アルファブロガー*1にしてプログラマ、さらにライブドアの前身オン・ザ・エッヂ元CTOや投資家の肩書きも持つ小飼弾氏の著書。はてなでは「ダンコーガイ」としてよく話題に上っているが、このお名前は本名なのだそうだ。
私は以前、勝間本関連で何度かブログを読ませていただいたことがあり*2、よくも悪くもハッキリものを言う人だなあ、と思っていたが、この本を読んで認識が変わった。ものの見方が新鮮でとても面白いのだ。
その方法が「バランスシートで考える」こと。バランスシートとは、企業の決算などに欠かせない会計の表のひとつだ。なぜここにバランスシートが?と思うが、小飼さんによれば、個人にとっても役立つのだそうだ。ひとりひとりが自分という「会社」の社長で、かつ筆頭株主だと考えればいいという。
この、一見奇妙な考え方が、世の中を見る時にまったく違うものに見せてくれるのだ。世界は案外いい方向に向かっているのか、と胸をなで下ろしたり、自分の価値を上げようと真剣に考えてみたりするきっかけになる。すべてを数字に置き換えるので、否応なしに今の自分の価値と向き合わされるからだ。
小飼さんの考えのすべてが理解できたとは思わないし、すべてを受け入れられるかと言われたらむずかしいと思うが、今の自分の考え方を棚卸しして視界を広げるきっかけになる本。
また、各章ごとにテーマに沿ったブックガイドもあって役に立つ。ぜひ読んでみてください。
以下は私のメモなので、興味のある方はどうぞ。
金持ちになれる人は例外なく、嫌いなものから食べますし、面倒なことイヤなことは先に片付けます。
本を読んだら「自分を読む」
本を読了しても、それは読書の半分にすぎないということです。本を読み終わったら、今度は「自分を読んで」みてください。その本を読む前の自分と読み終わったあとの自分がどう変わったか。読書の質は、この差で測れます。
チャンネルの目的
結局は、どこにチャンネルを合わせるかなんですよ。よく誤解されることですが、チャンネルは情報を入手するためにあるのではなく、そのチャンネル以外の情報を捨てるためにあるのです。
どうせ自分のものでないカネなら、さっさと払ってしまった方がいいのです。
伸びる人の共通点
伸びていく人間は、他人と情報をやりとりするための「インターフェイス」がしっかりしているように思います。要は、自分のことをきちんと説明できて、人の話を聞けるということです。
見えないところをおろそかにしない
仕事をバリバリしているように見える人や会社は、見えないところでもちゃんとやっているのです。というか、見えないところをどれだけおろそかにしないかでほとんど勝負は決まっていますね。
人づきあいの利益を得るために、必要以上のリソース(時間)を費やしていないかをチェックすべし。
恩も恨みも忘れてしまう方が得
長い目で見れば、恩を忘れたとしても恨みも忘れてしまう人の方が得です。人間の心をバランスシートにたとえるなら、恨みを忘れるということは、毎日負債がなくなってきれいな状態になるということですから。
まとめ:モノとヒト、カネの関係を改めて考える
資産=負債+資本
が
カネ=モノ+ヒト
となるということです。
カネとは「われわれが利用できるモノゴト」のすべて。そのうち見える化されているものが金です。カネ=金ではなく、「金⊂カネ」、すなわち「金はカネの部分集合」、または「金はカネの氷山の一角」であるという点に留意してください。
そのカネは、モノ、すなわち「昔も今もそこにあって使えるが、根源的に作り出せないもの」からなるというのが、本書の基本テーマです。
(中略)
しかし、ヒトはまだ終わってません。いや、まだ始まったばかりでしょう。カネ=経済価値のほとんどは、実はコネにあったというのは最近になってようやく単なる知識としてではなく体験として実感できるようになってきました。インターネットがそれを「見える化」してくれたのです。
かつては
ヒト<<モノ
でした。ということは
カネ≒モノ
だったということです。
(中略)
これが今や、ヒト>>モノとなっています。ということは
カネ≒ヒトだということです。カネのルールも、ヒトのルールを近似したものとならざるを得ないのです。
*1:この言葉はもう死語?
*2:以前の日記でもこの本について触れたことがありました