毎日「ゴキゲン♪」の法則

自分を成長させる読書日記。今の関心は習慣化、生産性、手帳・ノート術です。

心がけひとつで脳の働きがアップする☆☆☆☆

著者・林成之さんは長年救命救急に携わり、脳を保存する“脳低温療法”を生み出した人だ。一般的には、北京オリンピックの競泳チームに脳機能に基づいた戦略指導をした人として有名だろう。『<勝負脳>の鍛え方』はベストセラーになったので、読んだ方も多いと思う。
私は林先生の本を初めて読んだのだが、家族が先に読んで強く勧めてくれたのがきっかけだった。長い間“積ん読”になっていたが、ようやく読めた。
とにかく面白い。目からウロコのことがたくさんあった。もちろん、私が脳に関する本をたくさん読んでいることもあると思うが、そういった知識がなくても驚きの連続だと思う。


一般的によいとされていることが、実は脳にとっては悪いことですよ、というのを重要度の高い順に7つ教えてくれる。前から順番にやって行けば、あなたの脳のパフォーマンスは向上します、というすぐ役に立つ構成になっている。

実は脳にとって悪いこと、私もたくさんやっていた。まず“ゴール設定”。だいたいできた、と思った瞬間脳はブレーキをかけるので完成が遅くなってしまうことや、言われたことをコツコツやっていたら脳のパフォーマンスは上がらないなど、衝撃的だった。
他にも、今まで何となく「こうやるとうまく行かないなあ」と思っていたことが脳機能的に裏付けられていたり、納得するところが多かった。

中でも、私にとって収穫だったのが「空間認知能の鍛え方」。絵を描くのが下手だったり、家具などとの距離感がつかめず机の角に体をぶつけたり、空間認知能力の低さは気になっていたのだが、“低い人はこんな状態になっている”というのにほぼ全部当てはまってしまった。「姿勢が悪い」「字が汚い」「目線が水平になっていない」など。何度か紹介している「字をきれいにする方法」で出てきた、文字の空間を均等に書くよう心がけるだけでも空間認知能力は上がるのだという。
他にも、効き目に頼って見る癖がついていることに気づいたので、左右均等に使うように気をつけることにした。確かに、目の使い方がおかしければ、距離感は正しくつかめないはずだ。こんな意外なところがつながっているなんて。


こんな風に、誰にでもいくつかは当てはまると思う。気がついて修正するだけで、即成果が上がるのだから、やらなければ損だ。借りて読まず、ぜひ買って身につくまでくり返し読んでください。
私も意識して生活するので、何か変化があったらご報告します。


以下は私のメモなので、興味のある方はどうぞ。

「貢献心」を磨く(P22)

今の社会で、他人と関わらずに生きていくことはできません。「生きたい」「仲間になりたい」という本能を、現代社会の枠組みの中に置けば、脳が求めるのは「世の中に貢献しながら、安定して生きる」ことなのです。私は「貢献心」を、脳の二次的な本能であると考え、これを磨き、高めることが、脳の力を発揮するベースになると思っています。

感情が脳の力を左右する(P35)

理解力、思考力、記憶力――みなさんが高めたいと願っている脳の力は、どれも最初の「感情」によってそのパフォーマンスが左右されるのです。一度、マイナスのレッテルを貼られた情報は、しっかり理解できず、思考が深まらず、記憶もしにくくなってしまうのです。

話してみて意見が合わない相手については(P41)

「意見が異なるからといって、その人を嫌いになる理由があるのか」と冷静に考えてみましょう。脳のクセのせいで、「違う」が「嫌い」に転化してしまっているだけですから、違うものは違うものとして認めればいいのです。

脳は正直(P45)

脳は正直なものですし、病気はうそをつきません。「本当にダメだ」と思ったら、その場から離れたり、休んだりしてもいいのです。

ごほうびはうれしいと感じること(P64)

脳にとってのごほうびは、利己的な損得の判断よりもっと広く、奥深いものです。簡単に説明すると、「うれしいと感じること」ということになるかもしれません。これは、自分の役に立つことだけでなく、目的や目標を成し遂げたり、人の役に立ったりすることが脳への報酬となることを意味しています。
(中略)
つまり脳は、人のためになる時、貢献心が満たされる時に、それを「自分にとっての報酬である」ととらえて、機能するようにできているのです。

人のためにがんばれる人(P65)

「自分さえよければいい」という人よりも、損得にとらわれず「あの人の喜ぶ顔が見たい」「この人のためにがんばりたい」と思える人の方が、結果的にあらゆる面で力を発揮しているでしょう。
これは、脳のしくみから説明できることなのです。社会に貢献しようという気持ちで自己報酬神経群を働かせる方が、自分のことだけを考えるよりも、脳にとって「よりよいごほうび」となります。さらに、自分だけでなく広く他人を思いやることは、それだけ期待できるごほうびを増やすことにもなるのですから。

「だいたいできた」と安心してはいけない(P66)

まだ終わっていないのに、「できた」と思ってしまうと、自己報酬神経群が「もうこのことは考えなくてよい」と判断するのです。
仕事や勉強をしていて、まだ完全には終わっていないのに、「だいたいできた」と考えることはありませんか?
これは、脳に「止まれ!」と言っているようなものなのです。
(中略)
脳にとって、途中で「完成した」「できた」「達成した」といった言葉は、“否定語”である、ということです。「だいたいできた」ということは、実際は「まだできていない」はずですが、脳は「だいたいできた」という“否定語”によって、思考することをやめてしまうのです。

自己報酬神経群の働きをうまく活用するには(P67)

物事をもう少しで達成できるという時にこそ、「ここからが本番だ」と考えることが大切です。

物事を達成する人と達成しない人の脳を分けるのは(P67)

「まだできていない部分」「完成するまでに残された行程」にこだわるかどうかなのです。

脳の機能を活かすには「だいたいできた」はご法度(P70)

ひとつの目標を成し遂げたあとで「やった!」と思うことと、まだ終わっていないのに「ほぼ完成した」と思うことは、脳にとってまったく別の意味を持つことに充分留意してください。

「無理かもしれない」と考えるのはNG(P71)

「もうダメだ」「無理だ」などいう考えは……実は脳の「自己保存」のクセによる「自分を守ろう」という反応が過剰になった結果として生まれるもの。そして、いったん「無理かもしれない」と考えると、それが脳にとっての“否定語”として作用し、脳の思考力や記憶力をダウンさせてしまいます。

「今、何をすべきか」(P72)

私は、どんなに追い詰められた場面でも、スタッフひとりひとりに「今、何をすべきか」を口に出して言わせていました。最後の最後まで絶対に(患者さんを)助けるのだという思いを持ち、「そのために今、具体的に何をすべきか」を考え続けてきたのです。「難しい」というヒマがあったら、その理由をひとつひとつ解きほぐして、解決策を探すことが道を開く――私は、医療の現場で何度もそうした体験を重ねてきました。

なぜ「言われたことをコツコツやる」が脳にとって悪いのか(P74)

一般に「コツコツとやること」「一歩一歩、着実に進めること」は、ほめられこそすれ、否定されることはないでしょう。しかし、「コツコツ」や「一歩一歩」には、「失敗しないように慎重に進めよう」という「自己保存」のクセが隠れています。この「失敗しないように」という考えは、「失敗するかもしれない、失敗したらどうしよう」という考えと表裏一体なのです。

「決断・実行を早くし、一気に駆け上がる」(P75)

というスタンスは、仕事やスポーツなどで勝負をかけるシーンでは特に重要です。勝ち負けばかりに執着すべきではないとはいえ、人生では「ここぞ」という勝負どきがあるのです。

「コツコツ」は間違い(P75)

脳の達成率を上げ、集中してことを成し遂げるためには、「コツコツ」は間違いなのです。仕事の大きな課題をやり遂げようとする、スポーツで勝負に勝とうとするといった場面で達成率を上げるには、全力投球が必要なことは言うまでもありません。全力投球することと「コツコツ」は、まったく別のものです。「達成すること」より前に、「どう達成するか」などの達成のしかたを追求し、最後の詰めに執着することで、脳は持てる才能を最大限に発揮できるようになるのです。

目標は高いところに設定しておく(P76)

ある実験によると、人間のポテンシャルは最大で130%まで引き上げることができるとされてまいす。あまりに現実味のない目標設定をすると、脳が「自己保存」に走って、「無理だ」という気持ちが生まれてしまうので注意が必要なのですが、最初に「100%以上、130%を目指す」という心持ちでスタートすると、集中力が増し、脳の達成率をアップさせることができるのです。

脳に対して明確に「目標」を決める(P76)

根性論で「がんばります」とだけ言っていても、脳は何をがんばればいいのかわかりません。「がんばります」は脳にとっては意味不明な言葉なのです。
また、「がんばること」自体が目標になってしまうと、目的を達成しなくても「がんばったから」と納得してしまい、いつまでたっても目的を達成できないという悪循環に陥ることになりかねません。よく「がんばります」「今日はがんばった」などと口にしている人は、要注意です。達成すべき目標や、今日は何を達成したのかを具体的に言えるようにしておく必要があるのです。

目的と目標を混同している例(P77)

わかりやすい例として、「金メダルを獲ります」という表現があげられます。金メダルを獲ることに目的を置くこと自体は問題ないのですが、それだけを念仏のように唱えてやみくもにがんばっても、達成は望めません。金メダルを獲るために必要なこと、克服すべき課題などを目標として整理し、その目標に向かって、常に最大限の力を出して駆け上がらなければならないのです。

脳を正しくがんばらせるには(P78)

「具体的に何をするか」「いつまでにするか」「今日は何をするか」などの目標を明確にする必要があります。

目標をコロコロ変えてはいけない(P80)

「ダメだから次はこうしよう」と目標を簡単に変えるのは、実は脳にとっていいことではありません。
(中略)
次々と新しい目標が現れると、脳の「自己保存」のクセが働き、「どうせまた目標が変わるかもしれない」「今度の目標は達成できるのだろうか」という気持ちが生まれ、全力投球できなくなってしまうからです。

脳の最高の喜び(P81)

達成し完結するということは、脳にとって最高の喜びです。それがなかなか起こらないと、脳は本気になれなくなり、常に「半分だけ様子を見ながらやる」習慣が身についてしまいます。

適度な緊張を維持する(P86)

緊張すること自体は、自分の脳のパフォーマンスを最大限に引き出すために大変重要なこと。リラックスしようとするのではなく、バランスのとれた適度な緊張を維持できるように心がけましょう。

プロセスにこだわる(P92)

目標を達成したいのであれば、「優勝するためにレースをどう進めるか」「契約を取るために、いつまでに何をするか」というプロセスにこだわることが大切なのです。

「心」と「信念」(P99)

「心」とは、感情と思考によって生まれるもの。よい心を作るには、考えることやプラスの感情を高めることが必要です。
「信念」は、思考の過程において脳が「統一・一貫性」を判断するしくみを使い、主に記憶との情報照合によって生まれます。このため、筋が通らないものを受けつけません。

くり返し考えることが、独創性を生む(P107)

私が学会発表や講演に臨む際は、使用するスライドを1カ月前にはまとめあげるようにしています。これは、当日までの間にじっくりと内容を検証し、修正を加えていくためです。こうして一度、形にすることが思考を深めるポイントです。頭の中だけで、いくらくり返し考えていても、なかなか思考の隙間には気づけないからです。
(中略)
脳の機能を活かすには、大事なことは早いタイミングでまとめて、くり返し考え直すことが重要で、これが独創性を生む方法論であるといえます。

素直に内容と向き合う(P111)

本を読む時は、いつでも素直に内容と向き合うスタンスを持つことが大切です。「これは知っている」「だいたいわかっている」などと思いながら読んでいると、脳が“否定語”に反応して、思考力や記憶力を損ないます。

読書は量よりも質(P112)

いい内容だと思ったらくり返し読み、結論だけでなく背景までふまえて「迷わず論理的に説明できる」レベルまで理解を深めましょう。自分の頭を使ってくり返し思考することによって、内容が本当に身につけば、それを応用することもできるようになるのです。

異なる意見にも耳を傾ける(P116)

考えてみれば、自分とは異なる意見を聞いたからといって、気分を害する必要はないはずです。それどころか、思考を深めるために必要な「自分を疑う」という視点を提供してもらえるのですから、脳のパフォーマンスを上げたいなら歓迎すべきことといえます。さまざまな意見を交換しあってこそ、いいアイデアが生まれるということに、反論する方はいないでしょう。

考える時は4日ごとに間を置く(P117)

まじめな人ほど、また真剣な時ほど、同じことを休まず考え続けてしまうものでしょう。しかし、ひとたび「統一・一貫性」にはまり込んでしまうと、いくら考え続けても、そこからなかなかブレイクスルーはできません。
実は、人間の脳には、あまり重要でないと判断した記憶は3〜4日経つと忘れるしくみがあります。日々膨大な情報に接して、さまざまなことを考えているのに、脳がパンクしないのは、この「忘れるしくみ」に秘密があるのです。

4日後にチェックする(P118)

もし考えたことが本当に重要であれば、脳は4日経ってもきちんと記憶していますから、また考え直し始めることができます。しかし、4日経ってみてよく覚えていなかったり、あまりよい考えではなかったと感じたりするなら、それはあまり重要ではなかったということ。他人と意見がぶつかった時や迷いが生じた時は、いったんそれについ考えるのをやめ、4日経ってから改めて考えた方がよいのです。
ただし、考えるのをやめる前に、一度考えたことを文章や図にまとめておくようにしましょう。整理、4日間離れ、戻ってきて考え直すのです。

くり返し考えることが新しい発想を生む(P119)

「ダイナミック・センターコア」の思考の渦は、そこでくり返し考えることでのみ、新しい発想を生むことができます。そして、新しい発想をきちんとまとめ、時には自分を疑い、立場を捨てて人の意見を取り入れ、間を置いて考え直すことができて、初めて独創的な思考が可能になるのです。

「だいたい覚えた」でやめてはいけない(P133)

「完璧に覚えたかどうか」を確認するためには、「覚えたことを人にきちんと説明できるか」「3日経っても覚えたことを言えるか」を判断基準にしましょう。
記憶は、理解し、思考するというプロセスを経て生まれるのです。完璧な記憶には、このプロセスが最後まで完了することが重要ですが、人に説明できるかどうかは、りかい、思考、記憶の課程を追いながら確かめることになります。

体験記憶から意識的に離れてみる(P136)

体験記憶は、一度で嫌な体験をすれば避けようとさせ、成功したことやうまくいったことには何度も従おうとさせるもの。「危険を避ける」といったシチュエーションでは非常に大切な機能ですが、反面、必要以上に人を慎重にさせたり、新たなチャレンジをしにくくさせたりもします。
異なる意見を取り入れることが、独創的な思考を発揮するという脳のしくみを考えても、時には体験記憶から意識的に離れるというスタンスを持つことは大変重要なのです。「成功体験に縛られていないか」「失敗の経験によって、チャレンジする勇気を損なっていないか」――物事を考える時や行動に移す時は、この2点をチェックする習慣をつけましょう。

姿勢が悪いと空間認知能は働きにくい(P140)

姿勢が正しく保たれていないと、身体のバランスが崩れてしまい、空間認知能は働きにくくなるのです。正しい姿勢、水平な目線を維持すると、物事を正確に理解したり、身体をコントロールすることがしやすくなります。美しい立ち姿や歩き方などを鍛えるのは、文武両道につながると考えてください。

姿勢を正すコツ(P142)

いつでも真上に飛び上がれる状態を意識することです。
この「真上に飛び上がれる状態」を保てれば、目線は以前に水平になりますし、集中して人の話を聞いたり、勉強したりといったことが楽にできるようになるはずです。

字を雑に書くと空間認知能が低下する(P146)

文字は、しっかり丁寧に書くことを心がけましょう。線の長さや空きの幅など同じにすべきところを揃える、線と線の継ぎ目をつなげることなどがポイントです。こうした点を意識すると、おのずと雑な字は書けなくなるはずです。