著者は火山学が専門の京大教授。派手なファッションでテレビに出演している姿を見た方も多いと思う。とにかく度肝を抜くような服装で、一度見たら忘れられないようなインパクトがあるが、実はそれも著者の「戦略」だという。 ====
以前、著者の『ブリッジマンの技術』という本を読んで、これが理系のセンセイの書く本か、と驚いたが、そこにはタネも仕掛けもあった。
著者は読んでもらえる本を書くために文章の書き方はもちろん、マーケティングまで学んだそうだ。それもみんな「火山学に興味を持ってもらうため」だとか。奇抜なファッションをするのも、まず自分に注目してもらわないと話も聞いてもらえないから、という明確な理由があるのだ。
そんな戦略を持っていろいろと結果を出してきた著者の勉強法、面白くないわけがない。もちろん非常に具体的で、文房具やデジカメなどのツールの使い方や、書店を使い分ける方法、さらには資格試験の勉強法まで内容は多岐にわたる。
人によって役に立つ、興味を惹かれるページは違うと思うが、誰にでも必ず役に立つところがある本。特に、広い意味での「勉強」がしたい人にお勧めです。
以下は私のメモなので、興味のある方はどうぞ。
専門バカにならない(P3)
火山学者で火山の知識が豊富だからといって、それだけで満足していると専門バカになってしまいます。人間的な魅力の源である教養がなければ、周りは関心を持ち続けてくれないのです。
戦略的に勉強する(P13)
勉強は「場当たり的」にするのではなく、戦略のもとにするものでなくてはなりません。特に大人が勉強するにあたっては、人から認められることを念頭に置く必要があります。見栄や自己満足で勉強をしようとしてはいけません。勉強は最終的には、人や社会から認められてナンボのものなのです。
なんとなく勉強しない(P15)
勉強に大切なのは「戦略」です。自分は将来何をしたいのか。そして、どういう人間になっていたいのか。
そのためには、どういうスキルを身につけて周囲の人たちにアピールしていくのか。勉強するということは、こうした問題ときちんと向き合うことにほかなりません。
必要なのは3つの力(P19)
- コンテンツ能力……知識の中身を身につける力
- ノウハウ能力……仕事のやり方についての具体的なテクニックやハウツーに関する力
- ロジカルシンキング能力……ものごとを常に論理的に見ていく思考によって養われる力
「人よりできること」の意味(P23)
世間では、素直に世の中の要望に応えていく方が、往々にしてうまくいくことがあります。人に喜んでもらうことができれば、たいていの場合は成功です。成果に対する周囲の評価が高いということだからです。これが「人よりできること」の意味なのです。
「スキマ」を見つける(P25)
大事なのは、「今は見えていないけれど、将来的に人が欲するだろう」というスキマです。そのために、世の中の「流れ」を知ることはとても重要です。そもそもスキマ産業を見つけるにしても、世の中のすでにどんな産業が確立しているのかを知らなければ、何がスキマなのかも判然としないのですから。
イチローは「先に満足している」からヒットを打てる(P31)
本当は、彼ら(=一流と呼ばれている人)は、「先に満足している」のです。その満足が目標達成を次々と呼び込むのです。テレビのインタビューで、あのイチロー選手も小さな満足を積み重ねていると聞きました。イチロー選手は「1試合終わってよいヒットが打てたら、まずそれで満足する」というのです。
(中略)
1回1回きちんと満足するということが大事であり、満足することで次の目標が見えてきます。ひとつずつ満足して初めて、「もっとこうしたい」という欲が生まれてくるのです。
規則を破る楽しみ(P46)
まずは規則を作り、基本的には規則に従って勉強する。その上で、たまには規則を破る楽しみを感じること。
私などは、この破る快感のために、ふだんはせめて勤勉でいようと思っています。それが勉強を長続きさせるためのテクニックということです。
「オン」と「オフ」を使い分ける(P49)
覚えておいてほしいのは、仕事には「オン」と「オフ」があることです。どんな才人でも、24時間緊張を保つことはできません。集中するためには、弛緩する時間も不可欠なのです。両者を使い分けることから戦略的な時間の使い方が始まります。
(中略)
とにかく最悪なのは、中途半端に勉強したり、休んだりすることです。勉強するか、体を休めるか、趣味を楽しむのか。それを先に決めてしまいましょう。私の場合、昼休みの時間は教養、趣味、勉強の順に重きを置いていますが、これはその日のコンディションで決めればよいのです。
週末の予定は5項目から決め打ちする!(P61)
枠組みは、「遊ぶ」「体力作り」「人脈作り」「勉強」「仕事の追い込み」の5項目に分けられます。前もって時間の使い方をきっちりと振り分けてしまえば、当日になって何をしようか迷わずにすみます。
(中略)
5つの枠組みはどれも重要な項目です。このうち最初からふたつは「オフ」に当たり、残りの3つは「オン」です。ここではぜひ、両者のバランスの取り方に細心の注意を払ってください。仕事や勉強ばかりしていても活きた時間にはなりませんし、遊んでばかりいるのも考えものです。両立してこその「オン」と「オフ」なのです。
「パソコンはアウトプットに使う」と決めてしまう(P81)
パソコンでする作業内容を前もって決めておくのが肝心です。パソコンに使われないためには、「パソコンは極力アウトプットに使う」ということを常に意識しながらパソコンに向かうことです。
「頭を使わずに道具を使う」。これは効率的な勉強の鉄則です(P86)。
写真は帰宅前に整理する(P87)
撮影した画像は、自宅に帰ってからではなくて、帰りの電車の中やちょっとした待ち合わせの時間を使って編集するクセをつけることです。
整理用にインデックスの1枚を撮る(P87)
デジカメ写真の整理で使えるのが、インデックス用の1枚を撮るというテクニックです。…お寺を参拝して写真を撮る時に、まずはお寺の名前が入った表札や看板を撮っておくのです。そうすると、たくさん撮った写真をあとで整理する時に、どのお寺で撮影した写真かが一目瞭然です。
同様に町歩きの写真であれば、交差点の道路交通標識を1枚写真に撮っておくだけで、歩いてきたルートが、あとから容易に追跡できるようになります。
紙の資料をまとめる(P93)
ホッチキスやセロテープ、時にはクリップを用いて綴じる資料は、紙ベースで10枚が目安です。ホッチキスで綴じた資料が何セットかまとまったならば、今度はクリアフォルダでひとつにまとめるという段階へと移行します。
スランプ状態も歓迎!(P185)
スランプが来たら、「ようこそ」と言えるくらいの精神状態が、結局は脱出を早めます。私の場合、スランプがやってきたら「しめた!」と思うことにしています。
何といっても焦らないことです。スランプは脳による休息命令のサイン、もしくは今選択している方法に根本的な無理があるというサインです。抵抗せず、素直に従うことです。