昨年末のビジネスブックマラソンでも、年明け鹿田尚樹さんのブログ「読むが価値」でも紹介されていた本。友人に勧められて読んでみたら、目からウロコの非常識お片づけ本だった。なぜなら、捨てるか残すかの判断基準が「触ってみてときめくか」なのだ。
ビジネスブックマラソンの紹介記事はこちら
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著者・近藤麻理恵(こんまり)さんは幼稚園の頃から主婦雑誌を愛読し、中学3年の時に辰巳渚さんのベストセラー『「捨てる!」技術』を読んで以来「片づけ法の研究」を重ねてきた、まだお若いのに経験豊富な片づけコンサルタントだ*1。
私は片づけが苦手なのでかなりこのジャンルの本は読んできたと思うが、とにかく著者の方法は他では見たことがないものばかりだ。
著者の片づけのエッセンスは、次のことばでわかると思う。
片づけをしてモノを減らしていくと、生活の中で自分が何を重しているのか、価値観がはっきり見えてきます。とにかくモノを減らすとか効率的に収納するとかを追求するのではなく、ときめきでモノを選んで、自分基準で生活を楽しんでみる。片づけをする醍醐味って、こういうことなのではないかと思うのです(P168)。
ふつう、整理する、片づけるというと捨てるものにフォーカスする。だが、著者は自分が研究する上で「捨てる」ことだけを考えていると苦しくなることに気がついたそうだ。だから、自分にとって大切なものは何かにフォーカスする。片づけをすることは人生を見つめ直すことにもつながり、人生が大きく変わる人もあるそうだ。
そんなこんまりさん流片づけのポイントは次の通り。
- モノを捨てる前に「理想の暮らし」をありありとイメージする。
- 「捨てる」と「片づける」は分ける。まず捨ててしまってから、どう片づけるか考える。
- 場所別ではなく、モノ別に取り組む。
- 捨てるかどうかは自分に聞き(=ときめくものだけ残す)、置き場所は家に聞く。
- 収納場所は1か所にまとめる。動線・使用頻度は無視してOK。
- 捨てるモノは感謝して家から送り出す。
片づけに取り組むベストの順番は
- 衣類
- 本類
- 書類
- 小物類
- 思い出品(手紙や写真など)
思い出品を最後にするのがポイントだそうだ。
個人的に一番響いたのは「セミナーの資料は全部捨てる」だった。私の部屋にもかなりの量があるが、確かに置いてあるだけで実際に読み返すことはほとんどない。“セミナーは生モノ、受けた瞬間やり終わった瞬間に実行できるかがカギ”ということばは刺さった。
セミナーの資料も本も名刺もほとんど捨ててしまってから、会いたい人に会えるようになったり、本を書くことになったり大きな変化が起きた方が実際にあったそうだ。「受け取れる余白・スペース」が自分にも部屋にも必要なのだ。
そして、実はこの本のすごいところは「捨てる」だけで終わらないことだと思う。収納に凝らない片づけ法なので、具体的に何をどう収納するという話はほとんど出てこない。だが、「すべてのものに定位置を決める」ことの大切さをくり返し説いてあり、著者の実際の生活*2もちょっと紹介してあるのでイメージしやすい。
私はこの本を読んではじめて「そりゃあ片づかないわけだわ…」と納得した。定位置のないものばかりだからだ。家の中が“流浪のジプシー”だらけでは、目の前からものが消えるはずがない。
この本を読めばものとのつき合い方が変わるはず。今まで何度もチャレンジしたけどダメだった、むずかしいことは苦手、という人はぜひ読んでみてください。私もさっそくプロジェクトとして実践します。
私のアクション:「適正量のカチッとポイント」*3が来るまでセミナーはお休み
以下は私のメモなので、興味のある方はどうぞ。
片づけで必要な作業は(P45)
「モノを捨てる」と「収納場所を決めること」のふたつだけ。大事なのは「『捨てる』が先」の順番だけ。
片づけには2種類ある(P46)
「日常の片づけ」と「祭りの片づけ」です。「日常の片づけ」とは、単純に、「モノを使ったら、元の場所に戻す」こと。服でも本でも文房具でも、人がモノを使って生活している以上、こればっかりは一生ついて回ります。
…「祭りの片づけ」を1日でも早く終わらせてほしいということです。
(中略)
でも、この「祭りの片づけ」を終わらせたあとは、それ以降の「使ったモノを定位置に戻す」「新しく増えたモノの定位置を必ず決める」はまったく苦労せず、続けることができます。
捨てることだけを考えて片づけをすると、不幸になる(P62)
なぜなら、本来片づけで選ぶべきなのは、「捨てるモノ」ではなくて「残すモノ」だからです。
触った時に、ときめくか(P62)
モノをひとつひとつ手に取り、ときめくモノは残し、ときめかないモノは捨てる。モノを見極める最も簡単で正確な方法です。
(中略)
だから、モノを残すか捨てるか見極める時も、「持っていて幸せかどうか」、つまり「持っていてときめくかどうか」を基準にするべきなのです。
本はタイミングが命(P130)
出会ったその瞬間が読むべき「時」なのです。
書類は「全捨て」が基本(P132)
「今使っている」「しばらく必要である」「ずっととっておく」。この3つに該当しない書類はすべて捨ててしまいましょう。
(中略)
私の書類整理法はごく簡単で、大きく分けて2種類だけ。保存か、未処理か。書類は全捨てが基本ですが、会えて手元に残す場合は、このどちらかで分けていきます。
セミナーで配られた資料は全部捨てる、くらいの覚悟で受講する(P136)
セミナーというのは、学んだ内容を実行しなければ、はっきりいって意味がありません。受けた瞬間に価値がある。受けた瞬間、やり終わった瞬間に実行できるかどうかがカギ。…つまり、本当のセミナー資料はセミナーそのものであり、生モノなのです。
過剰な分のストックは(P165)
一度人に譲る、寄付をする、リサイクルショップに売るなどして、手放してしまう方法。…一度自分が身軽になって、ストックを限界まで減らして生活を送ってみるのが、手っ取り早く片づけられるようになる一番の近道ではあります。
「適正量のカチッとポイント」がくるまで減らし続ける(P167)
片づけをしてものを減らし続けていると、ある時、自分の適正量に気づく瞬間が訪れます。これは、感覚ではっきりとわかります。突然、頭の中がカチッとなって、それと同時に、「ああ、私って、これだけのものを持っていればまったく問題なく暮らせるんだな」とか「これだけあれば幸せに生きていけるんだな」という感情に、身体が包み込まれる瞬間がやってくるのです。
私はこれを「適正量のカチッとポイント」と呼んでいます。不思議なことに、このカチッとポイント、1回通過すると、その後は絶対にモノが増えなくなります。だから、絶対にリバウンドしないのです。
モノを大切にするとは(P170)
たくさんのモノを抱え込んで捨てずに持っているからといって、モノを大事にしているわけではありません。むしろ、その逆です。
モノの定位置を決める時のポイント(P174)
すべてのモノの定位置を「ひとつ残らず決める」こと。
(中略)
片づけても片づけてもリバウンドが起きてしまう大きな原因は、そもそもモノの定位置が明確に決まっていないことにあるのです。逆に言うと、あらゆるモノの定位置さえ決まれば、使ったあとは定位置に戻すだけで、片づいたおうちをキープできるようになります。
収納は極限までシンプルにするに限る(P181)
頭で考えて工夫しない。迷ったら家とモノに聞いてみる。
(中略)
収納は限界までシンプルにして、自分が持っているものを把握できる状態にすること。これが片づいたお部屋をキープする収納法の極意です。
散らかる原因は「元に戻せない」から(P187)
使う時の手間より、しまう時の手間を省くことを考えなければいけないのです。…散らかってしまう原因は、「しまう手間」が面倒くさいか、「しまう場所」がわからないのどちらかです。
モノを選ぶ時は自分の体に聞いてみて、モノの置き場所を決める時はおうちに聞いてみる(P190)
捨てられない原因はふたつしかない(P238)
それは「過去に対する執着」と「未来に対する不安」。
(中略)
モノを通して「過去に対する執着」と「未来に対する不安」に向き合うと、今自分にとって本当に大切なモノが見えるようになります。
人生最大の幸せ(P265)
自分が持っているものひとつひとつに対して、迷いなく「大好き!」と思えるモノだけに囲まれた生活。これこそが人生最大の幸せだと思うのですが、いかがでしょう。