毎日「ゴキゲン♪」の法則

自分を成長させる読書日記。今の関心は習慣化、生産性、手帳・ノート術です。

「仕事」と「生き方」を近づけるために☆☆☆☆

以前読んだ『自分をいかして生きる』の前編に当たる本。『自分をいかして生きる』を読んだあと、すぐに文庫版を購入して読んだ。こちらもいい本だった。


この本も、やはりデザインやものをつくる仕事に携わる人を中心にインタビューを行い、それをまとめたものだ。大きな会社から、数人で事務所をやっているケース、そして個人でやっている人など登場する人はさまざま。だが、著者の探す「働き方とは何か」というテーマが背骨になっているので、違和感なくひとつのストーリーのように読める。

だが、一番印象に残ったのは「文庫版あとがき」だった。ある読者から届いた、この本に対するやや否定的な意見。“それは理想論であって、現実的に無理な人もいる”という人に対して、著者はどう答えたのか。返事がほぼそのまま載せられているので、とても納得しながら読んだ。食べていくためには、理想の仕事ばかり追いかけていられない。確かに、それはそうだ。それでも、できることはある――。

しかしやはり、自分をいかして生きてゆくことこそ、一人ひとりの人間の仕事だろうと僕は思うので、できれば殺さないで欲しいという気持ちがあります。(P321)

仕事がただの「労働」に感じられた時、この本はあなたの助けになります。


以下は私のメモなので、興味のある方はどうぞ。

人が求めるもの(P10)

人間は「あなたは大切な存在で、生きている価値がある」というメッセージを、つねに探し求めている生き物だと思う。そして、それが足りなくなると、どんどん元気がなくなり、時には精神のバランスを崩してしまう。

いいモノをつくっている人の働き方(P12)

いいモノをつくっている人は、働き方からして違うはずだと考えたのだが、はたしてその通り。彼らのセンスは、彼ら自身の「働き方」を形づくることに、まず投影されていた。

CMプランナー・佐藤雅彦氏の手法(P151)

魅力的な物事に共通するなんらかの法則を見出そうとする時、彼がとる手法は「好きだけど理由がわからないものを、いくつか並べてみる」というもの。慶應大学の講義ではこの手法を、要素還元という名前で紹介していた。

「癒されたい」<「満たされたい」(P179)

「癒されたい」とか「癒される」といった言葉を頻繁に聞くようになったが、言葉の裏側に貼り付いている気持ちは、「満たされたい」ではないかと僕は思う。

モノづくり=内面に降りていく作業(P205)

自分がどんな場所を気持ちいいと思うか。その判断力がなかったら、気持ちのいい場所を生み出すことなどできない。モノづくりは無数の判断の積み重ねだ。もし、つくり手が自らの判断力に自信を失ったら、いったい何がつくれるだろう。その判断を自分でなく外部に求めるのが、たとえばマーケティング調査を先行させた商品企画である。しかし馬場(浩史/東京から栃木県・益子に移住しスターネットを開く)氏のモノづくりは、徹頭徹尾、自分自身の内面に降りていく作業だという。

仕事とは、社会の中に自分を位置づけるメディアである(P256)

それは単に金銭を得るためだけの手段ではない。人間が社会的な生き物である以上、その生涯における「仕事」の重要性は変わることがないだろう。自分が価値のある存在であること、必要とされていること。こうした情報を自身に与えてくれる仕事には求心力がある。

リクルート社・ワークデザイン研修室編纂『モチベーション・リソース革命』より(P260)

圧倒的な商品力・技術力をもって他社にたいして優位を占めている企業はごくわずかである。むしろ、日常的な小さな配慮・努力・献身・工夫などの小さな差異・小さな信頼が無数につみかさなって、他社との業績の格差になり、優位を占めている企業が大半である。
ひとつだけとりあげれば取るに足らないとも思えるようなこの小さな差異の創造と持続をささえるものが、働く人のモチベーションなのである。

仕事を通じて自分を証明してはいけない(P274)

最大の敵は、常に自意識である。個性的であろうとするよりも、ただ無我夢中でやる方が、結果として個性的な仕事が生まれる。
仕事とは自分を誇示する手段ではなく、自分と他人に対するギフト(贈与)であり、それが結果としてお互いを満たす。
(中略)
その人が欲しているけれど誰にも明かさずにいる、あるいは本人自身もまだ気づいていない何かを、「これ?」といって差し出すことができたら、それは最高のギフトになる。