奥野宣之さんが著書『知的生産ワークアウト』で紹介されていた、日本経済新聞のコラム「春秋」の書き写しを始めて1ヶ月が経った。当初はペースがつかめずに何日分もため込んだりしたが、最近ようやく続けられるコツがわかってきた。
毎日のように書いてみると、「春秋」は意外に経済の話ばかりではなかった。さらに、何というか非常にあたたかいコラムだと思う。きっと、書いている方の性格なのだろう*1。
実は、母はもう十何年も前から、同様に「新聞1面のコラムをノートに書き写す」日課を続けている*2。実家で取っているのは、偏っているとよく言われるA新聞。先日実家に帰った時に何日分か読ませてもらったのだが、たぶん内容が嫌で続かないだろうな、と思った。人によって感じ方は違うと思うが、私は春秋だから続いているのだ、と感じた。
さらに、「春秋」の方が少し短い。時間にして数分の違いだと思うが、毎日のことなのでこの差は大きい。
文章力については、漢字とかなの使い分けが自分と違う点や、こういう表現は使わないな、というものも書き写すので新鮮だし、幅が広がるような気がする。1ヶ月で感じるのはまだその程度。
字はまだまだだが、始めた頃に比べればだいぶん安定してきたし、力が入るようになってきた。また、書き順の本をノートと一緒に置いておき、あやしいと思った字を調べるようにしたら勉強にもなって一石二鳥だ。
気になるボケ防止効果はもう少し続けてみないとわからないが、自分では“記憶力が落ちた”とか“今後が不安”と思うことはずいぶん減った気がする。
その他、意外な効用としては、世の中の出来事に詳しくなった。現在、私は新聞を定期購読していないし、ニュースもあまり見ないようにしている*3ので、たまに「何それ?」という“蚊帳の外”状態になることがある。それが春秋を書き写すことで、少し遅れはするがまとまった内容が読めたり、ニュースだけでは触れられない情報も得られるようになった。“世の中に遅れない”は、私の中では優先順位がかなり下だが、ほどよくその辺をカバーしてくれるありがたい存在だ。
続けるコツは、書く時間帯を決めることと、自分のペースをつかむことだと思う。
私が毎日書いているのは前日のコラム。試行錯誤の上、このペースが一番やりやすいことがわかった。
というのは、ネットから印刷しているからだ。ホームページ上の春秋の記事は毎日7時に更新される。これをパソコンで表示・印刷する、という作業は朝はできないので、どうしても書けるのが夜になる。夜はやることがたくさんあるのでなかなか春秋まで手が回らない。その結果どんどんたまってしまったのだが、その日パソコンを立ち上げたついでに印刷しておき、翌朝に書くようにしたら習慣化できた。
朝は自分の都合だけで動けないので、スケジュールの確認など腰を落ち着けてやりたい作業ができない。春秋の書き写しなら単純作業なのであまり頭も使わないし、やってみるとピッタリはまったのだ。「忙しい朝に!」と自分でも驚いたが、先入観なしにいろいろ試したのがよかったのだろう。
一気に書こう、と思わないのもコツかもしれない。書ければ全部書くが、途中で止まってもいいや、と思うと始めやすいし、気分転換に続きを書いたりできるので、ずいぶんハードルが低くなった。
これは私にとっていい方法なので、人によってベストのやり方は違うと思う。いろいろ試行錯誤してしっくり来る方法を見つければ、長続きするはず。二の足を踏んでいる方も、ぜひ気軽に試してみてください。
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