情報の「目利き」になる!―メディア・リテラシーを高めるQ&A (ちくま新書)
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「メディア・リテラシー」を高めるにはどうすればいいのか、興味を持って読んでみた。
サブタイトルにもあるとおりQ&A形式だ。メディア・リテラシーを身につける方法を教えてくれるのか、と思って読み始めると拍子抜けする。読者からの質問に、著者がウェブサイト上で答えたものが叩き台になっているので*1質問内容もバラバラ。
ところが、読み進むうちに情報を取捨選択するポイントのようなものが何となくわかってくるのだ。まさに日垣ワールド。
著者による「メディア・リテラシー」の定義は“はじめに”に出てくる。
偏った情報に接したとき、それが偏った情報であることを見抜けるようになる。
騙されない。少なくとも、それが修復不可能な騙され方をしない。
できるだけ自分を、あるいは自分たちを客観的に見ることができるようになる。
読書や調査が効率的になる。(P10)
最終目標はこの「定義」だとして、ごく初歩的なこと(本を読むスピードを上げる方法や集中力の高め方)から、上級・応用編(著者の情報収集の方法や、著者がなぜ旅に出るかという理由)まで扱っている事柄はさまざまだ。
著者の取材のやり方などは実際の著書*2が例に取り上げられているので非常にわかりやすかったし、意外なところでは「速読法」の説明がちゃんとしていて驚いた*3。
ただ、原稿料や講演・対談などの料金を公表することが、一般の人の興味以外に必要なのかはわからないし、自慢話に聞こえるところもある。私は著者の“毒のある”文章が好きだし、自慢(に見える)も特徴だと思っているので面白く読んだが、やはり好き嫌いは分かれるかもしれない。
個人的には、バックボーンがいろいろわかったことも興味深かったし、ものの見方、取材方法などがとても信頼できたのでこれからも安心して日垣さんの本が読めると思った。
最後に出てくる「仮説を検証する」力をつけることが、メディア・リテラシーのひとつの最終ゴールだろう。