毎日「ゴキゲン♪」の法則

自分を成長させる読書日記。今の関心は習慣化、生産性、手帳・ノート術です。

素質がなくても200勝投手☆☆☆

著者・山本昌(登録名。本名:山本昌広)は中日ドラゴンズのピッチャーで、昨年、史上最年長で200勝を達成した。

中日ファンではなかったが、山本昌はもともと好きなピッチャーだったので比較的よく知っている方だと思う。しかし、この本を読んで、私の知っていたのはいい時のほんの一部だったのだ、ということがよくわかった。プロ野球で結果を出し続けることのむずかしさ、また運のよしあしも大きく作用する怖さをこの本を読んで知った。山本昌がプロに入れたのも、球団に残り続けることができたのも、たまたま他の投手が故障したとか、ちょっとしたことで人生が決まっているのだ。もし、どれかひとつでも違っていたら、200勝投手・山本昌は誕生しなかったのだ、と思うと読みながらドキドキした。

本人曰く、プロに入れる選手ではなかったし、まして200勝できるなんて自分も含めて誰も思わなかったそうだ。イチローや松坂のような才能あふれる選手とは違うサクセスストーリー、素質のなさをどうやってカバーしていったのか、それはより多くの人に役に立つと思う。


著者は1軍に定着するまでの5年間、毎年球団の整理対象選手だったが、野球で有利なサウスポーだったためたまたま残してもらったという。球団から送り込まれた提携チーム・ドジャースの1Aで研修生となった時も、くさらずに真面目に野球に取り組んだそうだ。この時に習得したスクリューボールのおかげで結果を残せるようになり、球団から呼び戻されたという。
他にも真面目にコツコツという逸話がいろいろ出てくる。“真面目に努力したら運が向いてくる”の典型的なパターンかもしれない。


さらに、面白かったのは趣味のラジコンの話。ケガをしていた時、それほど練習できないので時間が空き、のぞいてみたラジコンカーのサーキット。面白かったのでひとそろい買いそろえてやり始めたそうだ。すると、ラジコンにのめり込んでいる人は実に細かくメモを取っていた。それで、このメモを本業にも活かせるのでは、と思ってピッチングにおけるメカニックの部分を勉強し始めたという。成績はラジコンを始める前よりも始めてからの方がよくなったそうだが、それはこの克明なデータを取る習慣から来ているのだろう。

体のことと言えば、ケガをしてリハビリをするたびに体について研究を重ね、トレーニング理論も身につけている。やはり長年1軍で活躍するためには、それだけの影の努力が必要なのだろう。漫然と何かをやっていてもある程度のところ以上には行けない。まして、「素質がない」人にとっては、それはイコール成功から遠ざかることなのだと感じた。結果を出している人はみんなそれなりのことをきちんとやっている。当たり前のことだが、とても納得できた。


最近プロ野球関係者の本をよく読んでいるが、おそらく本人が文章を書いていることはまれだと思う。インタビューから文章を起こしているプロがいるのだと思うが、この本は特に読みやすく、内容が素直に受け取れた。もちろん著者自身の人となりから来るものが大きいと思うが、ライターの腕によって左右される面もあるのではないだろうか。同じピッチャーの本でも楽しく読めない本もあったので、ライターにも恵まれたな、と感じた。それもやるべきことをきちんとやって運を引き寄せる山本昌の素晴らしさかもしれない。


以下は私のメモなので、興味のある方はどうぞ。

成功するためには

わがドラゴンズには立浪和義という偉大な打者がいる。…経歴は、まさしくエリートと呼ぶにふさわしく、僕と比べるまでもないのだが、体格には決して恵まれていない。…遠くへ飛ばすパワーの持ち主でもないのだが、今の自分に何が必要か、何が足りないかも的確に分析するという点では、素晴らしい感覚の持ち主だ。
…その差は紙一重なのだろうが、違いがあるのだとしたら「鏡」の有無、もしくは「自己分析力」といい換えてもいいと思う。
もっと成功するためには?自分の居場所を確保するには、どんな能力を身につければいいのか?一般企業でいえば、よく「仕事は自分で見つけるもの」と教えられるではないか。まず、その仕事を好きになること。好きになれば、しがみつこうという執着心がわき起こる。

期間を切って振り返る

現在40歳なら、6年後は46歳。その間に昇進できただろうか、新たな資格は取得しただろうか、仕事の領域は増えただろうか。細かいことの積み重ねだと思う。

続かない苦しい努力はしない

もう少しくわしいいい方をするならば、「ほんのちょっとした努力をコツコツと続ける力」である。

正しい努力の方法

井端は3年目に1軍に定着し、4年目にレギュラーを奪った。「正しい努力」が「技術」に結びつくまで、それだけの時間を要したと見ることができる。ではどうやったら「正しい努力」を生み出すのか。
それは「観察力」にいきつくのだと思う。周囲を見渡す。全員が自分よりうまい。では、何が足りないのか。どこが違うのか。どうやれば近づけるのか。模倣でもいいと思う。それを感じる心、着眼点、好奇心、突き詰めていく探求心…。決してアスリートの世界だけの話ではないのではないか。
素振りを毎日500回やる。そう決めて、実行したとする。確実に体力はつくだろう。だけど、そこに工夫が加われば、もっとうまくなる。下級生なら先輩をよく観察する。補欠ならレギュラーとの違いをよく考えてみる。素質では劣っている僕や井端が、プロ野球の世界で表彰されるまでになったのは、その嗅覚に長けていたからだと思っている。