毎日「ゴキゲン♪」の法則

自分を成長させる読書日記。今の関心は習慣化、生産性、手帳・ノート術です。

結果を出せる文章術☆☆☆☆

伝わる・揺さぶる!文章を書く (PHP新書)
山田 ズーニー
PHP研究所(2001/11)

¥ 693

この本も日垣隆さんの『すぐに稼げる文章術』で紹介されていた、厳選33冊のひとつ。
山田ズーニーさんの本を読むのは2冊目だ。残念ながら読書日記が見つからないのだが*1話すチカラをつくる本』だったと思う。話し方の本がとてもよかったので、この本も期待して読んだ。期待を裏切らない、素晴らしい本だった。 ====


著者は長年、進研ゼミで高校生の小論文を指導してきた人だ。だから、ものすごくリアルだ。机上の空論ではなく、どうやれば自分の気持ちをきちんと伝えられるのかをいろんな方向から考えている。

あらゆる文章は「人に気持ちを伝える」ために書かれているので、たとえ保育園に出す連絡文であったとしても、大きな差が生まれるのだ。
実際に、連絡文が例として出ているのだが、考えて書いたものと、そうでないものとは伝わり方がまったく違うことがよくわかる。

もちろん、テクニック的なこともきちんと説明されているが、私が感動したのは「気持ち」の部分だ。それを自分がどう受け止め、どう伝えるのか。文章はそれでほとんど決まってしまうと言ってもいい。

著者が使っていたというお詫び文のテンプレートも素晴らしい。このお詫びが書けるだけで、ピンチをチャンスにできると思う。興味のある人はぜひ買って読んでください。

おそらく、著者が一番言いたいことは次のフレーズに集約されていると思う。

少し高いハードルだが、あなたが書きたいことで、あなたにしか書けないことで、結果的に人に歓んでもらえるというところから逸れないように、文章のゴールを設定していくといいのではないだろうか(P62)。



以前も書いたように、私が文章術で☆4をつけることはめったにない。そのくらい私は素晴らしい本だと思ったが、Amazonでは評価が分かれていた。むずかしくない、実践的になものを求めている人には最適の本だと思う。どちらかといえば初心者向けかもしれないが、学生以外にも、どんな人にも役に立つ本です。もちろん私も買います。


以下は私のメモなので、興味のある方はどうぞ。

いきなり結論を出そうとしない(P20)

大問題にいきなり結論を出そうとすると、考えるのが面倒になるか、陳腐な結論になるか、そうして書くのが嫌になってしまう。
こういう時は、「答え」ではなく、「問い」の方を探すことだ。つまり、ひとつの大きな問題を考えるために、有効な、具体的なで小さな「問い」をいくつも作って、自分にインタビューすることで、考えは前に進む。

結果を出そう(P32)

ポイントとなるのは、読み手の心を動かすことだ。読み手の心が動けば、何らかのかたちで状況は動き、結果は出る。
だがそれは、自分の意のままに相手を操作することではない。
(中略)
つまり、書くことによって、あなたがあなたの潜在力を生かし、読み手を共鳴させることだ。読み手に、共感・納得・発見などの心の動きが生まれれば、やがてそれは読み手の内部で大きな振動となって、読み手自身の潜在力を揺さぶり起こすだろう。

根本の想いにうそをつかない(P44)

自分が何を書きたいかより、どういうことを書いたらウケがいいかを優先しすぎると、自分の思いと離れた空々しい意見しか出てこない。すると、自分という人間の印象まで、うそっぽく映ってしまう。根本の想いにうそをつかず、考えていくことが重要だ。

セルフチェックの観点(P58)

何のために書いているのか、わからなくなってしまったら、次の順序で、自分に問いかけてみよう。
1.自分は今何を書いているのか?書こうとしているのか?
2.だから、何なのか?それは読み手にとってどんな意味があるのか?
3.読み手にどうなってもらいたいのか?そのためにどう書けばよいのか。

読んだ人に、どう言ってほしいか?(P59)

自分が書いた文章を読み終えた時、読み手に、どう言ってもらいたいか、その言葉で結果をイメージするのだ。これなら、結果を具体的に描きやすい。これは、私が企業にいたときに習い、出版物を作る時に効果をあげていた方法だ。

自分の「志」を知る(P60)

こうして毎回「何のために?」と考えて、文章を書こうとすると、自分の仕事観や世界観が問われていることに気づいてくるはずだ。仕事のちょっとした文章も、根底のところで、自分は何のために仕事をしているのかが関わってくる。
それは、自分の「志」とも言える。ここで述べてきたことは、小さくてもいい、志のあるものを書こうということでもある。

書くことは、歓んでもらった時に価値を持つ(P62)

著者にとって、書くことは、伝わって歓んでもらった時に価値を持つ、と位置づけられているように思えた。
(中略)
少し高いハードルだが、あなたが書きたいことで、あなたにしか書けないことで、結果的に人に歓んでもらえるというところから逸れないように、文章のゴールを設定していくといいのではないだろうか。

読み手と自分の問題関心をキャッチする(P67)

自分の関心事をいかに、相手に興味ある切り口で書けるか。相手の関心事をキャッチしつつ、それを、いかに自分の興味ある問いに発展させられるか、腕の見せ所だ。

関係性を考えるとは(P85)

まず、相手についての理解を深めること、次に相手から見た自分の立場を知ること。その上で、相手と自分の関係性を発見することだ。

自分の立場を発見する(P91)

関係性の中で、自分の立場が見えてくれば、自分の書くものは、自分を取り巻く人間関係の中で、よく機能するに違いない。
…自分の立場を照らしたかったら、外を見ることだ。書くためには、よく見なければならない。自尊心がバラバラと崩れるまでに、痛いまでに。自分の都合とはまったく関係なく生き、動いている他者を、社会を、見ることだ。
自分の立場を発見するとは、世界の中の小さな自分を発見し、その生かし方を研究することだ。

正論を押しつけても意味がない(P98)

社会に向けて自分の意志を発信する時には、単なる批判に終わっていないか?スローガンの連呼に終わっていないか?厳しく自分の文章をチェックしよう。

短く言える=理解できている(P108)

短く言うということは、大事なものだけ残して、あと全部を棄てることだ。短く言えないということは、大事なことの順番が自分にもわかっていないということだ。

自分の生き方にうそのない文章を書く(P109)

自分の生き方にうそのない文章を書くということは、実はもっとも有利な戦略なのだ。自分の生き方に立脚して書くべきことを探してみる。
(中略)
自分の腑に落ちるまで、自分の生き方に合った言葉を探し、言葉を発見し、自分を偽らない文章を書くことによってのみ、読み手の心は動くのだ。

機能構造を組み立ててみる(P170)

文章を書き始める前に、段落ごとの機能構造を、自分でゼロから組み立ててみる。それにはまず最終的な結果をイメージすることが必要だ。慣れないと、最初はむずかしいし、面倒に感じるかもしれない。しかし、「この結果を出すためには、何と何が必要か?」「じゃあそれをどういう順番で並べたらいいのか?」ということをその都度、その都度、自分で考えるトレーニングをしていると、文章の要素と全体の構造を自然にイメージできるようになってくる。「えっと、友だちに映画の感想を書こう。まず、俺が感じたことを書くだろ。それから友だちがこの前メールでよこした感想に意見を返すだろ。そのあと……どうするか?」というように、機能構造を組み立てられるようになるのだ。
問いを立て、視点を動かしながら、思考を前に進めるという作業は、…どんな文章を書く上でも欠かせない。ここでも大事なのは自分で考えることだ。

2歩引いて見る(P191)

あなたの書く文書の読み手を…「おいてきぼり」にしないために、「2歩全体に引いて見ること」を提案したい。自分の書いたものを、人が見たらどうか、おかしくはないだろうか、と1歩引いた視点でチェックするのは、誰もがやっている普通の推敲だ。ここではそこにとどまらず、さらにもう1歩引いて、自分が当たり前と思っていることをわからない人もいるのでは?と想像してみることが肝心だ。
初歩的なところで話に入ってこられない人がいることを事前に想定して、その人たちが、すんなり入ってこられるように、案内板や、はしごのようなものを、文中に用意してあげる。これができるようになれば、あなたの文章は、数段、人に読まれやすくなる。

ひとつ前のプロセスを共有する(P192)

「今年」の話をするなら「去年」のことを、「来期の戦略」に入るのなら「今期の戦略」を、「意見」がほしいのなら「問題点」を。このような、ひとつ前のプロセスを読み手と共有しておくことが必要だ。いきなり、
今期の売り上げは、なんと8740万円!
と「!」をつけられても、これがどういうすごい数字なのか、読み手の方は、「?」だ。今期を照らすには、前期を添える。つまりはこうすることだ。
今期の売り上げは、8740万円
(前期4960万円、76.2%アップ)

教える側のねらいまで伝える(P195)

たとえば、新人研修の案内を送る時も、「明日は、企画書に関する研修を行います。同封の資料を読み込んできてください」としないで、「明日の2時間の研修で、企画書の書き方をマスターするのは無理ですが、少なくとも、企画書とは何かがわかること、企画に必要な資料は自分で用意できることまでを目指します」というような、ゴール設定を入れると、教わる側もイメージしやすく、やる気になるはずだ。

専門家の落とし穴(P196)

専門家になってしまうと、わからない人の、わからないという気持ちが分からない。なぜ?どこが?どうして?わからないのかということへの想像力が働かなくなる。
だから、自分の中に、あえて死角を作ったり、誰かに引いた目線で観てもらったり、素人の人に取材するなど、わからない状態を知る努力が必要になってくる。

標題をつけてみる(P198)

編集をする人でなくても、「自分がしていることへ標題をつける感覚」を持つことは、ものごとを伝える時に役に立つ。
たとえば、プレゼンテーションなどで、「次に商品の特徴に移りたいと思います」というように、話の節目に、文章でいう「見出し」や「小見出し」にあたる説明を挟むことがあるだろう。
入り込みすぎていると、「次に世界最速回転盤に移りたいと思います」と、特徴そのものを言ってしまい、聞く人は、話の展開についていけない。
1歩引いて、「次に他社には真似のできない当社商品だけの特長を説明します」と言えば、聞く人もよくわかる。
もう1歩引いて、「ここからが、本日のプレゼンテーションで一番重要な点ですから、よくお聞きいただいた上で、ご不明な点はあとで何でもおたずねください。他社にない当社商品の特長は……」と話し出せば、聞く人も、話の優先順位、自分の絡み方を心配しなくてもよく、便利だ。
報告書や企画書に見出しをつける場合も同様だ。自分の話すこと・書くこと・していることに標題をつける、しかも「引き」でつける感覚を養うことは、確実に伝え、結果を引き出すために有効だ。

読む気を引き出す文章の書き方(P200)

文章を書く時、「読み手から見たら、これを読む動機は何だろう?」と考えてみよう。はっきりした動機があれば、文章の冒頭に書く。
(中略)
読む気を引き出すタイトルをつけても、リード文を書いてもいい。いずれにせよ、本文に入る以前のところでアナウンスしないと意味がない。

自分の思考停止ポイントを発見する問い(P211)

※思考停止ポイントとはーー考えることをやめてしまう、安易に逃げ込んでしまうポイント。企業のスローガンやカリスマ性のある人の言葉、自分の内側の正義のようなものなど。無意識に結論をそこに持って行きがちになるので注意。
◇今自分が、信頼を寄せている存在は?その人の言うことを咀嚼しないで人に広めていないか?
◇自分が優れていて、他人が劣ると思うのはどんな時か?
◇最近、人に何かを強く勧めたか?
◇会議や会話で自分が連発する言葉はあるか?
◇自分の発言の中で「絶対」をつけるものは何か?
◇自分のモットーは何か?

シンプルな「なんか」を大切にする(P224)

ものごとを判断する時、ふつうの目で、ふつうに考えてわかる「なんか」はとても大切だ。しかし渦中にいる時、人はしばしばそのシンプルな「なんか」を見失う。なぜだろう。
たぶん、自分が一番わかっている、というプライドが邪魔をするからだと思う。窮地に追い込まれた時ほど、このプライドを、固く握り締めてしまう。

周囲が思う「なんかあなただ」と思うもの(P226)

誤解されるとは、自分の内面を、人がわかってくれないということではなく、自分が、人にどう映っているか認識してない、「なんか」を見失っていることからやってくるズレ。そんな風にとらえた方がポジティブだ。なぜなら、そう考えれば、自分で変革できるからだ。
周囲が思う「なんかあなただ」というもの、それは、そんなにずれてない。もしかしたらあなた以上によくわかっているのではないかと、私は思う。ただし、それはもう前提になっていることだから、誰も、わざわざ言葉にしてあなたに伝えることはない。
言葉でコミュニケーションするのは、その先のやりとり。言葉にしてやりとりする必要な問題が生じたからで、周囲のあなたに対する全体的な想いに比べれば、ずっと部分的で小さいものなのだ。

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