元祖・自転車ツーキニスト疋田さんの本。このブログでもたびたび紹介している。
タイトルの「作法」に違和感を感じたが、このタイトルになったのはソフトバンク新書に“作法シリーズ”があったから、だけらしい。
これは疋田さんなりの作法なので、あとは自由に自分らしく変えてOKだそうだ。ただし、もちろん交通ルールはのぞく。
ぜひ、自転車に乗らない人に読んでほしい本だと思った。特に行政関係者。自転車に乗らない人が自転車行政を担当する限りよくならない、というのが疋田さんが常々主張していることなのだが、それは本当にそう思う。
ところが、逆の実例があったのだ。宇都宮市では自転車道を新たに整備していて、それが非常に実用的でよく考えられている。ある自転車雑誌が取材に行ったところ、担当者は疋田さんの本の読者で、もちろん自転車に乗る人だったそうだ。
また、駅前などに必要台数分の駐輪場は設置可能、というくだりに溜飲を下げた。なんと、日本一地代が高いはずの東京で、続々と地下駐輪場ができているという。東京23区内に限れば、駐輪場のキャパシティは走っている自転車の台数を上回るそうだ。
その費用は、疋田さんによれば、「放置自転車撤去」費用で充分まかなえるらしい。
疋田さんが繰り返し書いているように、自転車は歩行者の代わりではエコにならない。車から乗り換えて初めてエコになるのだ。
そのための環境整備や交通ルールの周知徹底を早くしてほしい。お金をかけなくてもできることだってたくさんある。
とまあ、交通ルールや現在自転車が置かれる環境に関する話になるととにかく力が入る人なのだが*1、自転車通勤のための基本的な乗り方、楽なフォーム、汗の問題など、さまざまな疑問がこれ1冊でほぼカバーできる。また、最終章は旅(もちろん輪行ですね)に関することをまとめてあるので、通勤の延長でもう少し遠くに出かけたい、という人にも使える。特に、雨対策は他で見たことがない新発想だった。
とはいえ、これから自転車通勤がしたい、という人*2にはややヘビーかも。何しろ、ほぼ半分が交通ルールと行政に対することを占める。疋田さんの本からそれをはずすというのは不可能なので、文章の面白さで読もうという方はどうぞ。