毎日「ゴキゲン♪」の法則

自分を成長させる読書日記。今の関心は習慣化、生産性、手帳・ノート術です。

オーソドックスな経営の強み☆☆☆

※姉妹編もあります星野リゾートの事件簿
星野リゾート」の社長・星野佳路さんは軽井沢・星野温泉旅館の4代目。会社は地方の旅館から今では旅館・ホテルの運営会社に変貌を遂げ、星野さんは経営が行き詰まった施設を任されて再建のため全国を飛び回っている。以前DVD版『プロフェッショナル仕事の流儀』で見て、興味を持っていたので読んでみた。


この本は星野さん自身が書いたのではなく、雑誌『日経トップリーダー』の連載記事をまとめたものだ*1。非常に緻密な取材をもとに書かれているので、とても重みがある。DVDで見た時にピンと来なかった話題も、この本を読んで初めて理解できたところがあった。

星野さんは旅館の跡継ぎとなるべく、アメリカで経営学の勉強をしていた時期がある。この時に実際に教科書だったものをはじめ、古典的な本を“教科書”としてきたそうだ。何か問題に直面した時に、本を探し、読み込み、その通りに実践するのだ。
教科書となる本は、研究者でも企業のコンサルタントも兼ねており、綿密な調査をして企業の実態をよく知る人の書いたものが多いという。


悩みごとに教科書を1冊読んで実践する、ということを繰り返すうち、北海道から沖縄*2までたくさんのホテル・旅館を運営する企業になった。その、それぞれの実例をふんだんに紹介してあるので即役に立つ。もちろん、どの本を教科書にしたのかもくわしく紹介されている。

どんな業種のどんな仕事であれ、役に立つことはたくさんあると思う。個人的には組織的な話は必要ないが、顧客サービスの考え方やブランド構築の方法などは素晴らしいヒントになった。


“教科書”で読んでみたいものがまた増えた。おそらく、そう簡単には読めそうもない難読本だが、せっかくなのでトライしてみたい。
働くすべての人にお勧めです。もし仮に、「人に使われる」立場だったとしても、充実した働き方のヒントもきっと得られます。


以下は私のメモなので、興味のある方はどうぞ。

ブランド価値は貯金に似ている(P141)

星野社長は「ブランドの価値は貯金に似ている。取り崩していたら、いつか失われる。将来を見て、積み上げていくことが大事だ」と語る。

すべてのお客様を満足させなくてよい(P180)

『1分間顧客サービス』の著者、ケン・ブランチャードの理論がユニークなのは、お客様の要求が自分たちの目指している製品・サービスと合致しない場合、「要求を無視するべきだ」と断言している点である。
旅館・ホテルはすべてのお客様を満足させようとするあまり、サービスを増やしすぎることが少なくない。これはコスト増を招き、経営を圧迫する。

内村鑑三の『成功の秘訣』

※大正15年7月28日、星野社長の祖父のために書かれたもの
1.自己に頼るべし、他人に頼るべからず。
1.本を固うすべし、然らば事業は自づから発展すべし。
1.急ぐべからず、自働車の如きも成るべく徐行すべし。
1.成功本位の米国主義に倣うべからず。誠実本位の日本主義に則るべし。
1.濫費は罪悪なりと知るべし。
1.能く天の命に聴いて行ふべし。自ら己が運命を作らんと欲すべからず。
1.雇人は兄弟と思ふべし。客人は家族として扱ふべし。
1.誠実に由りて得たる信用は最大の財産なりと知るべし。
1.清潔、整頓、堅実を主とすべし。
1.人もし自然世界を得るとも其霊魂を失はば何の益あらんや。人生の目的は金銭を得るに非ず。品性を完成するにあり。
以上

*1:第1部のみ、星野さんが語った言葉がまとめられています。“私”とは星野さんのこと

*2:沖縄にあるのは、出版された時点では総合予約センターのみ