毎日「ゴキゲン♪」の法則

自分を成長させる読書日記。今の関心は習慣化、生産性、手帳・ノート術です。

今でも役に立つ啓蒙書☆☆☆

なぜ今さら?と思われる方も多いと思うが、実は現在参加中のセミナーで「読みなさい」と言われたのがきっかけだ。というのも、1万円札に描かれているのが福沢諭吉だから。

その論旨は次の通りだ。お金持ちになるためにはお金に好かれることが大切。お札に描かれている人がどんな人だったのか、何を考えていたのか知らない人のところに1万円札は行こうと思いますか?思いませんよね。福沢諭吉の書いた「学問のすすめ」を読んでみるのは、その意味でも大切。
学問のすすめ』というタイトルは誰でも知っているが、読んでいる日本人は少ない。現代にも役に立つ素晴らしいことがたくさん書いてある。今はいい現代語訳もあるから読んでみなさい、と薦められたのが斎藤孝先生の訳したこちらの本。読んでみたら本当に面白かった。

学問のすすめ』に書かれているのは学問の話だけではない。学問も、ガリガリ勉強していい成績を取って、という今の勉強とはイメージが違う。もっとスケールの大きな話だ。
この本は17の文章をひとつにまとめたもので、もともとは出身地である大分県中津で開いた学校で教えるために書かれた。その後、すすめられて慶應義塾でも公表したのだという。
このため、若い人向けに書かれている内容で、素晴らしい現代語訳のおかげで今読んでもイキイキとしている。

政府と国民の関係について書かれたことも現代にそのまま通用するし、国、社会という大きなものと個人との関わりや、海外からの情報の受け入れ方など、今読んでもなるほど、と感じるところは多い。「スタンダード」というのはいつの世の中にも通じるものがあるのだと感じた。もちろん、時代錯誤のような部分もあったが、核となる考え方は時代に関係なく持ち続けることができるのだと思う。

自分の中にぶれない軸を作るためにも、そしてお金に愛されるためにも、この本を読んでみるのもいいと思う。巻末の斎藤孝先生による解説も秀逸だ。福沢諭吉の人間的な魅力がよくわかる。


以下は私のメモなので、興味のある方はどうぞ。

判断と実行は別

正しい物事を正しいと判断することと、その正しいことを実行することは、まったく別のことなのだ。

怨望は最大の悪徳

ただひとつ、どんな場面でもどんな方向性でも、欠点中の欠点といえるのは、怨望*1である。怨望は、働き方が陰険で、進んで何かをなすこともない。他人の様子をみて自分に不平をいだき、自分のことを反省もせずに他人に多くを求める。そして、その不平を解消して満足する方法は、自分に得になることではなく、他人に害を与えることにある。

当時の時代状況を考えて学ぶ

そもそも孔子の時代は、明治からさかのぼること2千余年、野蛮で未開の世の中だったので、教えの趣旨も当時の風俗人情に合わせてある。
(中略)
だから、後世、孔子を学ぶ者は、当時の時代状況を考え合わせて、その教えを取捨選択しなくてはいけない。2千年前の教えをそのまま引き写しにして、明治の時代に実行しようとする者などは、話にならない。

棚卸しのすすめ

人生というものは、思いのほかに悪事をなし、思いのほかに愚かなことをやり、思いのほかに仕事を成さないものである。
このような不都合を防ぐための手段はいろいろあるのだが、……それは、事業の成否・損得について、時々自分の心の中でプラスマイナスの差し引き計算をしてみることである。商売でいえば、棚卸しの決算のようなものだ。

「過去10年間は、何を損して何を得たのか。いまは何の商売をやって、その繁盛のようすはどうか。今は何を仕入れて、いつどこでこれを売りさばくのか。ここ数年、心の店の取り締まりは行き届いていて、遊び癖や怠け癖などという店員のために、損失を出したことはないか。来年も同じ商売を続けていて大丈夫か。ほかにさらに知性や人格を磨く工夫はないか」とあれこれの帳簿を点検して、棚卸しの決算をすることがあれば、過去現在の自身の状態について、きっと不都合なことも見つかるだろう。

商売の状態を明らかにして、今後の見通しを立てるものは、帳簿の決算だ。自分自身の有様を明らかにして、今後の方針を立てるものは知性と徳の仕事の棚卸しなのだ。

*1:本書の解説によれば、「他人の幸福をねたんだり、うらむこと」