毎日「ゴキゲン♪」の法則

自分を成長させる読書日記。今の関心は習慣化、生産性、手帳・ノート術です。

“アタマのメモリを浪費しない”で生産性を上げる☆☆

またまた京大の鎌田先生の本。少し前に読んだ『知的生産な生き方』だったか、どれかにこの本のことが載っていた。最初のベストセラーだったのに、私は読んだことがなかったのでさっそく読んでみた*1


この本を読んで初めて「知的消費」という概念を知った。知的活動と思っていても実は消費、ということが意外に多そうだ。今やっている作業が「知的生産」か「知的消費」か考えるだけでも違ってくるという。


この本を貫く考え方は、たぶん以下の言葉に要約されている。

ラクをするということが、知的生産にとって第一のプライオリティとなる。理系のキーワードは、ここでも“ラクに”“迅速に”なのだ。(P124)

情報をラクに取り出したあとは、頭をもっとクリエイティブなことに使おう。この先には豊かな文系の世界が待っている。だから前座となるような仕事でエネルギーと時間を使わない。もっと本質的な活動に、貴重なアタマを節約しておくのである。(P125)

ラクに、迅速に、負担をかけない方法。しかも、時間的なことだけではなく、アタマを無駄に使わないことがかなり強調されている。パソコンのメモリのように、負荷をかけず常に余裕を持たせることが大切なのかもしれない。こんな風に考えたことがなかったので新鮮だった。


タイトルに「理系」とあるとおり、この本では“理系的”“文系的”という分け方がくり返し出てくる。これが理系的な方法、と言われてもピンと来ないところもあるが、無駄を嫌い、ラクして生産性を上げる、というのはぜひ取り入れたいところ。

具体的にこれは無駄ですよ、と書いてあるところがよかった。たとえば、

  • 資料は足りないところだけ探せばよい
  • きれいにアウトプットするのにエネルギーを使い過ぎ
  • 要らないところを読んでもしょうがない
  • 完璧主義は無駄!

などなど。


また、印象に残ったのは引用の多さ。引用の効用についても説明されているし、文章を効率よく書くための引用の取り入れ方なども具体的に紹介されている。これはブログを書く時にすぐ使えそうだ。
たくさんの本が引用されているので、すごい読書量なんだろう、と思ったが、本は全部読まなくてよい、とキッパリ書いてあって少し気が楽になった。


うしろ3章はアウトプット=論文やレポートなど、文章を書くことに特化されている。そこにあまり必要性がない人にはすこし退屈かもしれない。
3章ずつ、3つのパートに分かれているので、自分に必要なところだけ拾い読みするだけでも、充分役に立つ本だと思う。

自分のやっている方法を見直したい、上手く行っていないのでヒントが欲しい、という人には特におすすめです。


以下は私のメモなので、興味のある方はどうぞ。

“知的生産”か“知的消費”か(P20)

どのような行動をしている時にも、現在していることは“知的生産”なのか“知的消費”なのかと二者択一で自分に問う。

完璧主義を捨てる(P23)

実は、完璧主義とは自己満足の世界なのだ。もっとよくしよう、と思って必要以上のデータを集めたり思索したりすることにより、自分は満足し安心する。
しかし同時に、来たるべきアウトプットからは、だんだん遠ざかってゆくのである。いったん完璧主義に陥ると、それに気づかなくなってしまう。
そこで、知的生産のもっとも早道である“不完全”であることを許し、切り捨てられた内容は思い切って“断念”するのだ。ここが知的消費と知的生産を分ける最大のポイントなのである。

先に枠組みをイメージしてしまう(P24)

アウトプットのテーマを見定めて、書く前に全体の構造を決めてしまうのだ。その後、今欠けている情報だけ優先的に拾い集めて内容を練り上げる。
データをせっせと集積しても、アウトプットにつながらなければ意味がない。すべての情報を集めてから書き出すという方法では、使わない無駄が多く生み出されてしまう。あらゆる準備を手にしてからアウトプットに取りかかろうとするのは、たぶんに文系的だろう。

いったん開始したら、区切りのよいところまで一気に進めてしまう(P40)

ある節を書き始めたら、その説が終わるまで書き上げてしまう。どんなに不十分でも、節の最後まで書くのだ。あるテーマでアタマが動き出したら、その内容をパソコン上に文章として定着させてしまうまで、作業を中断しない。
おしまいまでとにかく走りきる、というのが理系的な作業管理の要諦なのである。

システムづくりで重要な概念は(P59)

“要素に分解すること”と“実験してみる”という2点なのだ。
細かく問題点を分解し、いろいろな試行錯誤をしながら実験してみることで、システムを作ることができるのだ。「要素分解+実験」という方法さえ身につければ、理系的な動きが可能となる。そうしてできあがったシステムに任せてしまえば、コトはいつも簡単に動き出す。

数字や人名、年号、単語なども可能な限り書きとめておく(P79)

アウトプットにそのまま使えるようなキーワードやキーフレーズは、できるだけ生で書き取る。というのは、あとで年代や正確な名前を調べるのは、意外と手間と時間のかかる仕事になってしまうからだ。

ネット検索の結果を保存する(P97)

検索した結果は、画面ごとに保存しておく。この際、あとで調べやすいように、表題をファイルにつけておく。またこれとは別に、ワープロソフトを立ち上げて、重要な文章などをコピーペーストしておくとよい。ここでは必ず、引用したサイトのアドレスも打ち込んでおこう。

余計なことには心を配らない(P104)

何が今必要な問題であって、それ以外は関係ないことなのだ、と当該の問題をはっきりと認識することが大事となる。言い換えれば、当面の問題ではないことは切り捨てて、今必要なことだけを満たすのである。
(中略)
余計なことまで解決しようとすると、エネルギーがいくらあっても足りなくなる。もっとも重要な問題は何かを突き詰めて、それに関してだけ成果を上げるようにするのだ。
問題の分離ができるようになると、抱えている仕事は思っているよりも軽いことにしばしば気づく。何でも抱え込まなければならないと思っていたその気持ちこそが、実は最大の課題だったのだ。

整理のシステムを持つ(P112)

(フィールドワークで採取した岩石の整理法について)
ものを集めるような仕事では、最初のプロセスに対して効率的なシステムを持っているかどうかで、あとの作業に雲泥の差が生じてくる。
(中略)
トレイにも、ひとまず番号順に入れておく。つまり、何らかの種分けをしてからしまうのではなく、そのままの順番で入れるのである。採取した時系列でとりあえず並べておくのが、時間短縮のコツだ。
(中略)
岩石でもトレイでも、同じような種類のモノにはとにかく番号を打っておく。これこそ、データ整理に際して理系人が最初に行う仕事なのである。
理系的な方法論では、何でも記号化することに重点を置く。個別の属性を無視して、番号や記号に一般化するのだ。

記号化する最大の利点は(P117)

まず文字数が減ること。これによって、アタマの使用メモリーを減らすことができる。その結果、空いた頭脳の領域で次の仕事に集中することができる。
理系のアタマの使い方は、多くの事実を覚えないでおくことに特徴がある。そのようなシステムをすぐに作ろうとするのが理系人だ。

必要最低限の管理でよい(P130)

重要なことは、きちんとした完璧な整理を行うことではない。あとで行うアウトプットのために必要最低限の管理に絞ろう、というのだ。どこまで管理の手抜きができるか、ラクができるかと言い換えてもいいだろう。

パソコンにどんどん打ち込む(P136)

この時には、誤字脱字やアヤシイ言葉の使い方などは一切気にしないで、最後まで書き込んでしまおう。せっかくアタマが働き出したのだ。わざわざとめたくない。
原稿を書いているさなかには、かつて読んだ本の一節やエピソードが、ふと頭をよぎることもある。関連する内容が、芋づる式に思い出されてくるからだ。
ここでも、なるべくスピードを落とさないように、パソコンにその思いつきを残しておく。調べるのは、あとでゆっくりと本を取り出してすればよい。
言葉は悪いが、引用文などでただ字を埋めるような作業は、アタマが働かなくなってからでも充分にできる。意識的にクリエイティブ(創造的)な作業と事務的な作業を、きっちり分けることが肝要である。

解けない問題はさっさとやめてしまう=「棚上げ法」(P147)

「棚上げ法」とは、今わからないこと、うまくゆかないことは無理に進めようとはせずに、とりあえず先に進む方法だ。
(中略)
考え込んで頭のリズムをとめてはいけない。壁にぶつかった問題の解決に力を注ごうとはせずに、いったんストップし、もう少し先を眺めてみるのだ。
(中略)
解ける問題だけでも、仕事は無限にある。どれが解ける問題で、どれはいったんやめた方がよいかの判断が重要なのだ。

「体は頭よりも常に賢い」――無理は禁物(P156)

一番大事なことは、無理をしないこと。実はこれが、アタマをクリエイティブに保つための必須条件なのだ。
(中略)
「体は頭よりも常に賢い」――このキーフレーズはクリエイティブな生産をしようとする時の黄金律である。高度な頭脳労働は、体のしなやかな動きと密接に関連しているからだ。
体調を整えることは、どのような場合にも知的生産の要になる。

自分のペースを崩さない(P158)

重要なのは、他人と比べないこと。自分の体をよく観察しながら知的生産を行うのであって、他人はまったく関係ない。第三者の仕事と自分の仕事を比較しても何にもならないではないか。
言い換えれば自分のペースを崩さないのが、もっとも効率の上がる基本行動なのだ。自分の感覚にできるだけ忠実になりながら、クリエイティブな行動パターンを磨いてゆくのである。

会議のルール(P163)

ある人のアイデアを否定したい時には、必ず代替案を出す。代わりを出せない時には、反対意見を述べてはいけない。これを縛りにするのだ。

会議で決定したことは必ず実行する(P164)

いったん決定したことは、実行してダメだとわかるまでは変えない。これを原則とするのである。決めたことを何回もひっくり返して堂々めぐりに陥ることを防ぐのだ。これは、今までにない奇抜な発想を、安易につぶさないためでもある。

イデアはとにかく実行してみる(P164)

失敗してもそれなりに学ぶことができるし、失敗から新しい知恵が生まれる。

まずはコピーペーストからはじめる(P168)

世の中の仕事の8割は、すでに存在する良質な内容を組み直して、新しいレポートを作成することで通用する。たいていの新知見は、先人の蓄積の上に成り立っている。
自分がまったく新たに考え出したことなど、ごくわずかしかないはずなのだ。純粋にオリジナルな仕事は、まずほとんどないと思っていい。
(中略)
世間が要求する大多数の仕事は、オリジナリティを発揮する必要のないモノだ。これは逆説的なようだが、重要な考え方である。多くの人はオリジナルな仕事をしなければならない、という強迫観念にとりつかれている。この亡霊からまず逃れることが大切なのだ。

三國清三さん(フランス料理シェフ)のことば(P169)

 絵でも音楽でも同じだと思うが、オリジナルというものはそう簡単にできるものではない。まず真似をして技術を徹底的に磨くことだ。ピカソセザンヌの絵を完璧に模写できるまで訓練すれば、技術というものは必然的に備わってくる。(中略)
 完璧に模写ができるようになって、そこから初めて自分のアレンジを加えていけばいい。本当の天才は別として、僕ら凡人はそこからやっとオリジナルな表現に踏み込むことができる。  三國清三『料理の哲学』青春出版社P72

時間・脳内メモリーを浪費しない(P175)

情報収集のさなかでは、当面の目的以外の内容を読んだり、横光にそれるようなことは、極力避けたい。木邸推敲に最大の注意を払うのだ。新聞雑誌も同様である。自分のテーマに必要な箇所だけ飛ばし読みをしながら、チェックを入れてゆく。今何を収集すべきかを常に意識することは、大変重要である。
(中略)
時間よりもむしろ思考のメモリー(=脳内メモリー)を食ってしまう方が、当面の仕事には害毒となるのだ。
たとえば、新聞なら見出しだけ先に目を通す。スポーツ記事や連載マンガを読み始めてはいけない。雑誌では目次を一読して、開く箇所を最初に決める。
中身まで読んでいいのは、目的に合致した項目だけである。その他の目に入ってきた情報は、自動的に別ルートに流れていくように頭のシステムを作っておくのだ。
(中略)
何ごとも現在の目的からはずれたことは決して深追いしない――これが最大のポイントである。余計なことに時間とエネルギーを費やさない要に行動を律するのが、ここでの鉄則なのだ。

情報の取捨選択には完璧主義が最大の敵(P178)

理系のテクニック、3つの特徴(P205)

1.全体が一望のもとに概観できる
2.仕事がラクに運ぶ
3.早く仕上がる

初心者の読み手を意識して書き直すポイント(P221)

1.専門用語を日常用語に置き換える
2.漢語をやまとことばに換える
3.誰もが理解できるような比喩やたとえ話を用いて説明する
4.主張したいメッセージにエピソードをつけ加えて、理解を容易にする

引用文の正確な入力は最後にまとめて(P221)

途中で引用文にこだわると、アタマの働きがストップするからである。
場合によっては、本文を書いているさなかに「○○の著書××ページから引用」とメモを書き込んでおくだけでもよい。そして、本の該当ページには付せんをはさんでおく。あとでまとめて引用文を入力するのだ。

タイトルと小見出しを先に考える(P223)

早めにタイトルを決めてから本文を整えてゆくのだ。タイトルは全体の方向付けを与えるものだからである。
タイトルでは、そもそも何について書こうとしているのか、ひと言だけで述べる。とにかく何でもよいから思いつくタイトルを決め、それを何度も再考し書き直すことが重要である。