毎日「ゴキゲン♪」の法則

自分を成長させる読書日記。今の関心は習慣化、生産性、手帳・ノート術です。

イチローの10年を追う☆☆☆

イチローは特にインタビューがむずかしい相手だという。著者の石田雄太さんは元NHKのディレクターで、現在は執筆活動やスポーツ番組の構成・演出をされている人だ。イチローが心を開いて話せるライターは少ない、というのは有名な話だが、この方のお名前は初めて聞いた。だが、読んでみてきめ細かい内容に、これならイチローも安心して話せるのだろう、と感じた。

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最近、どんな本を読んでいてもイチローの話が出てくる。脳科学でも、成功法則でも、一見関係なさそうな本でも。じゃあ逆に、イチローの言葉を直接受け取ったらどう感じるんだろう、というのが読んでみたきっかけだ。とても噛みごたえのある本というか、一筋縄ではいかない感じだった。

構成はシンプルで、イチローが2001年にオリックスを離れてポスティングでメジャーに行く、というところから今年のシーズン直前までのインタビューが時系列に並んでいる。雑誌の記事をまとめたもので、ほとんどがスポーツ誌『Number』初出だ。非常に緻密な構成で、まるで推理小説のように「ああ、前に話していたあれが伏線だったのか」という読み方ができるくらいしっかりしている。前と言っていることが違う、というような違和感はまったくない。

おそらく、私たちがイチローに対して持っているイメージはほぼ変わっていないが、確実に変化しているのが、読み進めるとよくわかる。スランプの時に何が起こっていたのか、WBCでの、あのはしゃぎ方がどこから来ていたのか。


イチローイチローたるゆえんが、この本読めばよくわかる。私は「ああ、なるほどね」と「えっ、そうだったの?」が半々くらいだった。
きっと、読む人によって心に響く場所は違うと思う。まるで心理テストのように、どこに反応するかでその時の気持ちが見透かされるような気がするので、メモは取ったがここには書かないでおくことにした(楽しみにしてくださっている方、申し訳ありません)。


ひとつだけ、これはよく言われるエピソードであり、誰にとってもいい言葉だと思うので引用しておきます。

イチローは、満足したら終わりだ、という物言いに納得しない。むしろ、満足していいし、実際に満足してきたのだという。満足感を感じられなければ、自分の中にある最高到達点がいつまでもわからない。山の頂だと信じていたところにたどり着いて、ようやくその場所の高さがわかり、次の目指すべき頂が見えてくる(P342)。

一流とは何か、知りたい人必読です。野球がまったくわからないければややむずかしいかもしれませんが、技術的なことはわからなくても充分楽しめます。