毎日「ゴキゲン♪」の法則

自分を成長させる読書日記。今の関心は習慣化、生産性、手帳・ノート術です。

チャンスは前向きな人にやって来る☆☆

冬季オリンピックに4回連続出場した、モーグル上村愛子選手の本。表紙に「のんびりと、コツコツとしか進めない」というコピーがあり、あの難易度の高いエアや果敢にコブを攻めるスタイルとのギャップに驚いた。上村選手の本を読むのは初めてだが、実は、おっとりして引っ込み思案だそうだ。そんな人がどうして4回もオリンピックに行こうと思えたのか、また実際に行けたのか、逆に興味が湧いてきた。 ====


この本では、お母さんとのことを中心にスキー以外のふだんの生活や、プライベートにも触れられている。なので、「スポーツ選手からモチベーションの保ち方を学ぼう」というような読み方はあまり期待しない方がいいと思う。だが、こんな性格の人でも競技生活を16年も続け、オリンピックに連続4回出場し、ワールドカップ総合優勝や世界選手権2冠達成という偉業を成し遂げられたのだ、と力が湧いてくる。もともと攻撃的なタイプじゃないし、消極的だし、と自分の性格を弱点のように感じている人には参考になると思う。


もちろん、トレーニングについての話も出てくる。筋トレのやり方を変えてみた経緯や、ケガのあとのリハビリなどは参考になると思う。

上村選手は、自分では「心が弱い」と書いているが、私はそれだけではない強さを感じたところがある。それは、ケガをした膝を「武器を手に入れた」と考えていることと、子供の頃スキーのブーツが合わなかったことによってできた外反母趾を長所と考えていることだ。これは、誰でもできるわけではないと思う。

膝のケガは膝のお皿の裏に亀裂が入っているため、手術などもできない。そこで、痛みが出ないように正しい姿勢を保てるトレーニングと、そのための筋力アップをしたそうだ。すると、正しい姿勢の時は痛みが出なくなった。ところが、後傾姿勢になるととたんに痛みが出る。いいポジションでいい滑りをしないと痛みが出る膝、それを「すごい武器を持ったものだと思った」と言い切れるのだ。

さらに、外反母趾は、普通は親指で踏ん張るところが親指の角度が曲がっていて力が入らない。そこで上村選手は外反母趾で踏ん張っているのだそうだ。そのおかげでいいバランスが保てているから「愛しの外反母趾」と呼んでいる。

たいていの人がマイナスに考えてしまうようなことも、自然に前向きにとらえられるところ。それが、上村選手のすごさの源かもしれない、と思った。

この本もやはりオリンピック直前に出版されているので、バンクーバーの結果を知って読むのは辛いところもあるが、読んだ人がみんな上村選手のファンになりそうな1冊。読む人によって印象に残ることは違うかもしれない。ピンと来た方はぜひどうぞ。