家族が読んで置いていたので、ぺらぺらとめくるうちに面白くて読んでしまった。
著者の間庭典子さんはファッション誌のジャーナリストだが、ご自分がマラソンにのめり込み、世界でもっとも過酷なスパルタスロン246キロ完走者でもある。そんな走るライターだからこそ書けた、ランニングで人生が変わった多くの人のインタビューが圧巻だ。
それぞれの人が、走ることによって手に入れたものはさまざまだ。また、走り始めた理由も大失恋や正社員になるためなど、人によってまったく違うのが面白い。走る目的や、目指すものもひとりひとり違う。同じレースで同時に走っても、目標は自分で決められる。それがランニングの醍醐味なのかもしれない。
男女14人のエピソードが紹介されているが、ごく普通の市民ランナーからタレント、ランニング界では知らない人がいない著名人まで幅広い。14人をまったく同じように扱っているのが新鮮だった。最後に出てくるのが金哲彦さん。実は、金さんの闘病のことはこの本で知った*1。
最後の章は著者自身のスパルタスロン体験がつづられている。よくまあこんな過酷なレースに、というものすごいレポートだ。記録が35時間57分って*2。
でも、読後は不思議に「走るのって楽しそうだな」と感じるのだ。
この本を読んで、すがすがしさを感じたら、今が走るタイミングなのかもしれない。