毎日「ゴキゲン♪」の法則

自分を成長させる読書日記。今の関心は習慣化、生産性、手帳・ノート術です。

理系だから書ける文章術の本☆☆☆

著者・和田秀樹さんは著名な精神科医で、勉強法やさまざまなジャンルの本をたくさん書かれている。前書きによると年間40〜50冊だそうなので、多作で有名な中谷彰宏さんと競えるレベルなのではないだろうか。

そんな和田さんだが、実はもともと文章を書くのが苦手だったそうだ。理系だったので文学作品もあまり読んでいない。いかにして、金になる=読んでもらえる文章を書けるようになったか?その秘密がこの本を読めばわかる。


詳しいことは書かれていないが、以前雑誌記者をされていたことがあるそうで、その時に徹底的に文章を鍛えられたのだそうだ。確かに、和田さんの文章はとてもわかりやすく、お医者様であることをしばしば忘れるくらいだ*1
「もともと文章を書くのが苦手」だった人の文章術の本はあまり見かけないが、実はどこがむずかしいか、どこでつまづくのかを体験した人の方が教えるのが上手い。人気作家の文章術の本だとハードルが高すぎたり、万人向きじゃなかったりすることもあるが、この本はその意味でとても親しみやすく、実用的だと思う。

「金になる」というショッキングなタイトルがついているが、著者の言う意味は、

金になる文章=いい文章=読んでもらえる文章=わかりやすい文章

ということだ。なので、ガツガツした話ではなく、気軽に文章が書いてみたくなる内容になっている。


具体的な「いい文章」=「わかりやすい文章」を書く方法もいろいろ紹介されていて、いくつか取り入れるだけでも格段に洗練された文章になりそうだ。「センテンスを短く」「ひとつの文章にひとつの意味」「言葉を繰り返さない」などの基本的なところも勉強になるが、「いかに具体的に書くか」という点が私には役に立ちそうだ。「文章は読んでもらうためにある」と常に意識することで文章力は磨けるような気がする。


また、面白いと思ったのが「古典よりも好きな作家の作品を読み込む」を勧めていたことだ。これも従来の文章術の本にはあまりない視点だと思う。
和田さん自身ができていないことは人に勧められない、と書かれていたが、気に入った作家の作品をじっくり読むだけでもリズムなどが勉強になり、身につくそうだ。確かに、文章を書くのがうまい人はほぼ読書家で、ひいきの作家もいる。
こんな風に、手近なところから始められるヒントがたくさんあるので、特に初心者にはお勧めだ。


結論は、「みんなに読んでもらえる文章を書けば、お金は結果的についてくる」だった。読む価値のある文章を書くことがまず第一歩。


以下は私のメモなので、興味のある方はどうぞ。

まず「好きな作家」を徹底的に読み続ける(P38)

「いい文章」を書く人は、テーマや分野はさまざまですが、やはり好きな作家がいて、何度も読み返した愛読書があります。その作品のリズムや、ことば遣いや、独特の言い回しがしっかり記憶に残っています。
「好きな作家」の文章は読んで気持ちのいい文章ですから、自分が書く時にもその気持ちのよさを無意識に求めるようになります。
それによって書くことが楽しくなります。

「これ面白いな」と思う本を、ていねいに読み込む(P38)

「これ面白いな」と思う1冊に出会えたら、繰り返し読んでみることです。
(中略)
私はこの、ていねいに読むことこそ「いい文章」を書くための大切な心がけだと思っています。「好きな文章」を、「なぜ自分はこの文章に引かれるのか」と考えながら読むことで、「いい文章」のコツがつかめてくるはずです。

「誰が、どうした」「何が、どうした」をまず押さえる(P60)

文章の基本として誰でも知っていることに「5W1H」があります。
(中略)
けれども、「5W1H」は自分の文章をチェックする時に利用した方がいいでしょう。報告書のような客観性を要求される文書で、何かあいまいな点はないか、抜けている説明はないかといったようなチェックに「5W1H」が役立ちます。
それに対して、「何が、どうした」「誰が、どうした」をまず押さえるやり方は、自分のリズムで自由に書く時に効果的な方法になってきます。「いつ」とか「どこで」といった説明は、そのあとで書いてもいいからです。

短い文章の効用(P62)

短い文章のいいところは、
「必要なことだけを伝えよう」
とすることです。
(中略)
短い文章を心がけると、必然的に不要な言葉や説明が省かれます。残るのは本当に伝えたいことだけになります。

同じことばの繰り返しを減らそうとするだけで、文章の硬さがほぐれていく(P78)

小説やエッセイを書く人が自分の文章で一番注意するのは(P80)

「しかし」や「けれども」で始まる一文は書かないということです。

文章に大事なのはコンテンツ(内容)(P145)

何が書かれているかが一番大事で、どんな書き方をしているかは二の次だと思います。
(中略)
具体的な事実をどれだけ書き込むことができるか、そこが一番大事になってくるのです。

自分の文章はもっと具体的に書けないだろうかという気持ちで、もう一度、読み直す(P151)

*1:理系の先生方の書く本は、難解で読むのが辛いこともよくあります…