは、自分のメッセージや伝えたいこと。
3.構成を考える
どの順番で書くかを決める。マインドマップに数字を書き込むのだが、ストーリー仕立てで書く場合は起きた順番に数字をふればよい。
ブレーンストーミングのやり方
頭に浮かんだアイデアを次々と書き出す。ひとりでも、複数でやってもかまわない。
ブレーンストーミングのルールは
- 量にこだわる
- 質は問わない
- 他人のアイデアを批判しない
とにかく量にこだわる。量を出すことに集中することで頭脳を活性化させる。
*1:現在はお休み中