毎日「ゴキゲン♪」の法則

自分を成長させる読書日記。今の関心は習慣化、生産性、手帳・ノート術です。

偏見のない目を作るもの☆☆

オウム真理教の洗脳解除や画期的な英語学習法などで著名な苫米地さんの自伝。
なぜこの本を手に取ったかというと、脳科学にくわしい知人に「脳のことを知りたいなら苫米地さんの本ははずせないよ」と薦められたからだ。

例によって図書館で何冊か予約を入れたところ、たまたまこの本が最初に借りられた。もともと私は、何か勉強する時もまず著者の人となりを知ってからの方がスムーズに入れるのでちょうどよかった。


独特の風貌からオウム側の人かと思って避けていたのだが、そういうわけではないらしい。
祖父は国会議員、父は興銀の重役という裕福な家庭に生まれる。そこからはもう天才のエピソードがえんえんと続く。アメリカに留学したら飛び級で中2で大学生の数学をやっていたり、大学に通いながらすでに同時通訳の名門、サイマルアカデミーで通訳の仕事をしていたり。親のコネで三菱地所に入り、ロックフェラーセンター買収の通訳をやってロックフェラーの会長と意気投合し、ファーストネームで呼び合う仲になったり。果ては会社に籍を置いたままアメリカの大学にフルブライト奨学生として留学したり。

文章も頭のいい人特有のもので、時系列に淡々と書いてあるので、読者を選ぶと思う。よほど著者自身に興味がないと読めないかもしれない。どんな人か知らなくても、理論はもちろん学べるので必読ではないだろう。

ただ、著者の考え方はとても筋が通っている印象を受けた。最終章と「おわりに」が一番面白いと感じたのだが、著者は日本経済を立て直すために銀行は廃止するべきだ、と書いている。親が銀行出身なのに、である。そういうしがらみは一切関係なし。冷静に事実を見つめ、最善の方法を選ぶのは、なかなか普通の人にはできない。
また、いかに盲点*1をはずしてものごとを見るのが大切かを説いている。著者が自伝を書いたのも、自分の経歴が、たとえば日本とアメリカの両方を経験していることなどから、盲点をはずすチャンスに恵まれていたため、理解のヒントになればという思いがあったようだ。

読みやすい内容ではないが、頭のいい人はどう考えるのか、そのヒントにはなると思う。

*1:著者は“スコトーマ”という表現を使っています