毎日「ゴキゲン♪」の法則

自分を成長させる読書日記。今の関心は習慣化、生産性、手帳・ノート術です。

「佐藤可士和」は二人羽織だった☆☆☆

刺激的なタイトルですみません。この本を読み終えた時の正直な感想がこれだった。
アマゾンのページには

佐藤悦子なしにはサムライはあり得なかった。

とあるが、それをもっと直截的に言えば、という感じだろうか。

この本のことは前にも書いたようにひすいこたろうさん/山下弘司さんの『人生が100倍楽しくなる 名前セラピー』で引用されていたので、読んでみた。ひとつの事実を可士和さんの視点*1と奥様・悦子さんの視点の両方から見ることができて、とても面白かった。


奥様の悦子さんは可士和さんと同じく博報堂出身だが、可士和さんとは違い営業だったそうだ*2。後半は「雑誌局」という部署で雑誌とのタイアップ企画などを作り、結婚を機に転職しようとした時に、雑誌局で紹介されたのが化粧品のプレスの仕事。ここで学んだノウハウが、アート・ディレクター「佐藤可士和」を作っていくのだ。全部事実なのだが、まるでサクセスストーリーの小説を読んでいるようでワクワクした。そのくらい、悦子さんの戦略は緻密でよく練られたものだったのだろう。

そのブランディングの手法は、ひとりで仕事をしている人にとって学ぶところが多い。メディア露出をどの程度、どんなジャンルにするのか、取材する側の要求も満たしながらどうやって本当に伝えたいことも載せてもらうかなど、具体的で参考になる。


可士和さんはクリエイターなので、やはりひとりですべてをやっていくのはむずかしい面も多かったそうだ。悦子さんがSAMURAIにマネージャーとして正式に参加してから、さまざまな大きな仕事を取り、成長していった過程がよくわかるようにまとめられている。

悦子さんの視点は常に冷静でバランスがいいと思う。言うべきことははっきり言うようにしていて、クリエイターのエゴが出てきたら指摘するし、服装などもチェックしていてアドバイスすることもあるそうだ。夫婦でありながらこのプロ意識はやはりすごい。
事務所を3か所も引っ越したエピソードも可士和さんの本だけを読んでいたらカッコいいが、この本を読めば引っ越しを決めたのはマネージャーである悦子さんで、それも相当危機感があったというのは意外だった。


可士和さんひとりでやっていてもクウォリティの高い素晴らしい仕事をされていたと思うが、「佐藤可士和」という存在をここまでにしたのは悦子さんの力と言っても過言ではない。ブランディングの参考書としても、マネージメントの実例集としても読める。
本の装丁やつくりもていねいで、作品の写真も多数載っていてとても美しい本。悦子さんの美意識が反映しているのかもしれない。

佐藤可士和」に興味のある人はもちろん、働き方を模索している女性にも役に立ちそうだ。もちろん、こんな働き方ができるのは特に優秀なひとにぎりだろうが、考え方などはヒントになるはず。
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奥様はSAMURAI敏腕マネージャー



以下は私のメモなので、興味のある方はどうぞ。

“わかりやすさ”も大切(P15)

どの職種にもいえることだと思いますが、ひとつの世界に長くいると、どうしてもその業界内の人に評価されればそれでいい、世の中に迎合すると自分の仕事のクオリティやセンスが落ちる、と思いがちでしょう。でも、メジャーな世界を相手にしている場合は“わかりやすさ”というのは外せませんし、わかりやすいものは格好悪いというのであれば、“わかりやすくて格好いいもの”をつくればいいのだと私たちは考えています。それができた人の多くが、「世の中に新しい価値を提示した人」として認識されているのではないかと思います。

引き出しは多い方がいい(P143)

もちろん、「あ、あの人のデザインだ」とすぐにわかる強さや完成度、それを極めていくことも大切です。ですが、この人に頼んだらこういうものができるだろうと、簡単に想像がついてしまうのは、佐藤のあり方としてはちょっとつまらないと思うのです。今後さまざまなクライアントの要望に的確に対応するためにも、ひとつの方向性だけでなく、引き出しはなるべく多い方がいい。色や形や構成など、目に見える表現手法は決まったスタイルにこだわらない自由さを持ち、その背景にある本人のデザインフィロソフィーが揺るぎないものであればいいと思います。

センスには“広さ”が必要(P188)

センスは、ある程度の“広さ”がなければ、それを手にしているとはいえないと思います。知っている上でそこから選ぶのと、ひとつしか知らなくてそれが好きというのでは、まったく意味が違います。

「スピードもクオリティのうちだから」(P215)

*1:すでにいろいろな本で読んで知っているものですね

*2:一緒に仕事をしたことはなかったそうです