これも家族が借りてきた1冊。ブライアン・トレーシーの本は以前何冊か読んだことがあるが、いろんなセミナーで名前が挙がったり、本で参考文献としてよく見るので、実は「ブライアン・トレーシーの著作を全部読む」という目標をリストに書いているくらいだ。なのでいそいそと読んだ。この本も非常に読みごたえがあった。
この本には、著者自らが試してよかったものだけを厳選した法則が100も紹介されている。ジャンルもいろいろ、勤勉さや柔軟性からお金、時間、リーダーシップや交渉まで多岐にわたる。まさに、ブライアン・トレーシーの25年のキャリアの結晶だ。100全部をいっぺんにやらなくても、本を読むうちに自分にはできていないことや、弱いポイントに気がつくので、そこをいくつか選んで取り組むだけでも人生は大きく変わるだろう。まえがきには“時間と労力の90%が節約できる”とあるし、文中にも上位10%に入ろう、と書いてある。
中にはよく目にする「パレートの法則」や「パーキンソンの法則」、当たり前だと思うものもある。だが、知っていてもできているか確認するきっかけになるし、ジャンルごとにずらりと並んだ法則をまとめて読むと、本当に弱いところは耳が痛い。読書メモには書いていないが、それぞれの法則の最後にはどのように取り組むか、簡単なワークがついているので、思い立ったらすぐ取り組めるのも便利だ。
個人的には、特にセールスに関わるところが響いた。できていない点が多いからというのと、最近読んでいる本がセールスパーソンの著書が多いからだろう。他にも全体に、ビジネスに対する心構えや、結果を出し、評価してもらうには何が足りないのかがよくわかった。仕事のやり方を整理するのにもよさそうだ。
今いる環境を自分にとって心地よいものにするために、読んでみてください。出版社の言葉を借りれば、「会社を辞める前に」ぜひ。
ブライアン・トレーシーの著作で次に読む予定なのは、さらに深く掘り下げられるこの本。
『ゴール―最速で成果が上がる21ステップ』
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以下は私のメモなので、興味のある方はどうぞ。
決断の法則(P69)
「決断力のある人は、自らが下した決断を正しい方向へと導くことができる」
目標をうまく達成する人たちが、常に正しい決断を下しているわけではない。自分が下した決断を正しいものにできる人が目標を達成するのだ。彼らは周囲の意見に耳を傾け、自分の行動に誤りがあれば訂正する。
前提が誤っていないか疑ってみる(P72)
失敗の原因を調べると、何の疑問も抱かずに誤った前提を信じ込んでいる場合が多い。ものごとが期待通りに進まない時は、まず自分の考え方を疑ってみる必要がある。
そもそも自分はどんな前提をもとに行動してきたか?はっきりと意識しているのはどんな考えか?何の疑問も抱かず、無意識のうちに信じ込んできたのはどんな考えか?
もっとも頼りにしていた前提が間違っている場合もある。その時あなたは何をどのように変更すべきかを考えなくてはならない。正しいと信じていたことが間違いだと判明した時、自分はどのように行動を変えることができるか、考えておく必要がある。
柔軟性を持つ(P72)
自分の考えを疑い、現実に照らして検証する意志と、自分の間違いを受け入れる心構えがあれば、いずれ大きな目標を達成することができる。
今あるものはすべて、まもなく廃れる(P92)
リーダーシップとは「支持を獲得する力」(P113)
すぐれた才能を持ち、この人になら時間もお金もエネルギーも喜んで差し出したいと思えるリーダーでなければ、誰も自分の利益をふいにしてまでついていこうとは思わない。
つまり、リーダーシップとは周囲がリーダーに寄せる信頼である。信頼を獲得し、その信頼に値するリーダーとなるためには、自分自身に対しても正直でなければならない。自分自身に正直に生きなくてはならない。これができて初めて、私生活でも仕事でも、すべての人に誠実に接することができるのである。
リーダーシップには2種類ある(P114)
ビジネスの現場には、大きく分けて「執行型」と「変換型」の2種類のリーダーシップがあ。。執行型とは、部下を指揮し、物資や資金を管理し、自分が中心となって仕事を遂行することだ。
一方、変換型は、動機とやる気を与えて部下の力を引き出すことを第一に心がけ。。現在最も求められているのはこの変換型である。
変換型は、やる気や自信など部下の感情面に働きかけて、これまで以上の力を発揮させる。すぐれたリーダーは平凡な部下から並外れた力を引き出すことができる。
楽天家は、「問題指向型」ではなく「解決指向型」である(P126)
起こってしまった問題をあれこれと思い悩むのではなく、次のステップ、すなわち解決方法に気持ちを集中させる。起こってしまった問題や責任の所存ではなく、今自分にできることだけを考える。
どれほど大きな困難に直面した場合でも、あれこれ思い悩むのはやめて、解決方法だけを考えよう。そうすれば一瞬のうちに、否定的な態度から前向きな態度に気持ちを切り替えることができる。
成熟の法則(P134)
自分のことを好きで大切にしている人でなければ、感情的に成熟することはできない。自分自身を肯定的にとらえることのできる人だけが成熟する。この種の人は、非難や反論に振り回されることなく、耐え抜く力を持っている。感謝の言葉や見返りがすぐに期待できなくても、やるべきことはやり通す。
エルバート・ハーバードの考える「自己鍛錬」(P150)
「好むと好まざるとに関わらず、やるべきことをやるべき時に行う力」
セールスの条件(P173)
自分にふさわしい商品を選んで周到に準備し、その商品を必要とし、ほしがり、実際に使うことのできる相手に売る。
ニーズの法則(P179)
セールスパーソンの仕事は、すでに存在するニーズを掘り起こすことである。顧客が考えてもいないニーズを決して押しつけてはいけない。
(中略)
顧客が不満を感じている点をきちんと聞き出し、どのセールスパーソンよりもうまく問題の解決に努めよう。
また、表面上のニーズと商品の購入を決める本物のニーズは一致するとは限らないことも注意しなければならない。
消費者の本当のニーズを理解したと勝手に思い込まないこと。たとえ同じ商品でも購入の動機はいつも異なる。もし間違ったニーズに訴えたならば、どんなに魅力的な商品であっても購入してもらえない。
問題の法則(P181)
「差し迫ったニーズを抱えている相手ほど、価格にはこだわらない」
セールスの際にぜひ心がけたいのが、その商品を買ったあとの満足感や便利さを相手に思い描かせて、価格を忘れるくらいまで期待を膨らませることである。
優秀なセールスパーソンはみな、自分の売る商品を買えば、即座にどれほど役立つか説明できる。商品の価値を納得すれば、価格に対する抵抗がやわらぐものである。
除外された選択肢の原理(P183)
(=ある商品を選ぶことで、他のすべての商品が排除される)を頭に入れておこう。顧客に商品を購入してもらい、代金を支払うよう求めるという行為は、その瞬間にそのお金で手に入れることのできる他の一切の商品と、それを買ったあとの満足感をあきらめてもらうことを意味する。消費者にこれほどのことを求めていることを忘れてはならない。
安心の法則(P185)
消費者は何らかの安心を求めて商品を購入することが多い。この気持ちに訴えかけることで、価格や購入時期など、あらゆる問題点を克服することができるはずだ。
(中略)
確かな安全と安心が得られないと、人は心穏やかでいられない。そういう理由で消費者はどんな商品を買う時も確実でリスクの小さい手段を求める。
リスクの法則(P187)
消費者が購入に踏み切れない最大の理由は間違った選択をすることに対する不安である。…買い物の場合、過去の失敗が尾を引いて不安を抱くことが多い。
友情の法則(P194)
優秀なセールスパーソンは友達作りの名人でもある。初対面でも簡単に打ち解けることができる。愛想がよく、相手の話に興味を持って耳を傾ける。この姿勢が好感を抱かせ、取引へと発展する。
人は誰でも好感の持てる相手と取引したいものだ。商品やサービスは気に入っても、好感が持てない相手からは買いたくない。条件が全部同じなら、好感の度合いに応じてセールスが決まる。
トップクラスの成績を残す人は(P198)
コンサルタント、世話人、カウンセラーなどと思われている。
顧客にとってセールスパーソンは、問題を解決したり、目標を達成する手助けをしてくれる友人のような存在である。パートナーであり助言者であると受け止められている。顧客は彼らをセールスパーソンと思ってもいないし、自分がモノを「売りつけられている」とも感じない。
商談が成立する時(P204)
金銭を伴う取引や交渉にはすべて「主観的価値」の原理が働く。この原理によれば、取引が成立するのは、相手に差し出すものより、自分が受け取るものの方が価値があると、両者が共に判断した場合に限られる。自由競争の社会では、相手と金品を好感した方が得だとお互いに判断した時に商談が成立するのである。
交渉のうまい人のやり方(P232)
どの調査結果を見ても、交渉のうまい人は穏やかで、相手の状況を思いやり、問題の解決に努力する、大変共感を持てる人物である。そして共通するのが、交渉の最初にはっきりと、両者にとって満足のいく解決策を求めていることを相手に伝えていることだ。
計画の法則(P253)
「計画に1分費やせば、実行する際に10分間の手間が省ける」
時間管理で最も重要なのはおそらく「机の上で考える」ことだろう。紙を取り出してリストを作ろう。行動を起こす前に、まず取り組むべき活動を書き出そう。
前向きな心理状態を生み出すもの(P258)
良好な精神状態であれば、つまり自信に満ちて物事を楽観的に受け止めることができる状態ならば、エネルギーと創造力が増大して大きな成果を上げることができる。この前向きな心理状態を生み出すのが、自分が思い通りの人生を歩んでいるという実感である。実力を最大限に発揮できるのもこの実感がある時だ。
順序の法則(P258)
最初に何をするか、その次に何をするか、一切手をつけてはならないのはどの仕事か。決めるのは私たち自身である。現在の暮らしは、これまでにあなたが下してきた決断や選択の結果の集大成だ。現状の暮らしに不満があるなら、新たな決断と選択を行わねばならない。
賢い決断ができるようになるためには、まず誤った判断を下さないよう心がけることだ。おかしいなと気づいたらいつでも時計を止めて、順序を変更すればよい。
専念の法則(P268)
時間管理に関するテクニックの中で、おそらく最大の効果が期待できるのが、ひとつのことに専念することである。現在進めている仕事が完了するまで手を休めずに働き続けよう。そうするだけで、これまでの5倍の量をこなせる。あるいは所要時間をゆうに80%は短縮できる。
(中略)
その時々で最も重要な仕事に脇目もふらずに打ち込む習慣を身につけ、それをやり終えれば、質、量、価値のどの点から見ても素晴らしい結果を出せる。
力量の法則(P270)
重要な技能のうち、最も苦手とするもので、他のすべての才能が制限される。あなたにとって、その元凶とも言える技能は何か、正直に考えよう。最も苦手とする技能によって、大きな仕事を成し遂げ、目標を達成するまでの時間が決まる。自分の足を引っ張っている技能を突き止めよう。
成功を邪魔するこれらの要因にもパレートの「80対20の原理」が当てはまる。望み通りに仕事がはかどらない理由の80%は、あなたに欠けている20%の技能によって説明できる。