魅せる力―人が人を惹きつける目に見えないパワーの秘密
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監訳にあたり、翻訳系の本にありがちなむずかしさを払拭するために言い方や言い回しを変えた箇所があるそうだ。私は一字一句そのまま訳してほしい方なのでそれはどうなのかなと思うが、それを割り引いても素晴らしい本だと思う。人を惹きつける方法をトレーニングできるよう解説してあるのだ。誰でも魅力的になれる『魔法の本』と言ってもいいだろう。
基本コンセプトはとても簡単。それは「相手に“自分は重要なのだ”と感じさせる」こと。それが人を惹きつける極意だという。本には35のレッスンがあるが、すべてに共通する概念だ。
では、「魅せる力」とは何なのか。簡単に言えば「人に自分の与える印象をコントロールすること」。もちろん、どんな印象にするかと言えば「相手を特別な気持ちにさせてくれる人」という印象だ。逆説的なようだが、結局これが最も人を魅了する力になる。そして、それは訓練で身につけることができるという。
非常にわかりやすい言葉で言えば「外から内へ」変化させる訓練だ。現実の行動を変えることにより、他人の感じ方と自分の内面の感じ方に変化をもたらすことができるのだ。
つまり、「あたかも○○のように振る舞う」ことで、同じ感情が内面に作り出される。この本では、特定のスキル―すなわち他人に見せたいと思っている自分のイメージを生み出すためのスキルを―身につけ、それを利用することによって、外から目に見える形であなたの振る舞いを変えていく方法を紹介している。
細かいテクニックはいろいろあるが、なるほど、と感じたのはやはり「聞く」ことと、「相手に注目する」ことだ。
聞くというのはすなわち「あなたに興味を持っていますよ」という姿勢を表すことだ。相手の話をきちんと受け止め、ほめることでさらに自分の印象がよいものになる。
「注目する」ことも大切で、いかにしてそれを相手に伝えるかにもやり方がある。8つのポイントが紹介されているが、共通するのは相手に「聞いていますよ」とシグナルを送ることだ。
そして、大切なのはそれらのテクニックを「考えなくても使えるようになる」ところまで磨くこと。すなわち練習だ。アメリカの政治家を見ればよくわかるが*1、みんなフレンドリーでちょっとした会話でいい印象を与えられる人ばかりだ。しかし、もともとそんな性質だった人はどのくらいいるだろうか。おそらく、ほとんどの人は訓練して身につけ、あたかも生まれつきそんなキャラクターのように振る舞っているのだろう。努力は必要だが、後天的に身につけられることはたくさんあるのだ。
以下は私のメモなので、興味のある方はどうぞ。
誰かとの人間関係において人が何か行動を起こす時というのは、
自尊心(または自分はいい人間なのだという内面の感覚)を高めることか、逆に(他人の存在やその時の状況のせいで危険にさらされている)自尊心を守るためのどちらかなのです。
魅力的に見せる5つの方法
- 受け入れること
- 感謝すること
- 賛同すること
- 讃えること
- 注意を払うこと
効果的な聞き方の4つの鍵
- 熱心に聞く
- 会話の一時停止
- 相手に質問する
- フィードバックする。相手の話を自分の言葉で言い直す
ランス・モローの言葉
セレブリティの時代の基本的なルール:あなたが何者かは問題ではありません。肝心なのは、他人があなたをどんな人物だと思うかなのです。
本当に自分を変えたいのなら、
理由について悩むよりもその方法に集中すべきなのです。内面から変えていくより、外から変えていく方が、簡単かつ短時間ですむことが多いのです。
「注目」のシグナル3つ
- どんな時でも会話の際にはアイコンタクトする
- 視線を時々ずらす
相手の片方の目からもう片方へ視線を行き来させてみる。一点を凝視していると関心がないように見える。
- そして少し首をかしげてみる
聞く時は首をかしげ、話す時はまっすぐにすること。