毎日「ゴキゲン♪」の法則

自分を成長させる読書日記。今の関心は習慣化、生産性、手帳・ノート術です。

“モンスター”な人々とどうつき合うか☆☆☆

人間関係のレッスン (講談社現代新書)
向後 善之
講談社(現代新書)(2010/8/19)
¥756
著者はカウンセラーで、日々カウンセリングをする中で感じた、人間関係をうまくやっていく方法をタイプ別にまとめた本。こういう本にありがちな「ほとんど理論だけ」とは違い、非常に実践的な本だ。


特徴的なパターンとして4つのタイプが挙げられている。

  • いい人を演じてしまう人(批判を怖れるビクビク感)
  • 決められない人(自分の判断に自信がないドウシヨウ感)
  • がんばりすぎる人(完全を求めるネバナラナイ感)
  • 隠れる人(自分の感情は受け入れられないアキラメ感)

残念ながら自分がどのタイプに当てはまるのか判断するテストなどはないが、読めばどれに該当するかはだいたい見当がつく。このそれぞれのタイプが人からどう思われどういう攻撃をされやすいか、どのように対処すればいいのかが詳しく説明されている。
4つのタイプのどれかにぴったりはまる人には、困った時には本当に助けになると思う。


こんな風に具体的な方法をきっちり提示できるのだから、どんなすごい先生なんだろう、と思ったら、著者・向後善之さんの経歴は少し変わっていた。
40歳までは普通のサラリーマンをされていたのだそうだ。40歳でアメリカに渡り、カウンセリングの勉強をしたという。著者自身はもともと「いい人を演じてしまう人」だったそうで、きっといろいろとご苦労があったのだと思う。

そういう経歴があるからか、学者やいわゆる権威の書いた本とは違い、即役に立つことがたくさん書いてある。中でも、いわゆる「モンスター」と呼ばれる人たちや各種ハラスメントに対応する方法は、他ではなかなか読めない貴重なものだと思う。相手の行動背景にある心理がわかれば(または想像できれば)、こちらの反応も変わってくる。

他にも、自分でできるケアの方法などが紹介されていて1冊にこんなに詰め込んでいいのか、と思った。売れている人ならおそらく3〜4冊書くくらいの内容が詰まっている。

いろいろないじめやハラスメント、ハードクレーマーなどで辛い状況にいる人にはぜひ読んでほしい。また、専門的な内容にも踏み込んでいるので、カウンセリングに興味がある人にも読みごたえがあると思う。


以下は私のメモなので、興味のある方はどうぞ。

モラルハラスメントへの対処法(P129)

1.反省するのは、最初の5分まで
2.ゆっくりと呼吸する
3.自分の感情を見つめる
4.ハラサーを観察する
5.自分に最も利益になる行動を取る

自分の中に矛盾のない状態が「自己一致」(P203)

このように、自分の感覚・感情・考え・行動に何も矛盾のない状態を「自己一致」という。空気に流されず、自分の意志を尊重して考え行動できる人を「自己一致している」という。自己一致した人間関係を持てた時、その人は、自分の行きすぎた人間関係のパターンから抜け出している。
(中略)
積極的に自己一致するためには、まず、自分をありのままに見つめることだ。
…まず、呼吸を整え、身体感覚に注意を向ける。そして、浮かんできた感情を、否定したり抑えつけたりせず、すべてOKを出し、静かに見つめる。
静かに見つめるためには、たとえば、怒りのような強い感情が浮かんできたら、その感情を「大きな火の玉のような」といった象徴的なイメージを浮かべることによって心の中で表現してみる。そうすると、怒りという感情を持ちながら、その感情を見つめるというふたつの視点ができあがる。こうなると、怒りが暴走することはない。充分に怒りを感じながら落ち着いていられるし、必要であれば、静かに怒りを表現することができる。

自分の嫌なところも見つめてみる(P207)

自己一致するということは、自分自身を受け入れるということと関連している。自分のよいところも悪いところも、ありのままに受け入れる自己受容が進むと、より自分をありのままに見ることができるようになっていく。
自己受容をするためには、自分自身の嫌なところを見つめてみることだ。たとえば、「嫉妬深い」という嫌な部分に目を向けてみるとしよう。それだけで自己嫌悪に襲われるかもしれない。しかし、嫉妬という感情の底には「悔しい」「うらやましい」「私の存在を認めてほしい」「私を愛してほしい」といった根源的な感情があるはずだ。それらは、自然な感情だ。
(中略)
それに、自分の中の嫌なところは、変化していく。たとえば、嫉妬という感情の背景に気づいていれば、嫉妬のあまり人の足を引っ張ろうとするような行動はしなくなるものだ。そんなことをしても、根源的な感情は癒されず、虚しさが残るだけだからだ。
このように自分を受け入れるということは、人としての幅を広げ、精神的な成長につながる。