毎日「ゴキゲン♪」の法則

自分を成長させる読書日記。今の関心は習慣化、生産性、手帳・ノート術です。

心臓に感謝したくなる本☆☆

心臓は語る (PHP新書)
南淵 明宏
PHP研究所(PHP新書)(2003/11/17)
\756

家族の健康問題が浮上し、それに関して借りてきた本。私も仕事のための知識習得も兼ねて読んでみた。


著者・南淵明宏さんは心臓外科医で、医療関係のTV番組にもよく出演されているので、ご存じの方も多いかもしれない。
普通、医師は理系なので文章が上手いと言っても限度があるのだが、著者の文章は文句なく読みやすく、わかりやすい。医師の本としては特筆のうまさだと思う。
この本を読んで心臓のいろんなことがよくわかった。


私は仕事柄、ここに書かれている基本的なことはだいたい理解していたが、そういう知識のない人でも読みやすくなっている。現に、脳科学の本でも解剖学的な章は読み飛ばしてしまう家族が、この本は全部スルスルと読めたらしい。こういう話が頭に入らない、苦手な人にもお勧めの本だ。

心臓のしくみや心臓疾患について、また検査や手術の具体的なことについてもくわしく説明されている。中でも、検査のメリットとデメリットや、ある程度の誤診・再発の可能性が残るものなど、病院ではなかなか聞けないことも書いてあり、役に立つ。


中でも、私の印象に残ったのは、著者が「医学にも科学にも限界があり、わかっていないこともたくさんある」というスタンスに立っていることだ。通常、医師は科学万能主義的な考え方をしている人が多く、それ以外をまったく認めない、という強固な態度の人もいるが、著者は文章と同様、非常に柔軟な考え方をした人だと感じた。やはり、どんな世界でも一流の人は柔軟なのだろう。
心臓は電気信号で動いているそうだが、まだすべてが解明されているわけではないそうだ。心臓移植手術のため、健康な心臓を取り出すという経験もされたそうで、その時の“畏怖の念”と関係があるかもしれない。


広く心臓全般について書かれているが、もちろん病気のサインや医師に何を伝えるといいのか、といった具体的なことや、ふだんから心臓のために心がけるといいことも載っている。これを読むと、心臓に負担をかけているな、と反省すること必至だ。

病気になってから慌てないために、健康な人生を長く続けるために、ぜひ読んでみてください。