『脳に悪い7つの習慣』を読んだ時、うしろの広告に載っていた本。呼吸法と脳のどちらも興味があるので、タイトルだけで読んでみたがとてもいい本だった。
著者の金森秀晃さんは呼吸法を中心としたカウンセリングルームを開かれている。お母さまのご病気をきっかけに現代医療に疑問を持ち、自ら医療界へ転身されたそうだ。
正しい呼吸法を身につけることで、ふだんはセーブしている潜在能力(言わば“火事場の馬鹿力”)が発揮できるようになるという。この本では、基本的な「逆腹式呼吸」と、その人に合う呼吸法をタイプ別に紹介している。どれも1日1回3分程度なので、慣れれば簡単にできるものばかりだ。この程度で?と思うが、実際にやってみると、3分で本当に呼吸が深くなり、とても楽になった*1。タイプ別のところでも出てくるが、無意識のうちに呼吸が浅くなったり、ひどい場合には止めていることがかなりあるそうなので、意識して呼吸をしっかりできるようになれば、心身にいい変化があると思う*2。
面白かったのは、タイプ別というのが物理的な呼吸のやり方で分けるのかと思ったら、一般的には「性格」と思われているところで分けていた点。青い鳥症候群やヤマアラシ症候群など、9つのタイプがあり、自分に合うものをトレーニングすればいいようになっている。
ただ、残念だったのは、自分がどのタイプか素人が見極めるのはむずかしい点。チェックテストがあるわけでもないので、全部読んで「自分はこれかな?」と選ぶしかない。私は当てはまるといえばほとんどどれも当てはまりそうだし、かといって「これ!」というピッタリはまった感じもなかったので、家族にも聞いて一番近いと思われるものをやってみた。この辺を改良してくれればもっと使える本になったのに、とそこだけが惜しまれる。
だが、こんな簡単な方法で心身をリラックスさせたり、第一印象がよくなったり、コミュニケーション力が上がるなら、こんな素晴らしいことはないと思う。何かで壁を感じている方、ぜひ一度読んでみてください。
以下は私のメモなので、興味のある方はどうぞ。
逆腹式呼吸と腹式呼吸の違い(P17)
腹式呼吸には2種類あります。
ひとつは、吸気の時にお腹を膨らまし、呼気の時にお腹を凹ませる「(順)腹式呼吸」、もうひとつは吸気の時にお腹を凹まし、呼気の時にお腹を膨らませる「逆腹式呼吸」です。
呼吸の時、横隔膜筋と前腹壁が働きます。(順)腹式呼吸の場合は、吸気の時、横隔膜筋が下がって、前腹壁が上がります。逆腹式呼吸の場合は、吸気の時、横隔膜筋が下がって、前腹壁も下がります。呼気の時はどちらの呼吸も両者が元の位置に戻ります。
このことからわかるように、(順)腹式呼吸では、腹腔の全体の容量は呼気の時も吸気の時もあまり変わりませんが、逆腹式呼吸では、吸気の時、明らかに腹腔全体の容量が小さくなります。逆腹式呼吸の腹腔の収縮と拡張は、実は第2の心臓の作用を果たしているのです。
つまり、逆腹式呼吸は、お腹を動かした深い呼吸ができるので、充分な体内喚起を行うことができます。その結果、呼吸をするたびに横隔膜の運動量がかなり上がるので、余分な熱が放出されやすくなります。逆腹式呼吸を行うことで、首や肩のこりがゆるみやすくなり、体が楽になっていくのはそのためです。
逆腹式呼吸(P21)
- 脚を肩幅くらいに広げてまっすぐ立ちましょう。
- 体をリラックスさせて、下腹から上腹へと、少しずつお腹を凹ませていきます。
- そのまま胸を左右に広げるような感じで、鼻から息を少しずつ吸い込みます。
※肩に力が入らないように注意しましょう。
※お腹とお尻が緊張してくるのを感じられるとよい状態です。 - もうこれ以上は吸い込めない、というギリギリのところまで吸い込みましょう。
- 今度は、お腹を膨らませながら、ゆっくり息を吐き出していきます。
※横隔膜が上下に動き、腹腔神経をほどよく刺激できます。
リラックスで本領発揮(P25)
本来の力を発揮できるという状態は、心も体もリラックスできていることが大切になります。リラックスできている状態は、決してほっとひと休みする状態というのではなく、ほどよい緊張感を保って、気持ちがすべて前に向いている状態です。
やるべきことをやった後、せっかく積み重ねていたことが発揮できるように柔軟性を保つことが、緊張感を楽しめるゆとりを作ってくれて、自分で自分の力を引き出せる状態になれるのです。
「完璧!」の落とし穴(P28)
不思議なことに……「完璧!」と口にした瞬間から、それ以上深く考察することがむずかしくなってしまいます。
言葉の自己暗示力で、「これ以上することはない」「もうわかっている」と思うと、ぐっと空気を飲み込んで、息を一瞬止めてしまいます。そうすると、全身に力が入って、外部から入ってくる情報や言葉など、いろんなことを取り入れないようにブロックしてしまうのです。
コミュニケーションとは、相手の呼吸を感じること(P31)
自分の考えをわかってもらおうとすることよりも、相手が何を発しているのかを感じ取ることが、コミュニケーションを深くすることにつながるのです。
ストレスは、自分自身の感じている感情と、自分の思い描いている思考が一致しない時に生じることが多くなるようです。(P183)
左目の法則(P196)
心と心のコミュニケーションを図ることができる目線の配り方です。言葉による効果がより相手に深く伝わるようになるので、是非実践してみてください。
(中略)
実は、左顔は感性を司る右脳の影響を受けて感情が表れやすく、右顔は理性を司る左脳の支配を受けるため観念的な面が出やすい傾向があるそうです。
そこで、第一印象で相手に安心してもらうために、
- 自分の左目で相手の左目を見ます。
- 3秒たったら、目線を動かして、目と目の間を見ましょう。
※ずっと左目で左目を見すぎると、とても圧迫感を感じてしまいます。
※直接目を見続けるよりも、焦点を目の間に置くことで、凝視されていない感じから安心感を与えられます。
※決してきょろきょろ目線を動かさないようにしましょう。
バランス呼吸法(P203)
吸う:吐く=1:2の時間的関係を保った呼吸法です。
最初は「吸う:吐く=3秒:6秒」からスタートしましょう。最初に決めた長さで3分間続けてみてください。