著者は横浜労災病院勤労者メンタルヘルスセンター長で、認定産業医でもある山本晴義氏。日々メンタル面に問題を抱えた患者さんと向き合っておられるからか、とても具体的な内容だ。さらに、著者自身がマラソンが趣味で、毎日走ってストレス解消をされているので、ストレスにどう対処するかのアドバイスもとても信頼できる。
ストレスはなくならないし、まったくないのも逆に問題だ。著者が提唱するのは「ストレスは、溜めない・逃げない・先送りにしない」=1日決算主義。その日のうちに対処してしまえば、大きな問題にならずにすむ。じゃあどうするのか?という疑問がわくが、ちゃんと解消法おすすめ10手が紹介されている(日記後半ののメモをご覧ください)。
さらに、メンタルヘルスに問題がある人の対処法、職場ではどうなのか、家族は何に気をつければいいのか、本人だけでなく周囲の人にも役に立つ情報が載っている。
とにかく、著者の視点はとてもやさしい。無料でメール相談を受け付けているような素晴らしい先生で、こんな医師に気軽に相談できる環境があれば、きっと自殺する人数が減ったり、世の中がもう少し生きやすくなるんじゃないかと感じた。
心が弱っている時にも読めます。予防として、近くに気がかりな人がいる時にぜひ読んでみてください。
以下は私のメモなので、興味のある方はどうぞ。
「生活」「人生」「命」――これらは英語ではすべて“Life”
つまり、日々の暮らしを大切にして初めて、命をまっとうできるということでしょう。
ストレスで目が疲れやすくなったら、心療内科よりまず眼科
眼科でさまざまな検査をして、その結果「異常なし」となっても、まだ心療内科に行くのは待ってください。行く前に、一度自分自身で考えてみます。
原因は一体何なのか。
寝不足やパソコンの見すぎはなかったか。
そんな「思い当たるフシ」があれば、まずはそれを改善することです。それでも症状が好転しない時に、心療内科の門を叩くのが賢い受診の方法です。
つまり、心療内科における主治医は、心療内科医ではなくあなた自身です。自分を改革する行動を起こせるかどうかは、あなた自身にかかっています。そこまで理解した上で心療内科を受診すれば、治療もスムーズに進みます。
あなたの行動を変えるために医師が何かをできるものではないのです。
医師がどうこうして、それまでの習慣や行動が変わるわけではないからです。
ストレスを1日決算するには
ここで重要になるのが、運動、労働(勉強)、睡眠、休養、食事の5本柱。この5つを正常に保つことを、日常的に心がけることで、ストレスを翌日に持ち越さない生活が送りやすくなります。あくまで「日常(生活の中で)」という取り組みが重要で、「週末に」では意味を成しません。
待ち時間に深呼吸する
渋滞の合間、駅で電車を待っている時、赤信号で立ち止まった時など、その時間を「早く早く」とイライラしながら待つよりも、意識して深呼吸ができる「ラッキータイム」と思ってみましょう。意識した呼吸は場所も時間も問いません。
ストレス解消お勧め10手
- S→sports(スポーツ)
- T→travel(旅行)
- R→rest&recreation(休息&レクリエーション)
- E→eating(楽しく食べる)
- S→speaking&singing(おしゃべり&歌う)
- S→sleeping&smile&sake(眠る&笑う&少々のアルコール)