毎日「ゴキゲン♪」の法則

自分を成長させる読書日記。今の関心は習慣化、生産性、手帳・ノート術です。

ビジネスを血の通ったものにする考え方☆☆☆

『「ビジネス書」のトリセツ』でも紹介されていた、神田昌典さんの最新刊。ものすごく分厚い本なので、手に取った時には「こんなの読めるかな」と思ったが、読み始めたら面白く、一気に読んでしまった。
神田さんの10年間のマーケッターとしてのエッセンスすべてをつぎ込んだ、という渾身の作品だ。ひとことで言えば、「ビジネスにも右脳を使うことが当たり前の時代になった」ということだろうか。

現代のビジネスマンを取り巻く環境は過酷になっている。今までの考え方では行き詰まってしまう。打開するにはどうしたらいいのか、神田さんはそれを考え続けてきたそうだ。その結果、今までの経験から「使える」ツールを組み合わせた新たなシステムが生まれた。それがタイトルの「全脳思考」だ。

ただし、ノウハウだけではないのだ。今までの思考パターンでノウハウだけを取り入れても意味がないという。今までの経験や知識を一度全部手放した、その先にあるもの…この辺は長くなってしまうのでぜひ興味のある方は読んでほしい。

それを受け入れられるかどうかによって変わってくるが、そこさえ納得できれば、とても面白いやり方だと思う。フレームワークと違って自由な発想でいいし、ワクワクできるかどうかが大切な判断基準になる。


私が驚いたのは、カリスママーケッター・神田昌典さんがここまで脳科学やメンタル面を考えた、パッと見およそビジネスらしくない方法を紹介している、ということだった。これも時代の流れなのか。
でも、神田さんの時代を見る目の鋭さは変わっていないと思うし、フォトリーディングマインドマップなど、右脳を使うようなメソッドをいち早く日本に紹介してきた人なので、当然といえば当然なのかもしれない。
半分は深く納得しているのだが、半分はキツネにつままれたような気がする、という変な読後感だった。

これがきちんと使えるようになれば、きっと仕事はもっと楽しくなるし、アイデアがどんどん出てくるようになると思う。ただ、何度か読まないと身につかないと思うので、ぜひ買って読んでください。
神田さんの10年間の集大成で、いろいろな方法を惜しみなく紹介されているので、2,100円の価値は充分あります。


以下は私のメモなので、興味のある方はどうぞ。

フレームワークの正しい使い方

枠があるから思考が生まれるのではなく、彼ら(=一流の経営コンサルタントや企画担当者たち)の思考はすでにそこにあって、その思考が見えるようにするために枠を持ち出すのだ。

これからのビジネスには共感が大切

現在、社会的インフラとしてのネット環境が整い、商品情報を得る際には顧客に完全に主導権が移った結果、共感は、他社と差別化し、付加価値を生んでいくための必須の条件となった。そして共感とは、顧客そして自分をどこまで深く理解できるかによって決まるので、今後のビジネスで安定的な収益を上げていくためには、レベル3(共感的)まで自然に掘り下げて思考する習慣・文化を社内に築くことが極めて重要であることがわかるだろう。

手放す必要性

U理論では、レベル3から4に行くまでの間に、「手放す」という段階があるという。「手放す」とは、文字どおり、既存の経験や知識をすべていったん、役立たないものとして忘れ去ってしまうことである。一流の人たちは、誰もが例外なく、この「手放す」という感覚を味わっている。さらには「手放す」ことを、すでに思考のプロセスの中に組み込んでいる人もいる。

個人の幸せを社会の幸せとつなげた時、グローバル市場を生み出しやすい

買い手が本当の自分になるために歩むべき道を、すでに起業が歩んでいる場合、そこには共感が生まれ、自己投影が始まる。買い手は、自分が進もうとしている道を言葉で説明できるわけではない。誰も理解してくれない、ひとりぼっちの自分の思いを、すでに言葉に、そして形にしてしまっている企業に出会ったとたん、「そう、そう、こういうのを探していたんだ!」と共感することになる。

買い手が求めているもの

買い手は、自分が何を求めているのかわからなければ、買うものを選びようがない。本当の自分を探しているわけであるが、本当の自分が何者なのかもわからない。そこで「何を買うべきなのか?」「自分とは何者なのか?」に関する判断基準を与えてくれる情報を、今度は探すことになる。

最も簡単に表現した場合、ブランドとは、熱心なファンの数である
顧客が支払うのは、期待する変化への対価

事業におけるあなたの仕事は次の変化を成し遂げること

商品やサービスを通じて、顧客の「現在の、満たされていない状況」を、「将来の、満たされた状況」(120%HAPPYになる状況)に変化させること。

顧客の「120%HAPPYになる状況」が重要

100%満たされるだけであれば、支払った金額と交換しただけなので、そこに感動は生まれない。わざわざブログに書き込んだり友人・知人に勧めたりする必要はない。ところが、その商品やサービスを通して得られた体験が自分の期待を大きく上回った時、心理学で言う返報性の法則に従って、何かお返しをしようとする。こうした善意の循環が、事業を成長させる行動への原動力になるからである。

脳には3種類の動物が棲んでいる

爬虫類脳は「生きていくための脳」だ。心拍、呼吸、体温、血圧といった生命維持機能を司っている。
哺乳類脳は「感じるための脳」だ。種の保存のための本能的な情動、快・不快の判断を司っている。
人間脳は「考えるための脳」であり、論理・学習・言語や創造的思考力など、知性・知能を司っている。

ワクワクさせる対象が、顧客ではなく、自分であってもかまわない。

自分が120%HAPPYになることを考えるのが最もワクワクするのであれば、全脳思考モデルのチャートの右上には自分自身の笑顔を描けばいいのである。
(中略)
つまり、自分が120%HAPPYになれば、その時には顧客も120%HAPPYになっている可能性が高いのである。自分が楽しんでいなければ顧客も楽しめないというのが、これからの消費社会の特徴なのである。

サッカーの名将のことば

ゲームの途中で、観客は絶望的になってブーイングを始めるのですが、その時、私はまったく気にしないのです。ネガティブな出来事が起こっても、「あれ、どうしたのかな?」と思うだけです。「勝つことは決まっているのだから、シナリオを読み違えたかな」と考えて、勝つまでのシナリオを調整するのですね。

全脳思考とフレームワークの違い

今までのフレームワークが論理的に正しい結論を導くことを目的にしているのであれば、全脳思考モデルは、行動しながら検証していく仮説を見いだすことを目的としているとも言える。正しい結論を求めるのではなく、あくまでも仮説を求め、行動を促す。そして行動を通して、理想の未来を選択する。完璧主義の傍観者ではなく、現実主義の実行者をサポートする思考である。

仮説を実行するポイント

  1. 理解されること
  2. 納得されること
  3. 応援されること

正しいロジック

箱(マトリックスの枠にすべての項目を収めること)が完成したとたん、すべてがしっくりと収まる感覚がする。見ていて気持ちがいいのである。これが正しいロジックの合図である。

質問に変えてみる

すべての批判やネガティブな出来事は、質問に変えることにより、プロジェクトを推進するための貴重なヒントになったり、より大きな視野でプロジェクトの定義を再構築するきっかけを与えてくれたりするのである。

本質的な答はイメージの中にある

ウェンガー博士(CPS創始者)によると、本質的な答は、実は、言葉の中にあるのではなく、言葉にならないモヤモヤしているもの、すなわちイメージの中にあるというのである。

CPSの具体的ステップ:ハイシンクタンク

  1. 質問を6つ以上用意し、紙にひとつずつ書いて折りたたむ(書いた面を内側にする)。
  2. 折りたたんだ紙を封筒に入れ、よく混ぜてからひとつを取り出す。
  3. リラックスした状態の中で目を閉じ、3つのイメージを思い浮かべる。
  4. 3つのイメージの共通点を見つける。
  5. 質問を書いた紙を開いてみる。
  6. 答として提示されたイメージを言語に翻訳する。

全脳思考モデルにおいて、CPSが活用できる4つのポイント

  1. 本当にワクワクできる、ベストな事業・商品を探す。
  2. 本当にワクワクできる、顧客を探す。
  3. 顧客の未来と現在における、予想外の状況や感情を理解する。
  4. 「クライマックス(なるほど)」「へぇ」「ほぉ」のアイデア出しが行き詰まった時に、突破口を得る。
「自分が誇りを持てる、そして才能を生かすことができる、今取り組むべきベストな事業あるいはコンセプトは何か?」

CPSの具体的ステップ:天才を借りるテクニック

  1. 目を閉じ、呼吸を整え、リラックスする。そして顧客の名前や顔を思い浮かべる。もし名前や顔が思い出せなくても、ふさわしいと考える顧客をイメージできればOK。
  2. イメージの中で身体を空中にふわっと浮かべ、顧客の背中側に移動する。その身体の中に、ゴムスーツをまとうような感覚ですっと入っていく。はじめに足を入れ、腕を通し、最後に顧客の頭をかぶる。
  3. 周りの状況を、顧客の目を使って見、耳を使って聞き、身体を使って感じてみる。そして現在の顧客の内面についても探ってみる。
    論理をどんなに駆使しても気づけなかったことが、顧客の身体を借りるという空想をするだけで、ほんの短時間で気づける。

「クライマックス(なるほど)」をCPSで得る

「顧客が120%HAPPYという状況に、直接的に影響を与えた出来事は何か?」。このような質問を自分に問いかける。リラックスした環境の中で見上げた空から風呂敷包みかギフトボックスが降ってくるのを想像する。それを開けると、中に何が入っているだろうか。そこからイメージを膨らませていけばいい。同じ作業は、クライマックス(なるほど)に限らず、「へぇ」「ほぉ」のすべてのタイミングで行うことができる。クリエイティブなアイデアは、まさに天からのギフトのように与えられるのである。