毎日「ゴキゲン♪」の法則

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情報を“スルー”される時代に受け取ってもらうには☆☆☆

この本もビジネスブックマラソンで紹介されていたもの。もちろん広告に関する本なのだが、「個人が人に関心を持ってもらうために役に立つ」と土井さんが書かれていたので読んでみた。
ビジネスブックマラソンの紹介記事はこちら


広告の世界では、従来の「マスメディア」の手法を使っても成果が上がらなくなっているそうだ。その理由は、やはりインターネットや携帯での情報過多と双方向性だ。大衆に向けて大規模にキャンペーンを打てば反応がある、というのは昔のやり方らしい。

この本の著者グループによれば現代は「消費者」が「生活者」になり、生活者自らが発信できる「生活者主導社会」になっているそうだ。さらに、情報があまりにも増えすぎたために、個人はそれぞれ自分の興味のあるものしか受け取らない、関係ないものは「スルーする」という技術を身につけたという。今の世の中はこの「タグ」と「スルー」が鍵のようだ。このあたりの話は、美崎栄一郎さんの『成果を生む人が実行している朝9時前のルール』や山本高史さんの『伝える本。』の分析とよく似ていて、とても興味深かった。

そんな、スルーすることが当たり前の時代の鍵は何か?というひとつの答が「自分ごと」だ。それが自分に関係のあるもの、興味があるものなら人は反応し、喜んで自ら伝える側になる。では、どうやって「自分ごと」だと感じてくれる人に伝えるのか?思わず関わりたくなる人の心理の解説や、企業の実例なども紹介されていてとても読みごたえがあった。


マーケティングとしてはまだまだ仮説検証段階なのかもしれないが、受け取る側をひとくくりにして考えるのではなく、ひとりひとりを大切にして届けようという気持ちは心に響く。
人は誰だって自分のことが大事だ。だから自分のことを大切にしてくれる方を選ぶ。そんな当たり前のことを考えよう、という手法だと思う。広告に限らず、不特定多数の人を対象とするビジネスには広く役に立つはず。ぜひ読んでみてください。

関連記事
読書日記:『成果を生む人が実行している朝9時前のルール』
読書日記:『伝える本。』


以下は私のメモなので、興味のある方はどうぞ。

「届く」と「受け取る」はまったく次元の違うこと(P97)

広告は意外にロジカル(P119)

広告が果たす役割は、「カタログスペックだけでは言い表せない意味」をシンプルかつロジカルに抽出することです。つまり「この商品・サービスが生活者にとってどのような魅力的意味を持つのか」を説明すること。商品・サービスと生活者の間に築かれる新しい「関係」をきちんと定義してみることになります。
この「関係の定義」が的を射ており、かつ正しく表現されていれば、生活者から「それ欲しい!」の反応が返ってきます。
(中略)
スペックという数値に隠された言外の意味を、生活者との関係をどうやって発見するかに広告の成功・不成功がかかっています。

「自分ごと」と「他人ごと」の差(P127)

自分感動した体験を誰かに伝えたいという欲求は、私たちの本能的な性質です。
体験したことに感動したり、好意を持つことは素直に「自分ごと」になったということ。シェアする方法が格段に広がった生活者主導社会の中で、「感動」「好意」のレベルにまで達する経験をしたならば、生活者は積極的にその経験を発信するようになっていくのです。

「突っ込みどころ満載で目立つ」(P137)

ことこそが、今の時代に有効なコミュニケーションの第一歩なのです。
情報溢れる世の中では、「ちゃんとした候補者のちゃんとした情報」はスルーされがち。生活者は普通の、言い換えればどこか既視感のある情報に目をやる暇を持ち合わせていないのです。少々厳しめの言い方をすれば、普通の情報は価値が低いのです。

突っ込まれる=相手の発言を引き出しやすい(P137)

キッカケこそが非常に大切。少々乱暴ですけど、伝えたいことをきれいにまとめよう、なんて考えてはいけません。完全ではない、突っ込みどころが目立つ情報の方がいいのです。どうしてか?突っ込まれる=相手の発言を引き出しやすい、からです。

凸凹をつくる(P163)

まず凸。生活者が興味や関心のきっかけを持てるような体験への「デッパリ」をつくることです。ここでは、企業からの押しつけ情報で他人ごとにならないように「自分ごと」になるテーマを反映させることが大切です。
凹とは、生活者が共振・共鳴・参加できるように、関与したくなる「クボミ」を用意して誘うこと。クボミの存在を生活者にゆだねて託し、誘い込んでいくのです。参照する、参加する、話題にする、口コミする、質問する、クリックする、入力する、保存する……そう、突っ込みを入れる。このような生活者主導の意識行動を、企業側が受け入れるクボミを周到に用意するということです。
(中略)
「凸と凹」なんていうと、凸のデッパリと凹のクボミが直接ドッキングするような印象を持たれるかもしれませんが、それはイメージ違い。凸のデッパリも凹のクボミも、相対するのは生活者。情報発信者が生活者主導の視点を持ち、凸の要素と凹の要素を目的共有しながら横で連携することが大切です。

間違った「お客様第一主義」(P205)

気をつけなければいけないのは、生活者にむやみに迎合してしまうこと。それは間違った「お客様第一主義」です。