著者の村井瑞枝さんは、調理師学校の辻調を卒業後、留学してアートを学んだあとコンサルタントになった異色の人だ。JPモルガン、ボストンコンサルティンググループと聞いて、「ああまた外資系コンサルか…」と思ったが、内容は一般の人にもわかりやすくまとまっている。
コンサルタントと切っても切れないのが「フレームワーク」だが、この本を読んだ一番の収穫は、“フレームワークは自分で図にしてみるとよくわかる”ということだ。図は、人に理解してもらうために描くものだと思っていたが、自分の考えをまとめるために描いてもいいんだ、という当たり前のことに気がついた。
よくある「マトリックス」なども、すでに完成したものを見て考える癖がついているが、縦軸・横軸にそれぞれ何を置けばいいのかなど、考えながら描くと客観視できてよさそうだ。
仕事にもっともよく使われる7つのパターンを具体例とともに紹介し、さらに第5章ではストーリー仕立てで「図を描くことがどう仕事に結びつくのか」を学べるようになっている。
非常に実践的な内容なので、プレゼンや人に伝える必要がある仕事に関わっている人、または伝えたいのに上手く伝わらない悩みを抱えている人にはいい本だと思う。
以下は私のメモなので、興味のある方はどうぞ。
7つの必勝パターン(P80)
資料の骨組みを決める(P160)
資料作りで最初にするべきことは、資料の骨組みを決めることです。
(中略)
最初にだいたいの形を決めてから取りかかる方が、効率が断然よいのです。
骨組みを決めるとは、具体的には、何枚くらいでどういう流れで資料を作るのかということを決めることです。資料の全体の流れを決めてから作り始めるため、作業のやり直しや無駄なページを作ることがなくなります。
…資料を作る前には、紙にどんな構成で何を書くのかを簡単にスケッチしてから作業を始めるようにしています。
メッセージ作り(P163)
「メッセージ」は、そのページで伝えたいことを端的にまとめた言葉のことです。
(中略)
なぜ、メッセージを中身よりも先に考えるかというと、メッセージが決まっていることで、資料の中身が決まってくるからです。
メッセージの3パターン(P166)
- 相手が知らないことを述べる
- 意志決定するための結論を述べる
- 相手に行動してほしいこと・承認してほしいことを述べる
よく使う図形(P171)
- 四角…4つ組み合わせてマトリックスに
- 三角…2本線を入れてピラミッドに
- 丸…重ねてコンセプトの絵に
- 線…さまざまな形の線・矢印として
- 矢印…ロジックの方向性を示す矢印に
- ホームベース…つなげてプロセスの図に
パソコンソフトでのこれらの図形の描き方を覚えておくとよい。