毎日「ゴキゲン♪」の法則

自分を成長させる読書日記。今の関心は習慣化、生産性、手帳・ノート術です。

マインドマップが苦手でも大丈夫!メイド・イン・ジャパンのノート術☆☆☆☆

何度か必要に迫られて勉強したマインドマップ(注:あくまで独学です)。資格試験の時には覚えることが多すぎ、マインドマップでまとめたりもした。しかし相変わらずの苦手意識はぬぐえず、結局“ひとりブレスト”する時にはほとんど箇条書きしていた。

この本もビジネスブックマラソンで以前紹介されていたものだが、道具を選ばずシンプル、簡単なのに使いやすい、応用範囲が広い、と私にとってはいいことだらけのノート術だった。
もともとこのチャートは東京大学名誉教授の石川馨氏が考案したものだ。日本の品質管理(=QC)の父と呼ばれ、この活動の7つ道具のひとつだそうだ*1
書き方はいたって簡単、その名の通り「魚の骨の形に記述する」だけ。まず魚の頭を書き、次に背骨、太い骨、細い骨と書いていく*2

マインドマップとどちらがいいか、というのは好みの問題だろう。あるセミナーに出た時、きれいに色分けした芸術的なノートをマインドマップで書いている人がいたのを見たことがある。マインドマップが得意なら使えばいいと思う。私はとにかく絵心がないので、自分が書いたマインドマップを見るとうんざりするのだ。「見返す気にならないノート」ではあまり役に立たない。

自称「マインドマップ落ちこぼれ」の人にはいいと思う。個人的に「これなら使える!」と思った点は

  • 直線的な図になるので、絵が下手でも書きやすい
  • 全体のバランスがとりやすい
  • 鉛筆1本でもOK*3
  • 見える化」しやすい

マインドマップだと脳神経のようなぐにゃぐにゃした線を描く必要があり、ペンも何色もいる。バランスが悪くなったり、スペースがなくなって見映えが悪くなることも多い。これが「フィッシュボーンノート術」だと、直線で矢印を書いてキーワードを書き込むだけなので、ストレスが少なく、あとで見てもスッキリしている。私には明らかにこちらの方が、書くにも見るにもストレスが少なかった。

この本では、書き方の他、フレームワークを使ったまとめ方や「資格試験」「語学学習」「記憶法」「セミナー」「時間管理」などでどのようにこのノートを使えばいいのか、著者自身の手書きのノートも含めてたくさんの例が紹介されているのでわかりやすい。
また、ITとフィッシュボーンノートをどのように組み合わせて効率化させるか、という方法も第4章で紹介されていてこちらも役に立つ。

ちなみに、タイトルにある「年収10倍」は、著者が中小企業診断士などの資格を取って年収が跳ね上がったことによるものだ(その勉強にこのノート術を使ったかどうかは不明)。

読みながら実際に書いてみる練習ページもあるが、やはりどんどん書いてみるのが習得する近道だろう。張り切っていろいろ書いてみた。いろんなことに使えそうだ。
読めばやってみたくなるフィッシュボーンノート術、気になる方は今すぐ!


以下は私のメモなので、興味のある方はどうぞ。

骨の配置例

1.優先順位や重要度の高いものを頭に近い方から(プライオリティ型)
だいたい考えがまとまっている場合には、テーマに対する影響や重要性を表すことができるので有効です。

2.背骨の上段の左から右へ、その後、背骨の上段の左から右へ(並列型)
会議、打ち合わせなどの進行に合わせて、メモを取っていく場合に、常に前のメモを見ながらメモを取れる利点があります。

3.背骨の冗談根左から右へ、その後、背骨の下段の右から左へ(時計回り型)
テーマ(魚の頭)から始まって、テーマ(魚の頭)に戻っていくイメージなので、メモが分断されず、ストーリーが明確なセミナーなどのメモに適しています。

4.対立する考え方を背骨の上段と下段に分ける(対立型)
メリットとデメリット、自分で「できること」「できないこと」、個人と組織、外部環境と内部環境など、対立する項目を背骨を中心として上下に配置していきます。

フレームワークの代表選手

1.5W1H
現状を把握するために情報収集する場合や、問題の解決策を具体化するときに有効。

2.ヒト・モノ・カネ・情報
この4つは会社の経営資源だが、日常マネジメントしなければならないものをこの4つに分類することができる。

3.SWOT
Strength(強み)、Weakness(弱み)、Opportunity(機会)、Threat(脅威)
自分や会社の中の内部環境を強みと弱みに分け、外部環境を機会(=追い風)と脅威(=向かい風)に分けて考える。

4.3C
Customer(顧客・市場)、Company(自社)、Competitor(競合)

5.4P
Product(製品)、Price(価格)、Promotion(広告)、Place(チャネル)

6.4M
Man(ヒト)、Machine(機械)、Material(材料)、Method(方法)

7.プロセス
「○○前、○○中、○○後」、「過去、現在、未来」「朝、昼、晩」など。特に「○○前、○○中、○○後」はいろいろなケースに使える。

フィッシュボーンで勉強内容を再構築することで、

全体の中のどの部分を学習しているかが明確になる。
また、過去の試験問題や模擬試験などをフィッシュボーンと照らし合わせてみると、どの部分が重点分野なのか、どの部分が抜けているのか、どの部分の詳細化が足りないのかも明らかになる。

スケジュールをテンプレート化する

毎週、くり返しの予定や定期的業務がある方は、大骨や中骨のレベルをテンプレート化して、コピーしておくと便利。

長期計画にも使える

週間計画だけでなく、年間計画、半期、四半期ごとの長期の計画も落とし込める。
各月の予定を時系列で追うにはスケジュール帳の方が適しているが、各月の業務量の多寡や仕事やプライベートのバランスなどを俯瞰するにはフィッシュボーンの方が適している。

出張やイベントにも

フィッシュボーンを作って、次回のために保管しておけば、瞬時に記憶がよみがえるので、あわてずにすむ。

  1. 事前準備
  2. 場所
  3. 内容(コメント、展開)
    コメントとは、実施中に事務局や受講者のひと言や気づいたことを自由に書く。展開は反省点や課題、次回への提案など。
  4. 事後
    出張後にやる事項、提出(アンケートや精算書)と報告書など。

PDCAサイクルをチェックする

Plan→Do→Check→Actionをフィッシュボーンの大骨にしていけば、仕事を効率よく進めていくことができる。また、自己の成長改訂を記録でき、前回と見比べることもできる。

前!中!後!

会議前、会議中、会議後をフィッシュボーンに落とし込んでおけば、準備でミスすることも、会議運営で戸惑うことも、会議がやりっぱなしで終わることもない。
「会議前」「会議中」「会議後」の3本の大骨なのでバランスが悪いが、背骨の上段に「会議中」、下段にそれを支えるイメージで「会議前」「会議後」を書いている。

付せんで「組み合わせ」フィッシュボーン

1枚の付せんに思いつくことを気ままにひとつずつ書いていく。1枚にひとつのアイデアを書く。
ある程度、アイデアを書いた付せんがたまったら、模造紙などを使って、似たアイデアの付せんをグルーピングしていく。
小さなグループができたら、さらに大きなグループへとグルーピングをくり返す。いくつかの大きなグループができたら、それらを大骨にする。

パソコンフォルダを階層化

1枚の紙に「ビジネス」や「プライベート」を大骨にし、その下の階層のフォルダを中骨に、さらに下の階層を小骨にしたフィッシュボーンを書く。1枚ですべての階層を視覚化できるので、フォルダを開いたり閉じたりしなくてもよくなる。

Gメールを使った簡単データベース

手書きのフィッシュボーンをデジタルの世界に溜め込んで、そこから簡単に取りだしていく方法。

  1. 手書きのフィッシュボーンを手持ちのプリンタなどでスキャンし、ファイル名をつける。
  2. それを添付ファイルとしてメールに添付し、そのフィル名と同じ件名のメールを自分宛に送る。自分宛にメールをどんどん送ることでメールサーバーがフィッシュボーンのデータベースになる。
  3. メールソフトの検索機能を使い、キーワードで検索すれば、ファイル名から探し出してくれる。
    Gメールは大容量で、ネット環境さえあればどこでもアクセスできる。さらに検索機能がついているのですぐに検索できる。Gメールに送っておけば紙のようになくす心配もないし、出先でも気軽に必要なフィッシュボーンを取り出すことができる。

デジタルとアナログを融合したスケジュール管理

手書きのフィッシュボーンをスケジュール帳に書き込むのではなく、ネット上のグーグルカレンダーを使う。
グーグルカレンダーのよいところは、日、週、月、年単位のカレンダーで、複数の項目のスケジュールをまとめて表示したり、ひとつの項目だけを表示させることができる点。
つまり、フィッシュボーンの大骨にあげた仕事や勉強など、すべての項目を表示させることができる。
1枚のカレンダーに表示させて、時間軸に沿ってスケジュール調整をすることもできる。また、勉強といったひとつの項目だけを表示させて、その項目だけの流れを確認することもできる。あとは、各大骨に書き込まれた小さな骨の量を見ながら、フィッシュボーンで項目間のバランスを調整する。
全体が見えるフィッシュボーンと時間軸がわかるグーグルカレンダーを融合化すれば、

  1. 項目間のバランスも見える
  2. 全体のスケジュールも時間軸に沿って見える
  3. 項目ごとのスケジュールも時間軸に沿って見える

時間は管理できない!!

どんなに頑張っても、時間を増やしたり減らしたりすることはできない。今日はヒマだから、今日の1時間を明日に回して、明日を1日25時間にできるわけではない。
時間は管理できないが、「すること」は管理できる。「これをする」「これをしない」と「すること管理(タスク管理)」はできる。時間管理とタスク管理、どちらも似ているようだが、この違いを知っておくことは重要だ。
時間を管理しようとすると、いつも時間に追われて、果てしない時間との競争に巻き込まれてしまう。「すること」を選択して、限られた時間の中に組み込んでいくのだ。「すること」「しないこと」を選択しよう。そうしないと、目先の緊急性の高そうなものが常に優先され、緊急性がそれほど高くないが重要性は高い予定などはあと回しになってしまう。
フィッシュボーンを眺め、本当に大切な「すること」が骨に書かれているか、その事柄がカレンダーに組み込まれているか確認しよう。

SMARTの法則

  • Specific(具体的である)
  • Measurable(測定できる)
  • Actionable(行動できる)*4
  • Realistic(現実的である)
  • Timely(期限がある)

目標達成・自己実現にフィッシュボーンを使う

完成したフィッシュボーンを眺め直す。全体の骨のバランスはどうだろうか?全体の骨のバランスが自分のさまざまな役割を加味した理想のバランスとなっているだろうか。骨の密度は偏っていないか、全体を眺めれば一目で崩れがわかる。
1.今の生活をフィッシュボーンに書いてみる
自分の価値観に応じたバランスが崩れていないか、自分の役割(会社心、夫、親、仕事、勉強、家族など)を大骨にし、現状の生活を書いてみよう。
2.理想の人生を書く
次に、理想とする豊かな人生のフィッシュボーンを書いてみる。大骨に役割を、それぞれの大骨でできていたらいいことを中骨や小骨に落とし込んでいく。
3.現実の生活のフィッシュボーンと理想とするフィッシュボーンを見比べると、ギャップが見えてくる。

着眼大局着手小局

将棋や囲碁の世界のことば。ものごとを大きな視点でさらえて、小さなことから実践するという意味。
私たちはついつい目先にとらわれがちで、全体を見失いがちだ。そもそも「今やろうとしていることは何のためやろうとしているのか」「自分の仕事は会社全体の中でどのような位置づけに当たるのか」、なかなか大きな視点でとらえることができない。
その一方で、大きく見ているだけでは何も変わらない。着実に実行していく、「行動」は不可欠だ。
フィッシュボーンなら、たった1枚の紙で、全体と部分を見ることができるのだ。 

*1:QC活動の中では特性要因図と呼ばれているものです

*2:文字だけ見てもよくわからないと思うので、「IT用語辞典バイナリ」の特性要因図のページを参考にしてください。ただし、このチャートは著者の提案するノートの取り方とは若干違いがありますのでご了承ください

*3:もちろん、色分けもできます

*4:またはAgreed upon(同意できる)