毎日「ゴキゲン♪」の法則

自分を成長させる読書日記。今の関心は習慣化、生産性、手帳・ノート術です。

今日から使える脳科学☆☆☆☆

脳が冴える15の習慣』の著者・築山節先生の続編にあたる本。とてもわかりやすいので、今回も☆4つの最高評価にしてしまった。


この本は脳と感情との関係を中心に書いてあり、今回も非常に具体的でわかりやすい。脳科学の本をたくさん読んでいる人にとって、目新しいことはあまりないかもしれないが、“実際にどう行動すればいいのか”が噛んで含めるようにていねいに書いてある。やはり、毎日診察でごく普通の知識しか持たない患者さんを観ている医師だから書ける本なのだろう。

「知っていることばかり書いてある」かもしれないが、小さなステップに分けて取り組む方法が紹介されていたり、わかりやすい例が載っていたり、著者自身のスケジュール管理法が書いてあったり、すぐできるやり方ばかりなのだ。

私にとって一番役に立ったのは、「快・不快のコントロール」。6・3・1のバランスを考えると脳のコンディションを保てるというのは予定を立てる時に目安になる。
また、「気になっていることリスト」の扱い方も面白かった。気になることをリストアップする、というのはよくある方法だが、今取り組まなければならないこと以外は消してしまう、という「消す」が線を引いて消すのでなく、引っかかりをなくすために本当に消してしまう*1というのが新鮮だった。たとえ線を引いて消してあっても、そこにあれば脳は気にしてしまうそうだ。ここまで気をつけないと、脳をいい状態に持って行くのはむずかしいらしい。

脳のことがわかっていれば、より“いい状態”にすることができる。ふだんの簡単な心がけと知識で、それが可能になるのだ。
脳に興味のあるあらゆる人はもちろん、具体的な方法を知りたい人、脳のことはよくわからないけど、ボケ予防に何かしたい、というような人にもお勧め。

実はこの本は3部作になっていて、1冊目は『フリーズする脳』だそうだ。近いうちに読んでみよう。


以下は私のメモなので、興味のある方はどうぞ。

脳を理解し、補う使い方を心がける(P5)

私が専門医として日々実感しているのは、脳はやる気を失いやすいものだし、見聞きした情報を忘れやすいものだし、思考を混乱させやすいものだということです。
大切なのは、脳の機能的な制約を理解し、それを補う使い方を心がけることです。

脳には助走が必要(P37)

脳に難しい問題を考えさせたり、パワフルな仕事をさせたりするためには、助走がいるんですよ。それをなくして、遠くまで跳ぼうとするかのような仕事ばかりしようとしていると、意欲が起こらなくなってしまうことがあるんです。脳にとって、助走というのは、簡単な作業を連続させることだと考えてください。5分の集中ですむような作業、10分で解決できるような作業。そういう簡単な作業をある程度連続させていった時に、もっと長い集中にも耐えられるような脳の状態ができる。ふだん、難しい仕事や勉強に取り組んでいる人ほど、そういう時間帯を持つことが大切なんです。

やる気が出ない時の対処法・まとめ(P38)

「短時間の集中×多数」で脳は活性化される。
「テキパキと行動している状態」を意図的に作り出そう。

時間と距離(仕事量)の関係を認識する(P42)

同じ一所懸命に仕事や勉強をするのでも、
「1日に何時間やるか」
ではなく、
「1日に何回、時間の制約を意識しながら集中して勉強や仕事に取り組んでいる時間帯(=試験を受けている状態)を作るか」
という風に考え方を切り換える。

必ず結果を出す(P43)

2時間なら2時間、ただ考えたということに満足するのではなく、その間に考えたことをメモ程度にでも、必ず脳から出力して残しておく。「試験を受けている状態」を作り出した以上、完全解答でなくても、答案用紙は必ず提出するのです。

「脳のエネルギーの投資先」を明確にする(P45)

「ほどよい興奮」を仕事や勉強に向かう意欲に効率よく換えていくためにも、「脳のエネルギーの投資先」が明確になっている必要があるのです。

前日の夜にやっておくこと(P48)

夜、寝る前に、明日するべきことは何かを思い浮かべてみて、メモや1日のスケジュール表などに書き出しておく。ソレヲ翌朝見て確認し、ぼんやりしてきたな、というところでまた確認し、1にちが終わる頃にまた見て、今日はちゃんと予定通りできたかな、ということを確認する。
(中略)
書くのは、「13時からA誌の取材」といったイレギュラーな予定と、「17時までにB社から依頼されている原稿を書き上げる」「7〜8時、放送大学の宿題を片付ける」といった、自分の意志で進めなければ誰も命令してくれないような予定です。

準備や予習は年をとってからこそ大切になる(P49)

明日提出しなければならない書類があるなら、前夜のうちにそれを用意して、カバンに入れておく。あるいは、机の上のわかりやすいところに置いておく。明日誰かに説明しなければいけないことがあるなら、そのための資料をめぼしいところだけでも読んでおく。
その方が忘れ物をしなくなったり、仕事や勉強がスムーズに進んだりするから、ということもありますが、それだけでなく、その行動に意欲を向かわせるためにも大事なのです。

自分本位は脳にとって楽ではない(P54)

すべての時間と労力を自分のために使っていいとなると、かえって何をどこまでやればいいのかがわからなくなり、次第に何もしたくなくなっていくはずです。
(中略)
自分をうまく律して、活動性の高い生活を維持するためには、考え方を逆にした方がいいのです。
基本的には、「誰のために」を思い浮かべながら、「何をするのか」を考え、行動目標を決めていく。そうして立てたスケジュールの空いている時間に、「自分のために」やりたいことの予定を入れる。そうした方が、「自分は何がしたいのか」もはっきりするはずです。

人間はどこかで、誰かに動かされていた方が楽(P55)

誰かに動かされるというのは、「命令されたから仕方なく動く」といことばかりではありません。自分が仕事や私生活上で関わっている人たちのために、「率先して行動する」ということも、誰かに動かされていることだと思います。そういう場面を増やすと、脳の負担が減るだけでなく、人からの感謝や評価も得やすくなるのです。

まず現状を正確に把握する(P58)

やらなければいけない仕事がたくさんある時、解決しなければいけない問題がありすぎる時、私たちは不安になり、逃げ出したくなるものです。それでも逃げ出せないとなると、冷静に思考できなくなり、パニックになってしまうこともあります。
この時に大切なのは、まず「現状を正確に把握すること」に脳の力を向けることです。
自分が今どんな状況に置かれていて、どんな問題に対処しなければいけないのか?
解決の優先順位はどうなのか?
実は解決しなくてもいい問題はどれなのか?
人の力を借りられる仕事はどれか?
そういうことを「レーダーとしての脳」を働かせて確認していく。それだけでも不安はかなり解消されます。
これは脳の性質からいえることです。

感情に思考を加えてバランスを取る(P59)

解決しなければならない問題がある時、それにまつる情報は、脳に感情的な反応も引き起こさせます。
(中略)
そこに思考系の働きを対応させて、「この問題にはこう対処すればいい」「これは後回しでいい」「この問題に対しては、今は何もしなくていい」ということを考えていけば、感情的な反応とのバランスがとれてくるわけですが、それをしないと、不安や焦りだけがいつまでも残ってしまいます。それがいくつも重なってくると、感情の制御が難しくなる。
……まず大切なのが、「現状を正確に把握し、感情系だけに刺激を与えている問題に思考系の分析を加えていく」ということなのです。

問題の過大評価を止める(P62)

解決しなければいけない問題、やらなければいけない仕事がたくさんある時に、ただ漠然とそう思っているだけで、分析をしていないために、過剰にネガティブになっている。
その感情的な「問題の過大評価」こそが、冷静に思考する力を奪うのです。
少しだけ意志の力を働かせ、問題をひとつずつ確認し、重要度や緊急度を判断していけば、少なくとも根拠のない問題の過大評価は止められます。その上でさらに、ひとつひとつの問題にどう対処すればいいかまで考えられれば、前向きな自分を取り戻せていくでしょう。

重要度・緊急度が低い問題を消す(P67)

この時に、脳の中で抽象的に消すのではなく、紙の上で物理的に消すのがポイントです。
鉛筆で書いたなら消しゴムで消す、ペンで書いたなら修正駅で消す。そうやって、紙に余白を作り、残っている問題だけを目で見て対象化しやすいようにする。
その作業を通じて、不安や焦りはさらに小さくなります。

1ヶ月分の仕事は「30日分の私」で対処する(P75)

複数のことに同時に集中しようとうるのは、もっとも効率の悪い脳の使い方ですから、不安や焦りが募るばかりで、仕事はなかなか進まない。問題解決に集中できない。しかも、こういう時には「解決するまで寝てはいけない」と考えがちなものです。そうすると、翌日には睡眠不足に陥っている。その疲弊した「今の私」がすべての仕事や問題に対処しなければいけないかのように考えるので、よけいに絶望的な状況に思えてしまう。そういうことを繰り返しながら、脳も体も疲れ果てさせてしまっている人がよくいます。
本当は、そうではなく、1ヶ月分の仕事は「30日分の私」で対処すればいいのです。
1年の仕事は「365日分の私」が力を合わせて解決すればいい。
大切なのは、「その日・その時の私」に仕事をうまく割り振っていくことです。

「結果的に実行したこと」も記録する(P79)

私は「結果的に実行したこと」「実行しなかったこと」もを同じ手帳に記録として残すようにしています。
段取りを考えることが未来に向けた「問題の時間的整理」だとするなら、記録を残しておくことは、過去における「問題の時間的整理」だと言っていいでしょう。

「今の私」を管理者にする(P80)

同じスケジュール帳に「実行したこと」「実行しなかったこと」を書き込むことによって、昨日までの私が何をしてきて、明日からの私が何をしなければいけないのかがひと目でわかるようになります。
それを確認している「今の私」は、365日分いる「その日の私」がきちんとそれぞれの役割を果たしているかをチックする管理者にすぎません。
その「今の私」が、巣へ手の問題に対処しようとして、頭を悩ませる必要などないのです。

ものを整理すると、頭の中も整理される(P85)

ものの整理をするというのは、それ自体が、脳の中之条法をを整理することでもあります。
(中略)
ものの整理を毎日まめに行っていると、初歩的な思考の整理はいつの間にかできているものなのです。

脳は変化に反応する(P90)

壁に貼られたポスターのように変わらない風景をいつまでも眺めていて飽きないという人はいないでしょう。だんだん脳が反応しなくなってくるはずです。
ところが、その風景の中に変化が起こると、「おや?」という興味が生まれる。脳が反応するのです。それが見るたびに変わっていると、脳は変化に反応し続け、興味が維持される。
(中略)
自分で仕事を進める時にも、この性質を利用した方がいいのです。
つまり、時間をかけてでも解決しなければいけない問題がある時には、少しでも変化させ続ける。
まとまった時間ができるのを待つのではなく、細切れの時間を見つけて、問題のごく一部でもいいから解決する。解決させられなくても、次につながるヒントだけでも残しておく。
それが問題解決を早め、仕事を溜め込まないようにするコツです。

古い問題より新しい問題(P92)

逆に、少しずつでも変化させる工夫をまったくしていないと、脳はその問題に対する興味を失い、いざ時間ができても、それを解決しようとは思えなくなっていきます。誰にとっても、新しく発生した問題の方が、手つかずのまま残っている古い問題より興味深いものです。

「一時記憶の机」と「長期記憶の書庫」(P104)

脳の中に小さな机があると考える=「一時記憶の机」。
その向こうには膨大な容量を持つ「長期記憶の書庫」が広がっているのですが、目や耳から脳に入力された情報は、一度この机に載せてからでないと、書庫に移すことができません。
また、脳に蓄えられている情報を出力する時にも、「一時記憶の机」に載せてからでないとできない。
(中略)
大切なのは、脳の中の小さな机を情報であふれさせないことだと考えてください。
そこは情報を並べ、余裕を持たせておくべきなのです。

キーワードを拾いながら読む(P116)

全体を一度に理解するのが難しい本を読む時には、中にでてくる重要な単語や特徴的な言葉を拾いながら(マーカーでチェックしたり、余白にメモしたりしながら)読んでいって、1章読み終わったところで、そのキーワードを1舞のメモ用紙などにまとめる。それを見ながら、「どんなことが書いてあったのか」を思い出してみるのです。そうすれば、重要な情報がちゃんと自分に知識になっているかを簡単に確かめることができ、同時に、その情報を自分の脳から引き出す時のキーワードを得たことになります。
この時、ただ脳の中で思い出すだけでなく、自分なりのまとめをノートに書いてみたり、人に説明するつもりでしゃべってみたりするともっとよいでしょう。

感情の発生源をコントロールする(P172)

感情を理性的にコントロールする方法として有効なのは、感情そのものではなく、感情を発生させる刺激をコントロールしようとすることです。

「強い不快+強い快」では平衡が保てない(P174)

強い不快のあとに強い快が続く、あるいはその逆の状況が繰り返されていると、感情的な波立ちが大きくなりすぎ、平衡を失いやすくなります。
(中略)
そうなることを防ぐためには、快でも不快でも、強い感情が発生したあとには、感情があまり発生しない地味な仕事や勉強をこつこつやっているような時期、時間帯を設けるようにした方がいいでしょう。

感情のコントロールは6・3・1のバランスで考える(P175)

自分にとって「好ましいこと、楽なこと」が6(その中には、面倒だけど自分のためになることがわかっている仕事や勉強、快・不快のどちらの感情も発生しないルーティンワークのようなものも含まれると考えてください)、それに対して、「少し嫌なこと、面倒なこと」が3、「すごく嫌なこと、面倒なこと」が1の割合になるように予定を調整するのです。

記憶に対する解釈を変える(P180)

感情は基本的に、自分が聞いたり読んだりした言葉や体験した出来事に直接結びついているものではありません。その記憶と、それに対する自分の解釈に付随して発生しているものです。
そのため、同じ言葉や体験でも、それに対する自分の解釈を変えることによって、快の刺激にも不快の刺激にもすることができます。

自分という船の舵を取る(P189)

人生を航海にたとえて考えてみましょう。
湖面のように穏やかな海を気持ちよく進んでいける日ばかりならいいですが、なかなかそうはいきません。雨の日もあれば、風の日もある。暴風雨にに見舞われる日もあると思います。
そこを乗り切っていくためには、しっかりと舵を取らなければいけません。
この舵を取るということが……自分を理性的にコントロールすることです。
(中略)
船が倒れてしまったり、どこかへ流されていってしまったりしないように、自分の意志でバランスをコントロールしていく。
(中略)
舵を取って難局を乗り切った経験を積み重ねれば積み重ねるほど、安定した航海ができるようになる。人が生きていく中で訪れる困難な時期を乗り切っていくのがうまくなるのです。そういうスキルを身につけているのが、精神的にタフな人の一面ではないでしょうか。

目標を持っている人は感情を安定させやすい(P191)

目標を持っている人は、自分が今何をするべきか、自分にとって何が大事かということを判断しやすく、それがわからないことに起因するよけいな不安や混乱を避けやすい。
(中略)
また、不快な感情を発生させる刺激を受けた時にも、それを相対的に「小さなこと」にしやすい。6・3・1のバランスを整えやすいのです。

目標を持っている人は不快な感情を早く消しやすい(P192)

感情は本来、時間が建ち、記憶が古くなっていくにつれて、減衰していくはずのものです。その減衰を早めるには、感情を増幅させる思考を繰り返さないように(くよくよ考えないように)、別の行動に脳を使うことが有効だと考えられます。
明確な目標を持っている人は、自然とそこに向かいやすいので、「その時の感情」だけにとらわれにくい。

松坂大輔投手の座右の銘(P192)

「目標がその日を支配する」

日々誰かの役に立つことも大切(P197)

自分の目標に向かっていく活動と同じくらいに、それ大事にしていく。
今の自分が深く関わっている人たちの顔と名前を思い浮かべながら、「その人たちに対して、自分はどんな役割を担っているか」「『明日の私』は何をするべきか」ということを考えていく。

やる気が起こらない時には、できることから始め、作業興奮を発生させる。(P197)

毎日の活動に変化をつけ、疲れている時はよく休む。(P197)

焦る人が増えている(P201)

時期が来なければ手に入らないような成功が今手に入らないことに失望して、意欲を失っている。

基本的な積み重ねを省かない(P202)

焦って情報を脳に詰め込もうとするほど、基礎的な積み重ねを省略しようとするほど、脳をうまく使うことは難しくなります。

365日、50年間働ける人が最後には勝つと私は考えています。(P202)

*1:鉛筆なら消しゴムで、ペンなら修正液で