毎日「ゴキゲン♪」の法則

自分を成長させる読書日記。今の関心は習慣化、生産性、手帳・ノート術です。

アイデアを形にする方法☆☆☆

関西在住のパン好きならみんな知っている、大阪市西区靱公園のそばにある「ブランジュリタケウチ」。そのオーナーである竹内さんが書いた本。

柴田書店はプロ向け料理書専門の出版社なので、写真も構成も素晴らしく美しい。しかし、料理書には欠かせないレシピがこの本には載っていない。出し惜しみなのではなく、毎回気温や材料によって微妙に配合や発酵時間が変わるため、“レシピ”はないのだそうだ。私は単純に眺めて楽しめればいいが、パン職人の方がこの本を手に取ったらがっかりしないのだろうか。


パン職人ではなく、パンを焼く趣味もない私がなぜこの本を手に取ったか。それはもちろんここの店が好きだから*1だが、アイデアの出し方やそれを形にする方法のヒントになる、と感じたからだ。
ここのパンはとにかく斬新だ。もちろんあんパンやクリームパンなどオーソドックスなパンもあるが、それもやはりひとひねりしてある。それがなぜなのか、この本を読んでよくわかった。

「どこにでもあるパンは作らない」というのが竹内さんのポリシーだからだ。それも「他にないパンを作りたいから他店のパンやパンの本は見ない」という徹底ぶり。その代わり、レストランや雑貨店に行ったらアイデアを必ず出すことを自分に課し、雑誌も毎月たくさん目を通すという。
実際にこの本には、はじめにどんなイメージが浮かび、それをどんな風に店頭に並べるところまで持って行ったか、そのプロセスをくわしく知ることができて興味深い。

形から入ったもの、素材を活かすために工夫したもの、レストランからの要望で作り出したものとさまざまだが、試行錯誤のくり返しは読むだけで気が遠くなりそうだった。ここまでしないとあのパンはできないんだなあ、と納得した。

特に印象に残ったのは、四角いパンがあったら面白い、とマルセイユ石けんをヒントに作ったクリームパン。いきなり型から注文したという。「型を注文してうまく行かなかったら」とは考えないのだ。配合や分量、焼き時間などを工夫してその型で作れるようにすればいい、と竹内さんは思うのだろう。今までたくさんのパンを形にしてきた自信があるからかもしれない。現実化できる人とそうでない人の分かれ目を見たような気がした。


おいしそうな写真が満載なので、パンが食べたくなるのが難点ですが、図書館にあったらぜひ手に取ってみてください。
この本を読んで随所にこだわりがあることがわかったので、次に行ったらもっと楽しめそう。次はぜひ上のカフェに行きたい。

*1:と言っても行ったことがあるのは新旧店舗各1回ずつです…