著者はホスピスなどを経て、現在はガン・非ガン患者を問わず終末期医療に当たっている医師だ。執筆活動も行い*1、仕事を通じて感じたことを発表しているそうだ。
この本は、タイトルを読めばわかるとおり、人生の最期が近づいた時に人は何をやり残したと感じるのか、何をやれば後悔なく逝けるのかについてまとめられている。著者の狙いは、本来はその時になってみないとわからないことをあらかじめ知り、元気なうちからやっておけば後悔のない人生を送れるのでは、という試みだ。
たとえば死期が近づけば行きたくても旅行に行く体力がなかったり、食べたいものも味がわからなくなって食べられなくなったり、やりたくてもできないこともいろいろあるのだという。
ただ、読みものとしてはもうひとつまとまりがないというか、もっと胸を打つような本にできたのでは、と感じた。小説家じゃないから限界があるのかもしれないが、ちょっと残念。
その意味では、以前紹介した『涙のシャンプー』の方が完成度が高かった。こちらの本は美容師さんの感動エピソード集なので、人を送る話がテーマではないのだが、実はタイトルにもなっている最初のエピソード「涙のシャンプー」をはじめ、いくつかが亡くなった人との関わりを書いたものだった。
そういう話をこの本に期待するとちょっとがっかりするかもしれない。
元気なうちはイメージしにくいが、いつか必ずやってくる“死”。今のうちに知っておけば、いざという時に多少は落ち着いていられそうだ。
私も、自分の葬儀をどうするか考えようとか、遺言*2を書いてみようかな、と思った。
自分の死の備えだけでなく、見送る立場としても知っておくといいと思う。興味のある方は図書館でどうぞ。
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読書日記:『涙のシャンプー』